オレオレ詐欺は20代30代が急増|令和7年統計

オレオレ詐欺は20代30代が急増|令和7年統計を3行で要約
  • 令和7年(2025年)のオレオレ詐欺は、20代が前年比361.7%増、30代が329.3%増と若年層で突出して伸びた
  • 急増の中心はニセ警察詐欺であり、この区分は令和7年から統計を開始した新設分類だという前提を外してはいけない
  • 親を守る話ではなく自分自身が統計上の当事者だと認識することが、いま最も有効な防御だ
ニセ警察詐欺で30代男性が口座を疑われ潔白の証明を求められて資産を失う流れを描いた4コマ漫画
①深夜の電話で口座が犯罪に使われたと告げられる。②ビデオ通話の制服姿に潔白の証明を迫られる。③指示どおり資産を渡し全額を失う。④賠償罪子が恐怖が財布を開くと断じる。

この4コマで描いたのは、儲け話でも恋愛でもない詐欺の入口です。ニセ警察詐欺が使うのは欲望ではなく、疑われることへの恐怖という感情でした。あなたの口座が犯罪に使われている、身の潔白を証明してほしい、と言われた瞬間、人は反論よりも証明を選びやすくなります。

厄介なのは、この構造が情報リテラシーの高さとほとんど無関係に働く点です。投資詐欺なら「うまい話には裏がある」という警句が効きますが、捜査協力を装う手口には対応する警句がありません。むしろ日頃から真面目に働き、後ろ暗いところがない人ほど潔白を証明したいという動機を刺激されてしまいます。

統計の上でも、オレオレ詐欺の20代・30代の認知件数はこの1年で増えており(増加幅の読み方には後述する分類上の事情があります)、これは特定の誰かではなく若い世代全体の話だと分かります。防ぎ方自体はシンプルで、捜査機関が電話やビデオ通話で資産の確認を求めることはないという一点を頭に入れておけば足ります。通話を切ったうえで自分で調べた代表番号にかけ直せば、4コマの③に描いた場面へは進みません。

オレオレ詐欺と聞いて、あなたは誰の顔を思い浮かべたでしょうか。多くの人は、実家の親や祖父母を想像したはずです。

ところが警察庁が令和8年(2026年)5月22日に公表した確定値では、その常識が音を立てて崩れていました。伸び率で見ても実数で見ても、被害が最も激しく増えているのは20代と30代だったのです。

この記事では、令和7年(2025年)1〜12月の確定値をもとに、なぜ若い世代が狙われる側に回ったのかを整理します。同時に、この急増をそのまま鵜呑みにできない統計上の事情についても、きちんと注記しながら読み解いていきます。

令和7年の特殊詐欺データ概況|被害額はほぼ倍増

令和7年(2025年)の特殊詐欺は、認知件数27,832件、被害額1,423.1億円でした。被害額は前年比+98.0%と、ほぼ倍増しています。

この数字は令和8年(2026年)5月22日公表の確定値であり、暫定値ではありません。まずは手口別の全体像を押さえておきましょう。

区分(令和7年1〜12月・確定値) 認知件数 前年比(件数) 被害額 前年比(被害額)
特殊詐欺全体 27,832件 +6,789件(+32.3%) 1,423.1億円 +704.3億円(+98.0%)
オレオレ詐欺 14,489件 +7,737件(+114.6%) 1,138.1億円 +679.7億円(+148.3%)
架空料金請求詐欺 5,706件 -10件(-1.6%) 131.7億円 -2.1億円(-1.6%)
この表を読む前提として、先に1つ注記します。オレオレ詐欺の前年比(件数+114.6%、被害額+148.3%)には、令和7年から統計を開始した新設分類であるニセ警察詐欺の分離集計開始が影響している可能性があります。手口そのものが単純に2倍以上へ膨らんだと読むのは早計であり、詳しい事情はこの記事の後半で扱います。

