被害回復給付金とは?没収財産を受け取る申請の仕組み

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被害回復給付金支給制度とは?ざっくりと3行で
  • 被害回復給付金支給制度とは、組織的に行われた詐欺・恐喝などの財産犯で犯人から没収・追徴した「犯罪被害財産」を、検察官が管理して被害者に配布する2006年施行の制度だ。
  • 詐欺グループが摘発されて財産が没収された場合、被害者が申請期間内に担当検察庁に申立てをするだけで自ら民事訴訟を起こさずに被害の一部を取り戻せる可能性がある
  • これを知っておけば、大規模詐欺で犯人が捕まったとき「申請を忘れた・知らなかった」という理由で取り戻せるお金を逃さずに済む

【深掘り】これだけは知っておけ

被害回復給付金支給制度を使うには「支給手続が開始された事件」に限られます。犯人が捕まっても全ての事件で手続きが開始されるわけではなく、没収・追徴した財産がなければ手続き自体が始まりません。まず検察庁の「支給手続開始事件一覧」で自分の被害に該当する事件があるか確認するのが最初のステップです。なお、検察庁や検察官を騙った虚偽公告(申請を装った詐欺)が存在するため、検察庁の公式ウェブサイト(kensatsu.go.jp)から情報を確認することが絶対に必要です。

被害回復給付金支給制度は、組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)の2006年12月施行の改正によって生まれました。それまで詐欺罪などの財産犯では、たとえ犯人が逮捕されても、犯人から利益を没収・追徴することが原則として認められていませんでした。改正によって、詐欺・恐喝・出資法違反などの財産犯が組織的に行われた場合、またはマネーロンダリングが行われた場合に限り、犯罪被害財産を没収・追徴できるようになりました。はく奪した財産を「給付資金」として保管し、被害を受けた方に「被害回復給付金」として支給する仕組みです。

支給の手続きは次の流れで進みます。①没収・追徴の刑事裁判が確定すると、検察官が支給対象となる犯罪行為の範囲を定める。②検察官が給付資金を保管し支給手続きの開始を公告する。③被害者は申請期間内に申請書・被害を示す資料(振込記録・契約書・身分証等のコピー)を担当検察庁に提出する。④検察官が「裁定」を下し、支給額が決まる。⑤支給される。申請は郵便でも行えます。支給額は、給付資金の総額を対象被害者全員の被害額で按分して決まるため、被害額全額が戻ってくるとは限りません。

最大の落とし穴は「申請期間を逃すこと」です。手続き開始の公告から申請期間(通常3か月程度)を過ぎると申請できなくなります。振り込め詐欺・ヤミ金融・投資詐欺など大規模事件の摘発後に「被害回復給付金」のニュースを見聞きしたら、すぐに担当検察庁に連絡するか検察庁の公式サイトを確認してください。また、「検察庁から給付金が出る」と偽って個人情報や手数料を要求する詐欺が横行しているため、公式ルート以外からの連絡には応じないことが重要です。

被害回復給付金制度と振り込め詐欺救済法(銀行振込詐欺救済法)はよく混同されますが、仕組みが異なります。振り込め詐欺救済法は詐欺に使われた口座の残金を金融機関が凍結・没収して被害者に分配する制度で、刑事裁判の確定前から動けます。被害回復給付金支給制度は刑事裁判で没収・追徴が確定した後に動く制度です。どちらも詐欺被害からの回復手段であり、自分の被害に両方が適用できる場合は双方を確認することが重要です。まず188か法テラスに相談すれば、どの制度が使えるかを整理してもらえます。

被害回復給付金と振り込め詐欺救済法の比較

項目被害回復給付金支給制度振り込め詐欺救済法
根拠法組織犯罪処罰法(2006年改正)振り込め詐欺救済法(2008年施行)
動き出すタイミング刑事裁判で没収・追徴確定後口座凍結後(刑事裁判前でも可)
申請先担当検察庁口座のある金融機関
対象組織的財産犯(詐欺・恐喝等)振込詐欺の被害者

典型的なフレーズ・文脈

被害回復給付金を騙る詐欺師のイラストアイコン
詐欺師

検察庁から被害回復給付金のお知らせです。あなたの案件で給付金が出ることになりましたが、手続きに手数料が必要です。まず2万円を振り込んでいただければ、すぐに給付金の申請手続きを進められます。

検察庁を騙って手数料をだまし取ろうとする二次詐欺の典型的な手口です。本物の検察庁は被害回復給付金の手続きで被害者から手数料を取ることはありません。このような連絡は全て詐欺です。

被害回復給付金の申請開始を伝えるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

大規模投資詐欺グループの有罪判決が確定したことを受け、検察庁は被害回復給付金支給制度に基づく申請の受け付けを開始したと公告しました。対象の被害者は申請期間内に必要書類を担当検察庁へ提出することで、被害の一部を取り戻せる可能性があります。

