集団訴訟とは?日本版クラスアクションで被害を取り戻す仕組み

法規・刑罰・代償
集団訴訟とは?ざっくりと3行で
  • 集団訴訟とは、同じ被害を受けた多数の被害者が、共通の請求を一括して裁判所で争う手続きで、日本では消費者裁判手続特例法(2016年施行)による二段階型の制度がある。
  • 詐欺的な悪質商法の被害者が個別に訴訟を起こすのはコストと労力が大きすぎるという問題を、認定された消費者団体が原告になって一括して戦い勝訴後に個々の被害者が加入して損害賠償を受け取れる仕組みだ。
  • これを知っておけば、個人では戦えない大規模詐欺の被害でも「訴訟の流れに乗ること」で被害回復の可能性が開けるとわかる。

【深掘り】これだけは知っておけ

日本の集団訴訟(消費者裁判手続特例法)の最大の特徴は、消費者個人が原告にならなくてよい点です。内閣総理大臣に認定された特定適格消費者団体が原告となって事業者と戦い、勝訴後に被害者個人が手続きに加入して損害賠償を受け取る二段階型の仕組みです。

消費者裁判手続特例法は2013年成立・2016年10月施行で、日本版クラスアクションとも呼ばれます。米国のクラスアクション(集合代表訴訟)では一人の代表が全員のために訴えを起こし、勝訴判決がクラス構成員全員に及ぶ仕組みですが、日本の制度は手続きが二段階に分かれています。第一段階(共通義務確認訴訟)では、特定適格消費者団体が原告となり、事業者が多数の消費者に対して共通の支払義務を負うかどうかを裁判所が判断します。第二段階(簡易確定手続)では、第一段階で消費者側が勝訴した場合に、個々の被害者が手続きに加入して、簡易な手続きにより自分の債権(被害額)を確定させ、損害賠償を受け取ります。費用は消費者団体が負担するため、被害者個人が多額の訴訟費用を負担する必要がありません。

この制度が有効な場面は、多数の消費者が同一の事業者から同様の被害を受けている場合です。例えば、健康食品の虚偽表示で多数の消費者が購入した、不当な解約料を請求された、といった悪質商法の被害です。個人が弁護士を雇って訴訟を起こすには費用対効果が合わないほど被害額が少ない案件でも、集団で戦えれば解決の可能性が生まれます。現在、特定適格消費者団体としては消費者機構日本(COJ)などが認定されており、消費者庁のウェブサイトで確認できます。

集団訴訟は万能ではありません。制度の対象は消費者契約に関する金銭請求(返金・損害賠償)に限られており、全ての詐欺被害に使えるわけではありません。また、第一段階の訴訟に勝訴してから第二段階に移行するため、最終的な被害回復まで相当の時間がかかります。進行中の集団訴訟があるかどうかは、消費者庁や各特定適格消費者団体のウェブサイトで確認できます。

被害者として集団訴訟の流れに乗るには、特定適格消費者団体が第一段階で勝訴した後に「加入通知」が届いてから手続きを行うのが基本です。ただし、自分の被害が集団訴訟の対象かどうかわからない場合は、消費者ホットライン(188)や法テラス(0570-078374)に相談して確認するのが確実です。集団訴訟が進行していない被害では、個別の民事訴訟や消費生活センターへの相談、弁護士への依頼という通常の対処が有効です。

日本の集団訴訟と米国のクラスアクションの比較

項目日本(消費者裁判手続特例法)米国(クラスアクション)
手続きの構造二段階型(共通義務確認→簡易確定)一段階型(代表者が全員のために訴訟)
原告特定適格消費者団体クラス代表(一般消費者)
被害者の関与第二段階で加入して債権確定通知後に除外申出しなければ自動加入
費用負担消費者団体が負担弁護士費用は成功報酬型が多い

典型的なフレーズ・文脈

少額被害者は訴訟を諦めると言う悪質業者のイラストアイコン
詐欺師

一人ひとりの被害額なんてたかが知れてる。弁護士を雇うほうが高くつくから誰も訴えない。たとえ集団訴訟があったって、勝ってから手続きするまでに何年もかかるし、みんな途中で諦めるよ。

個人で訴訟を起こすコストが高いことを利用した「どうせ誰も訴えない」という悪質業者の論理です。消費者裁判手続特例法の集団訴訟があれば、少額被害者でも費用なしで回収の機会を得られます。

集団訴訟の勝訴と被害回復を伝えるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

消費者機構日本が事業者を相手に起こした集団訴訟で、東京地裁は共通義務確認訴訟の第一段階で消費者側の主張を認める判決を下しました。これにより、被害を受けた多数の消費者が第二段階の手続きに加入して返金を受けられる見通しとなりました。