特殊詐欺全体の被害額1,423.1億円のうち、1,138.1億円がオレオレ詐欺です。つまり被害金額の大半を、この1手口が生み出している計算になります。

件数のスケールも掴んでおきましょう。オレオレ詐欺14,489件を365日で割ると、1日あたり約39.7件となります(14,489÷365。一次資料に直接記載のない独自計算です)。

読者が警戒すべき点:件数の伸び(+114.6%)よりも被害額の伸び(+148.3%)の方が大きいということは、1件あたりで抜かれる金額が膨らんでいる可能性を示します。被害に遭った場合のダメージが以前より重くなる前提で身構えておきましょう。

20代・30代の被害急増|伸び率は3倍超え

オレオレ詐欺の年代別で最も増えたのは20代と30代でした。ただし前年比+361.7%、+329.3%という伸びには、後述する新設分類の分離集計開始が影響している可能性があります。

実数で見ると、20代は1,759件(前年比+1,378件)、30代は2,284件(前年比+1,752件)でした。伸び率だけが派手な小さな数字ではなく、増分そのものが四桁に達しています。

オレオレ詐欺の年代別(令和7年・確定値) 認知件数 前年比 被害額
20代 1,759件 +1,378件(+361.7%) 50.0億円
30代 2,284件 +1,752件(+329.3%) 90.7億円
20代・30代合計の構成比 認知件数の27.9%(前年比+14.4ポイント) 被害額の12.4%

注目したいのは、件数の構成比27.9%に対して被害額の構成比が12.4%にとどまる点です。若年層は件数では存在感が大きいのに、金額では小さいという関係が読み取れます。

これは1件あたりの被害額が高齢層より小さいことを意味しますが、警戒を緩める理由にはなりません。20代の被害額は50.0億円、30代は90.7億円という規模に達しています。

架空料金請求詐欺でも若年層比率が上昇

架空料金請求詐欺は全体では認知件数5,706件(前年比-1.6%)と横ばいでした。ところが年代構成は動いています。

20代・30代の合計は認知件数の30.0%を占め、前年比で+6.8ポイント上昇しました。20代単独では1,062件(前年比+262件、+32.8%)、被害額11.4億円です。

なお、架空料金請求詐欺の30代単独の件数・被害額は、参照した警察庁資料の本文に数値の記載がありません。本記事では推計での補完を行わず、20代・30代の合算比率のみを扱っています。

架空料金請求詐欺の入口は、メールやSMSによる事務的な督促文・警告文です。うまい話ではなく面倒ごとの通知という顔で届くため、スマホで用事を片付ける習慣がある世代ほど、その場で処理しようとして踏み込みやすい設計になっています。

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賠償罪子

オレオレ詐欺という名前そのものが、もはや実態を裏切っている。

手口名が高齢の親を狙う話という古い像を固定し、当事者である若い世代の警戒心を下げてしまう。名前が防御の邪魔をしている典型例だ。

急増の正体はニセ警察詐欺|数字の読み方に要注意

若年層の急増を牽引したのは、ニセ警察詐欺です。ただしこの区分は令和7年から統計を開始した新設分類であり、前年比の解釈には注意が必要です。

ニセ警察詐欺の総認知件数は11,014件、被害額は1,005.0億円で、特殊詐欺の総認知件数に占める割合は39.6%でした。そしてオレオレ詐欺14,489件のうち10,859件、割合にして74.9%がニセ警察詐欺です。

統計上の重要な注意点:ニセ警察詐欺は令和7年から統計を開始した新設区分です(資料内の注記による)。したがってオレオレ詐欺の前年比急増(件数+114.6%、被害額+148.3%)には、分離集計を始めたことによる可視化の効果が相当程度含まれている可能性があります。オレオレ詐欺そのものが単純に2倍以上へ膨らんだと読むのは早計です。なお副業詐欺も同じく令和7年から統計を開始した新設区分にあたります。

