- 犯罪収益移転防止法(犯収法)とは、犯罪で得たお金が別の資産に姿を変えたりテロ資金に使われたりするのを防ぐため、金融機関などに本人確認や疑わしい取引の届出を義務づける法律だ。
- 口座開設や大口取引のときに身分証の提示を求められるのはこの法律のためで、マネーロンダリングや口座売買、振り込め詐欺の資金洗浄を入口で防ぐことで、犯罪者が不正なお金を安全に使えないようにしている。
- 仕組みを知っておけば、自分の口座を他人に売り渡すと犯罪に加担し処罰されると分かり、安易な口座売買の誘いを断れる。
【深掘り】これだけは知っておけ
犯罪収益移転防止法(犯収法)は、犯罪によって得られた収益が別の資産に姿を変えたり(マネーロンダリング)、テロリストの活動資金に使われたりすることを防ぐための法律です。2007年に制定され、その後、国際的な要請や振り込め詐欺などの被害状況を踏まえて数度改正されてきました。この法律は、マネーロンダリングに利用されるリスクが高い業種を「特定事業者」(金融機関、暗号資産交換業者、宅地建物取引業者、クレジットカード会社など)として指定し、特別な義務を課します。中核となるのは三つの義務です。本人確認(取引時確認)の実施、取引記録の作成・保存、疑わしい取引の届出です。
口座開設や一定額以上の現金取引、クレジットカード契約などの際に、運転免許証などで本人確認を求められるのは、この法律に基づくものです。近年は、オンラインで本人確認を完結する「eKYC」も認められています。なりすましの疑いがある取引などは「ハイリスク取引」として、より厳格な確認が行われます。重要なのは、この法律が本人特定事項を偽る行為や、他人になりすまさせる目的での預貯金通帳・カードの譲渡・譲受を禁止し、罰則を定めている点です。つまり、「お金をあげるから口座を貸して」「使わない口座を買い取る」といった誘いに応じて自分の口座を譲り渡すと、振り込め詐欺などの犯罪に使われ、自分自身も処罰対象になります。SNSやネットで「口座買います」という勧誘を見かけても、絶対に応じてはいけません。
個人が守るべきこととして、自分名義の口座やキャッシュカードを絶対に他人に譲渡・売却しないこと。「口座を貸して」「カードを買い取る」という誘いはすべて拒否すること。使わなくなった口座は売るのではなく、金融機関で正規に解約すること。本人確認を求められたら、それは法律に基づく正当な手続きだと理解して協力すること。万一、自分の口座が不正利用されている疑いがあれば、すぐに金融機関と警察に連絡すること。犯罪収益移転防止法は、犯罪資金の流れを断つことで詐欺や組織犯罪の根を絶とうとする法律です。私たち一人ひとりが口座売買に加担しないことが、振り込め詐欺などの被害を減らす一助になります。
特定事業者に課される3つの義務
| 義務 | 内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 本人確認(取引時確認) | 口座開設・大口取引時に身元を確認 | なりすまし・匿名取引の防止 |
| 取引記録の作成・保存 | 取引内容を記録して一定期間保存 | 資金の流れの追跡 |
| 疑わしい取引の届出 | マネロンの疑いがある取引を当局へ届出 | 犯罪資金の早期発見 |
典型的なフレーズ・文脈

使ってない銀行口座ありませんか?1口座につき3万円で買い取りますよ。あなたは口座とカードを送ってくれるだけ。簡単な副業です。法律的にも全然問題ないので大丈夫。すぐに現金が手に入りますよ。どうですか?
SNSや闇バイトで口座の売買を持ちかける典型的な勧誘です。口座を譲渡すると犯罪収益移転防止法違反となり、振り込め詐欺の資金洗浄に使われて自分も処罰されます。

犯罪収益移転防止法は、金融機関に本人確認や疑わしい取引の届出を義務づけています。また、預貯金通帳やカードを他人に譲渡する行為も罰則の対象とされており、安易な口座売買への注意が呼びかけられています。
犯罪収益移転防止法と口座売買の危険性を解説する報道番組のキャスターを想定した表現です。