消費者裁判手続特例法に基づく集団訴訟の判決を伝える報道番組のキャスターを想定した表現です。

集団訴訟への加入手順を案内する消費生活相談員のイラストアイコン
専門家

同じ業者で被害を受けた方が他にも大勢いるなら、まず消費者庁や消費者機構日本のサイトで集団訴訟が進行していないか確認してください。第一段階が勝訴すれば加入通知が来ます。それまでの間は証拠を保全し、188に相談して個別の対処も並行させておくと安心です。

消費生活相談員が、大規模詐欺の被害者に対して集団訴訟への参加と個別対処の並行を案内する場面を想定しています。

集団訴訟制度の歴史

日本の集団的な消費者被害回復制度は、米国型クラスアクションの議論を経て、日本の司法制度に合わせた独自の形で整備されました。

出来事
2006年適格消費者団体による差止請求制度が始まる。個々の被害回復は対象外だったため限界があった。
2013年消費者裁判手続特例法が成立。金銭的被害の集団的回復を可能にする二段階型制度の根拠が整う。
2016年同法が施行。消費者機構日本など特定適格消費者団体が認定され、集団訴訟の実施が本格始動。
現在健康食品・美容・投資など様々な分野で集団訴訟が提起され、被害回復の実績が積み重なっている。

困ったときの相談窓口

集団訴訟の対象かどうかの確認や、詐欺被害の相談は以下の窓口で行えます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
消費者ホットライン188年末年始除く毎日被害相談・集団訴訟情報の案内
法テラス(日本司法支援センター)0570-078374平日 9:00〜21:00/土曜 9:00〜17:00個別訴訟・弁護士費用立替の相談
国民生活センター03-3446-1623平日 10:00〜16:00消費者団体訴訟の情報提供

【まとめ】3つのポイント

  • 団体が戦って被害者が乗る仕組み:特定適格消費者団体が第一段階で勝訴し、個々の被害者が第二段階で加入して返金を受ける二段階型が日本の集団訴訟の仕組みです。
  • 少額被害でも費用なしで参加できる:消費者団体が訴訟費用を負担するため、個人で訴訟費用を出せない少額被害者でも集団訴訟に乗ることができます。
  • 進行中の訴訟がなければ個別対処を並行:消費者庁・消費者機構日本のサイトで確認し、なければ188・法テラスで個別に対処。証拠は常に保全しておきましょう。

よくある質問

Q
詐欺被害で集団訴訟に参加するにはどうすればいいですか?
A

まず消費者庁や消費者機構日本(COJ)のウェブサイトで、その業者に対する集団訴訟が進行中かどうかを確認してください。第一段階(共通義務確認訴訟)が勝訴した後、被害者に手続き加入の案内(加入通知)が届きます。その通知に従って第二段階(簡易確定手続)に加入し、被害額を申告することで返金を受けられる可能性があります。自力で情報を集めるのが難しい場合は188か法テラスに相談してください。

Q
集団訴訟で勝っても全額返ってくるとは限らないのですか?
A

必ずしも全額とは限りません。被害者全員の債権額合計に対して事業者の資産が不足している場合は、按分(あんぶん)されて受け取れる金額が減ることがあります。また、申告期限を過ぎたり、申告内容の証拠が不十分だったりすると認定額が減る場合もあります。早めに情報収集し、申告に必要な証拠(契約書・領収書・振込記録等)を保全しておくことが重要です。

Q
対象の業者への集団訴訟が進行していない場合、どうすればいいですか?
A

個別の民事訴訟・消費生活センターへのあっせん・弁護士への依頼という通常の対処を取ることになります。同じ被害者が多くいると確認できた場合は、消費者機構日本などの特定適格消費者団体に情報を提供することで、将来の集団訴訟につながる可能性があります。まず188か法テラスで状況を整理し、個別の対処方針を決めてください。

Q
集団訴訟と振り込め詐欺救済法との違いは何ですか?
A

仕組みと対象が違います。集団訴訟(消費者裁判手続特例法)は、消費者契約の被害に対して消費者団体が原告となって事業者に損害賠償を求める制度です。振り込め詐欺救済法は、詐欺に使われた口座の残金を凍結・没収し、被害者に分配する制度で、裁判手続きなしに申請できます。どちらも詐欺被害からの回復手段ですが、振り込め詐欺救済法は金融機関経由で申請する点が大きく異なります。

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【出典】参考URL

https://www.corporate-legal.jp/matomes/2190:消費者裁判手続特例法の二段階型制度・特定適格消費者団体の根拠
https://www.businesslawyers.jp/articles/77:適格消費者団体と特定適格消費者団体の違い・制度の全体像の根拠
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/:消費者庁の消費者団体訴訟制度ページの根拠
https://ja.wikipedia.org/wiki/クラスアクション:米国クラスアクションとの比較の根拠

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