件数は若年層、金額は高齢層というねじれ

ニセ警察詐欺の年代別データには、はっきりしたねじれがあります。件数の中心は若い世代、金額の中心は高齢世代です。

ニセ警察詐欺(令和7年・確定値) 最多 次点
年代別 認知件数 30代 2,239件 20代 1,718件
年代別 被害額 70代 274.6億円 60代 256.3億円

件数のボリュームゾーンが30代と20代である一方、被害額の頂点は70代と60代にあります。若い世代は接触される回数が多い層だと理解しておくべきでしょう。

手口の悪質さも報告されています。性的被害を伴う事案が247件、金地金をだまし取る手口が173件・被害額60.2億円という記録が残されました。現金の振込だけを警戒していれば済む話ではありません。

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賠償罪子

疑うと損をする空気を先に作り、金は後から動かす。これが今の設計だ。

あなたは今、捜査対象です。この一言で相手は主導権を握る。金の話が出るころには、こちらはもう反論の権利を手放している。

高齢者比率との比較|被害の重心はどこへ動いたか

高齢者の被害が減ったわけではありません。増えたのは、それ以外の年代の被害です。

特殊詐欺全体における65歳以上の被害は、認知件数14,273件(前年比+535件、+3.9%)、被害額841.1億円でした。件数は前年より増えています。

一方で、法人被害を除く総認知件数に占める高齢者の割合は51.3%となり、前年から-14.0ポイント低下しました。被害総額に占める割合は59.2%です。

この51.3%という数値は特殊詐欺全体(法人被害を除く総認知件数)を母数としており、前章までのオレオレ詐欺・架空料金請求詐欺の年代別分析とは集計対象が異なります。数値を並べて比較する際は、対象範囲の違いに注意してください。

高齢者の実数が増えたにもかかわらず構成比が14.0ポイントも下がったという事実は、若年層を含む他の年代の被害がそれ以上のスピードで増えたことを示しています。パイ全体が膨らんだ結果、相対的な比率が動いたわけです。

警察庁も公表資料の被害防止対策の項で、次のように明記しています。
「ニセ警察詐欺の増加に伴い、高齢者だけでなく、20代、30代を含む幅広い年代の被害が増加。これは、特殊詐欺等の手口が巧妙化し、犯人側と接触してしまえば、誰もがだまされるおそれがあるということを意味する」

これは筆者の感想ではなく、一次資料に記された公式の認識です。自分は大丈夫という感覚には、統計上の裏付けがありません。

20代・30代がいま取るべき対策

最優先は、電話に出る前の段階で相手を減らすことです。統計が示す入口は、圧倒的に電話でした。

警察が把握した特殊詐欺が疑われる予兆電話は331,653件(前年比+138,178件、+71.4%)にのぼります。1日あたりに直すと約909件です(331,653÷365。一次資料に直接記載のない独自計算です)。

入口を塞ぐ:国際電話とアプリ

警察庁は対策として、国際電話不取扱受付センターの利用、携帯電話の国際電話着信を規制するアプリ、警察庁が推奨する無料の特殊詐欺対策アプリを挙げています。加えて、みんなでとめよう!!国際電話詐欺#みんとめという取組も進められています。

固定電話を持たない若年層でも、スマホ側の国際電話着信規制は有効な選択肢です。心当たりのない国際電話番号を最初から鳴らさない設定にしておきましょう。

接触してしまった後の3原則

警察庁の公式コメントが述べるとおり、犯人側と接触した時点で誰もがだまされるおそれがあります。だからこそ、接触後の行動をあらかじめ決めておく価値があります。

場面 取るべき行動
警察官を名乗る電話・ビデオ通話 いったん通話を切り、自分で調べた代表番号へかけ直して事実確認する
口座の潔白を証明してほしいと言われた 資産の確認や送金を求める時点で捜査ではないと判断する
SMS・メールの未払い通知 本文中のリンクを踏まず、契約元の公式アプリや公式サイトから残高を確認する