大規模詐欺事件の有罪確定後に被害回復給付金の申請開始を伝えるニュース番組のキャスターを想定した表現です。

申請手順と二次詐欺への注意を促す弁護士のイラストアイコン
専門家

被害に遭った事件で支給手続きが開始されたかどうかは、検察庁の公式サイト(kensatsu.go.jp)で確認してください。申請期間は短いので、ニュースを見たらすぐ動いてください。それと、検察を名乗って手数料を要求する連絡が来たら全て詐欺です。絶対に振り込まないでください。

弁護士が、詐欺被害者に対して被害回復給付金の申請方法と、それを騙る二次詐欺への注意を同時に伝える場面を想定しています。

被害回復給付金支給制度の歴史

この制度は、詐欺被害者が「犯人が捕まっても損害が回復されない」という問題を解決するために整備されました。

出来事
2006年組織犯罪処罰法改正が施行。詐欺・恐喝等の組織的財産犯の犯罪被害財産を没収・追徴できるようになる。
2006年犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律が施行。被害回復給付金支給制度が始動。
2008年振り込め詐欺救済法(銀行振込詐欺救済法)が施行され、口座凍結による並行的な被害回復ルートが整備される。
現在特殊詐欺・投資詐欺の大規模摘発のたびに支給手続きが開始され、申請者への給付実績が積み重なっている。

困ったときの相談窓口

被害回復給付金の申請方法や、自分が対象かどうかわからない場合は、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
担当検察庁(事件ごとに異なる)検察庁公式サイトで確認平日(庁によって異なる)申請受付・問い合わせ
消費者ホットライン188年末年始除く毎日詐欺被害・給付金制度の情報案内
法テラス(日本司法支援センター)0570-078374平日 9:00〜21:00/土曜 9:00〜17:00被害回復手段の法的相談

【まとめ】3つのポイント

  • 犯人から没収した財産を被害者に配る制度:組織的詐欺で犯人から没収・追徴した財産を、検察官が管理して申請した被害者に支給します。民事訴訟なしで受け取れる数少ない回復手段です。
  • 申請期間を逃したら終わり:支給手続き開始の公告から通常3か月程度の申請期間があります。大規模摘発のニュースを見たらすぐ検察庁の公式サイト(kensatsu.go.jp)を確認してください。
  • 「給付金の手数料」は詐欺の合図:本物の検察庁は手数料を要求しません。検察を騙る二次詐欺が横行しています。公式ルート以外の連絡は無視してください。

よくある質問

Q
自分が被害回復給付金の対象かどうかはどうやって確認しますか?
A

検察庁の公式ウェブサイト(kensatsu.go.jp)の「支給手続開始事件一覧」を確認してください。自分が被害を受けた業者・事件が一覧に含まれているかを確認します。一覧に該当事件があれば、申請期間・必要書類・申請先の検察庁が記載されています。確認が難しい場合は188か法テラスに相談して整理してもらうことをおすすめします。

Q
申請すれば被害額の全額が戻りますか?
A

全額が戻るとは限りません。没収・追徴した給付資金を対象被害者の被害額で按分するため、被害者が多い場合や給付資金が少ない場合は、受け取れる金額が被害額を大幅に下回ることがあります。とはいえ、申請しなければ一円も戻りません。少額でも申請することに損はないので、対象事件があれば必ず申請することをおすすめします。

Q
申請に必要な書類は何ですか?
A

一般的に、申請書・被害を受けたことを示す資料(振込記録・契約書・領収書等のコピー)・身分証明書のコピー(運転免許証等)が必要です。具体的な必要書類は事件ごとに異なるため、担当検察庁の公告や法務省・検察庁のウェブサイトで確認してください。書類が揃わない場合でも、まず担当検察庁に問い合わせて対応を確認するのが先決です。

Q
被害回復給付金支給制度と振り込め詐欺救済法との違いは何ですか?
A

動くタイミングと申請先が違います。被害回復給付金支給制度は、刑事裁判で没収・追徴が確定した後に検察庁が給付資金を管理して被害者に支給する制度で、申請先は担当検察庁です。振り込め詐欺救済法は、詐欺に使われた口座の残金を金融機関が凍結し、裁判確定前でも申請できる制度で、申請先は口座のある金融機関です。どちらも対象であれば両方に申請することが重要です。

この用語と一緒に知っておきたい用語

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忘れられる権利忘れられる権利とは、インターネット上に残り続ける過去の逮捕歴・犯罪歴・プライバシー情報などの削除を求める権利で、EUでは法律で明文化されているが日本では判例の積み重ねで対応している。
プライバシー侵害プライバシー侵害とは、私生活上の事柄をみだりに公開されない権利を侵害する行為で、犯罪ではなく民事上の不法行為として損害賠償・削除請求の対象になる。

この手口が実際に使われた事件

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【出典】参考URL

https://www.kensatsu.go.jp/higaikaihuku/:被害回復給付金支給制度の概要・申請手続きの根拠
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-8.html:法務省Q&A・対象犯罪・支給の流れの根拠
https://www.daiichi.gr.jp/publication/makieya/p-2012f/p-10:2006年12月施行・組織犯罪処罰法改正の経緯の根拠
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji36-2.html:支給手続きの法律上の根拠(組織犯罪処罰法13条等)

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