ニセ警察詐欺とは:2025年に急増した新型手口
ニセ警察詐欺とは、警察官や捜査員を装って被害者に電話をかけ、「あなたの口座が犯罪に使われている」「捜査に協力するため現金を預けてほしい」などの名目で金銭をだまし取る手口です。
2025年上半期だけで認知件数4,737件、被害額389.3億円に達し、特殊詐欺全体の35.9%を占める最大の手口となりました。警察庁は2025年1月からこの手口を独立した統計項目として集計を開始しており、被害の深刻さを示しています。
従来のオレオレ詐欺が「息子や孫」を装う手口だったのに対し、ニセ警察詐欺は「国家権力」を利用して被害者の判断力を奪う点に特徴があります。「警察に逆らえない」という心理が、幅広い年代の被害者を生んでいます。
ニセ警察詐欺の典型的な犯行パターン
犯行の典型的なパターンは次のとおりです。まず、警察を名乗る人物から「あなたの銀行口座が不正送金に使われている」「マネーロンダリングの疑いがある」といった電話がかかってきます。
続いて、「捜査に協力するために現金を一時的に預けてほしい」「安全な口座に資金を移す必要がある」と要求します。さらに信憑性を高めるため、検察官や金融庁の職員を名乗る別の人物が電話に出ることもあります。最終的に、指定された口座への振込みや、自宅に現金を取りに来る「受け子」への手渡しで被害が発生します。
巧妙化する偽装技術
近年のニセ警察詐欺では、犯人がAI音声合成技術を使って実在の警察官に似せた声で電話をかけるケースが報告されています。また、偽の逮捕状や捜査令状の画像をSNSやメールで送信して信憑性を高める手口も確認されています。
電話番号を偽装して、実際の警察署の番号を表示させる「番号偽装」の技術も使用されており、着信番号だけでは真偽の判断ができないのが現状です。
年代別の被害状況:若い世代にも拡大
年代別では30代が973件と最多で、次いで20代が884件と、従来の特殊詐欺とは異なり若い世代の被害が目立っています。「警察からの電話」という権威を利用した手口は、年齢に関係なく心理的な動揺を引き起こすため、被害者層が広がっていると考えられます。
高齢者だけでなく、社会人経験が浅い20代や、子育て中で余裕のない30代も標的になっています。「自分は詐欺に引っかからない」という自信がある世代ほど、権威ある存在からの電話に対して疑いを持ちにくいという逆説的な状況が生まれています。
ニセ警察詐欺と他の詐欺手口の違い
ニセ警察詐欺がオレオレ詐欺や架空請求詐欺と異なる点は、「被害者を犯罪者扱いする」ことで恐怖と焦りを同時に与える点です。「あなたの口座が犯罪に使われている」と言われた被害者は、「自分が疑われている」という不安から冷静な判断ができなくなります。
さらに、「この件は捜査中なので家族にも話さないでください」と口止めすることで、家族や知人への相談を封じるのも特徴的な手口です。被害者は孤立した状態で犯人の指示に従ってしまう構造が作られます。
ニセ警察詐欺を見破るポイント
最も重要なのは、本物の警察官が電話で送金や現金の受け渡しを要求することは絶対にないという事実を知っておくことです。警察が捜査のために個人の資金を預かったり、口座を移し替えたりすることはありません。
不審な電話がかかってきた場合は、相手の所属と名前を聞き、一度電話を切ってから、最寄りの警察署の代表番号に自分でかけ直して確認してください。犯人から告げられた電話番号にかけ直してはいけません。
具体的な確認手順
電話を切った後、110番に電話して「先ほど〇〇警察署の〇〇と名乗る人物から電話がありましたが、本当に捜査が行われていますか」と確認してください。本物の捜査であれば、警察側で対応を説明してくれます。
家族にもすぐに連絡し、状況を共有してください。犯人に「家族に話すな」と言われていても、それ自体が詐欺の証拠です。本物の警察が捜査対象者に「秘密にしろ」と要求することはありません。
ニセ警察詐欺への社会的対策
警察庁は全国の都道府県警察を通じて、ニセ警察詐欺に関する注意喚起を強化しています。金融機関では、高額の振込みや引出しの際に声掛けを行い、詐欺被害を未然に防ぐ取り組みを進めています。
自治体によっては、高齢者世帯に自動通話録音装置を無償で貸し出すサービスを実施しているところもあります。お住まいの自治体に問い合わせてみてください。
対策チェックリスト
- 警察が電話で送金や現金の受け渡しを求めることは絶対にない。
- 不審な電話は一度切り、最寄りの警察署に自分でかけ直す。
- 相手が告げる電話番号ではなく、公式の代表番号に連絡する。
- 「口座が犯罪に使われている」と言われても慌てず、家族に相談する。
- AI音声や偽の身分証画像に騙されないよう注意する。
- 少しでも不審に感じたら、#9110に相談する。
関連用語
- 特殊詐欺:ニセ警察詐欺は特殊詐欺の一手口であり、2025年には最大の割合を占めた
- 劇場型勧誘:複数の犯人が警察官・検察官・銀行員を演じ分ける手口は劇場型の典型例
- 権威への服従:警察官を装うことで被害者の判断力を奪う心理メカニズム
- 公的機関装い:警察・検察・金融庁など公的機関を装って信頼を得る詐欺手口の総称
よくある質問
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Q本物の警察からの電話とニセ警察詐欺をどう見分けますか
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A
本物の警察は電話で送金指示、現金の受け取り、口座情報の聞き出しを行いません。これらの要求があった時点で詐欺と判断してください。不安な場合は110番または最寄り警察署の代表番号で確認できます。
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Qニセ警察詐欺は主にどの地域で発生していますか
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A
東京、大阪、神奈川、愛知、埼玉、千葉、兵庫、福岡の8都府県で全体の約67%が集中しています。ただし地方でも被害は発生しており、全国的な注意が必要です。
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Q警察を名乗る電話で番号が本物の警察署と同じだった場合は安全ですか
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A
安全とは限りません。犯人は電話番号を偽装する技術を使って、実際の警察署の番号を表示させることができます。着信番号だけで真偽を判断せず、一度切ってから自分でかけ直してください。


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