周囲の目も依然として機能しています。コンビニ店員や金融機関職員等の声掛けによる被害防止は17,962件・152.7億円を阻止しました。ただし阻止率は39.8%(前年比-9.5ポイント)へ下がっており、水際で止まる比率は落ちています。

読者が警戒すべき点:阻止率が9.5ポイント下がったということは、店頭や窓口で止めてもらえる確率が以前より低いということです。他人に止めてもらう前提ではなく、自分で通話を切る前提に切り替えましょう。

次の統計公表で見るべきポイント

次回以降に注目すべきは、ニセ警察詐欺の令和8年(2026年)の数字です。新設分類の2年目にあたるため、初めて同じ土俵での前年比較が可能になります。

令和7年の急増には分離集計開始による可視化効果が混じっている可能性がありました。令和8年の数値と並べて初めて、この手口が本当に伸び続けているのかどうかが判定できます。

もう1つの指標は、20代・30代の構成比です。オレオレ詐欺で27.9%、架空料金請求詐欺で30.0%という水準がさらに上がるのか、それとも一時的な跳ね上がりだったのかは、次の公表で確かめる価値があるでしょう。

まとめ

  • 令和7年(2025年)確定値では、オレオレ詐欺の20代が+361.7%、30代が+329.3%と若年層の被害が突出して増えた
  • 急増の中心は令和7年から統計を開始した新設分類のニセ警察詐欺であり、可視化効果を差し引いて読む必要がある
  • 警察庁が誰もがだまされるおそれがあると明記した以上、親の心配より先に自分の電話設定を見直すべきだ

次のアクションは1つだけです。手元のスマホで国際電話の着信規制設定を確認し、心当たりのない国際番号を鳴らさない状態にしておきましょう。

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よくある質問

Q
オレオレ詐欺は高齢者だけの問題ではないのですか。
A

違います。令和7年(2025年)確定値では、オレオレ詐欺の20代・30代合計が認知件数の27.9%(前年比+14.4ポイント)を占めました。

警察庁も公表資料の中で、高齢者だけでなく20代・30代を含む幅広い年代の被害が増加していると明記しています。

Q
オレオレ詐欺が前年比で2倍以上に増えたと考えてよいですか。
A

単純にそう読むのは早計です。オレオレ詐欺の前年比は件数+114.6%、被害額+148.3%ですが、この中にはニセ警察詐欺という令和7年から統計を開始した新設分類の影響が含まれます。

オレオレ詐欺14,489件のうち10,859件(74.9%)がニセ警察詐欺であり、分離集計を始めたことによる可視化効果が相当程度混ざっている可能性があります。

Q
ニセ警察詐欺では、どんな要求をされるのですか。
A

現金の送金にとどまらず、金地金の要求やわいせつ行為の要求まで確認されています。令和7年には、性的被害を伴う事案が247件、金地金をだまし取る手口が173件・被害額60.2億円と記録されました。

捜査を名目に資産の確認や引き渡しを求められた時点で、詐欺を疑う判断材料になります。

Q
今回の数値は暫定値ですか、それとも確定値ですか。
A

すべて確定値です。対象期間は令和7年(2025年)1〜12月で、令和8年(2026年)5月22日に警察庁が公表した資料に基づいています。

暫定値ではないため、後日の大幅な改定を前提にせず読むことができます。

Q
若年層は被害額が小さいので、そこまで警戒しなくてもよいのでは。
A

金額の規模は決して小さくありません。オレオレ詐欺における20代の被害額は50.0億円、30代は90.7億円でした。

確かに20代・30代合計は認知件数の27.9%に対し被害額では12.4%と、1件あたりは高齢層より小さい傾向にあります。ただし件数の多さは、接触される機会そのものが多いことを示しています。

出典・参考URL

  • https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2025.pdf 令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値・令和8年5月22日公表)|警察庁

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