口座やカードを他人に譲ると犯罪収益移転防止法違反です。振り込め詐欺に使われ、あなたも処罰されます。「口座買い取り」の誘いには絶対応じないでください。不審な口座利用は#9110へ相談を。
警察関係者が、犯罪収益移転防止法に基づく口座売買の危険性を助言する場面を想定しています。
犯罪収益移転防止法の歴史
犯罪収益移転防止法は、国際的なマネーロンダリング対策の要請と、国内の振り込め詐欺被害の拡大を背景に、繰り返し強化されてきました。その歩みをたどります。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2007年 | 犯罪収益移転防止法が制定される(前身は本人確認法など)。 |
| 2013年 | 振り込め詐欺被害やFATF(金融活動作業部会)の指摘を踏まえた改正法が施行。確認事項の追加や口座の不正譲渡への罰則強化が行われた。 |
| 2016年 | FATF勧告の水準を満たすため、疑わしい取引の判断方法の明確化などの改正法が施行される。 |
| 2018年 | オンラインで本人確認を完結する「eKYC」が認められる。 |
| 現在 | マイナンバーカードのICチップ活用など、より厳格で安全な本人確認への移行が進められている。 |
困ったときの相談窓口
口座の不正利用や口座売買の勧誘を受けた場合は、以下の窓口に相談できます。
| 窓口名 | 電話番号 | 受付時間 | 対応内容 |
|---|---|---|---|
| 警察相談専用電話 | #9110 | 平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる) | 口座売買・不正利用の相談 |
| 金融サービス利用者相談室 | 0570-016811 | 平日 10:00〜17:00 | 金融機関に関する相談 |
| 消費者ホットライン | 188 | 地域の窓口に準ずる | 闇バイト・悪質な勧誘の相談 |
【まとめ】3つのポイント
- 正体は犯罪資金の流れを断つ法律:マネロンやテロ資金供与を防ぐため、金融機関に本人確認や届出を義務づけます。
- 本人確認はこの法律が根拠:口座開設時に身分証を求められるのは、なりすましや匿名の不正取引を防ぐためです。
- 口座売買は重大な犯罪:自分の口座やカードを他人に譲ると違法で、振り込め詐欺に使われ自分も処罰されます。
よくある質問
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Q使わない口座を売るのは本当に犯罪になりますか?
-
A
犯罪になります。他人になりすまさせる目的での預貯金通帳やキャッシュカードの譲渡・譲受は、犯罪収益移転防止法で禁止され、罰則が定められています。「使わない口座だから」「お金がもらえるから」という軽い気持ちで売っても、その口座は振り込め詐欺などの資金の受け皿に使われ、口座名義人であるあなたが犯罪に加担したことになります。逮捕される事例も実際にあります。使わない口座は売らず、金融機関で正規に解約してください。
-
Qなぜ口座開設のたびに本人確認が必要なのですか?
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A
犯罪収益移転防止法で、金融機関などの特定事業者に本人確認(取引時確認)が義務づけられているからです。匿名や偽名で口座を作れてしまうと、犯罪で得たお金の受け皿や資金洗浄に悪用されてしまいます。本人確認によって「誰の取引か」を明確にすることで、不正なお金の流れを追跡できるようにし、マネーロンダリングや詐欺を防いでいます。手続きは少し手間に感じるかもしれませんが、私たち利用者全体を犯罪から守るための重要な仕組みです。
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Q疑わしい取引の届出とは何ですか?自分も対象になりますか?
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A
疑わしい取引の届出は、金融機関などがマネーロンダリングの疑いがあると判断した取引を当局に報告する制度です。これは事業者の義務であり、一般の利用者が届出をするものではありません。ただし、不自然な大口の入出金や、短期間の頻繁な送金など、通常と明らかに異なる取引をすると、届出の対象として注目されることがあります。やましいことがなければ過度に心配する必要はありませんが、他人のために身に覚えのない送金を頼まれるような行為は、犯罪に巻き込まれるサインとして警戒してください。
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Q犯罪収益移転防止法とマネーロンダリングの違いは何ですか?
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A
両者は「規制する側」と「規制される行為」の関係です。マネーロンダリング(資金洗浄)は、犯罪で得た汚れたお金を、口座を転々とさせたり物品に換えたりして出所を分からなくする「行為」そのものを指します。犯罪収益移転防止法は、そのマネーロンダリングを防ぐために作られた「法律」で、金融機関に本人確認や届出を義務づけています。マネーロンダリングが取り締まる対象の犯罪行為、犯罪収益移転防止法がそれを防ぐためのルール、という関係だと理解してください。


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