詐欺罪とは?4つの成立要件と10年以下の刑罰を解説

法規・刑罰・代償
詐欺罪とは?ざっくりと3行で
  • 詐欺罪とは、人をだまして財物を交付させた者に10年以下の拘禁刑を科す刑法246条の犯罪で、うそで誰かのお金や物を奪えば問答無用で適用される。
  • 架空請求・投資詐欺・フィッシング詐欺など、「欺く→錯誤→交付→占有移転」という4段階が揃った時点で刑事責任が発生する仕組みになっている。
  • この罪を知っておけば、被害に遭ったとき「詐欺罪で告訴できる」という根拠を持ち、警察への被害届が通りやすくなる

【深掘り】これだけは知っておけ

詐欺罪が成立するには「被害者が自分の意思で渡す」という交付行為が必要です。被害者の意思に反して奪う窃盗罪とはここが決定的に違います。架空請求や投資詐欺は被害者が「支払わなければならない」「儲かる」と信じて自ら振り込むため、詐欺罪が成立します。

詐欺罪は刑法246条に規定され、条文は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する」と定めています。2項では財物ではなく財産上の利益を得る場合(タクシー代を踏み倒すなど)も同様に処罰されます。成立には4つの構成要件が必要です。まず加害者が欺く行為(欺罔行為)を行い、その結果被害者に錯誤(勘違い)が生じ、錯誤に基づいて被害者が財物を交付し、加害者がその占有を取得する、という流れです。この因果の連鎖のどこかが欠ければ詐欺罪は成立しません。主観的要件として故意と不法領得の意思も必要です。法定刑は10年以下の拘禁刑で、罰金刑の規定がないため、有罪になれば必ず懲役(拘禁刑)になります。

実際の詐欺被害で覚えておきたいのは、詐欺罪の時効です。公訴時効は10年(刑事訴訟法250条2項3号)で、被害日から10年以内であれば刑事告訴が可能です。また、刑法246条(詐欺罪)には「未遂罪」の規定もあり(250条)、だますつもりで行動を起こしたが財物を得られなかった場合も処罰の対象です。民事では、詐欺被害の損害賠償請求(不法行為・不当利得返還)と刑事の詐欺罪告訴を並行して進めることで、被害回復の可能性が高まります。告訴状の提出先は被害者の居住地または被疑者の所在地を管轄する警察署です。

特殊詐欺(オレオレ詐欺・架空請求詐欺など)は、組織の末端の受け子・出し子も詐欺罪の共犯として処罰されます。「知らなかった」「バイトのつもりだった」は原則として無罪の理由になりません。闇バイトで使い捨てにされる若者が加害者になるリスクを正確に理解するためにも、詐欺罪の射程範囲を知ることは自分の身を守ることにつながります。

電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)は、詐欺罪と同じ刑罰で、コンピューターを欺いて財産上の利益を得る行為を対象にします。他人のクレジットカード情報でネット決済する、ネットバンキングで不正送金させる行為などが典型です。詐欺罪が「人」を欺くのに対し、こちらはシステムを欺くという点で区別されます。詐欺被害に遭ったと感じたら、振込記録・メッセージ・契約書を保全し、警察の相談専用電話(#9110)または最寄り署に被害届を出し、同時に消費者ホットライン(188)にも相談することが被害回復の第一歩です。

詐欺罪の成立要件(4段階)

段階内容具体例
①欺罔行為加害者が人を欺く行動「元本保証で年利30%」のうそ
②錯誤被害者が勘違いする「確かに安全だ」と信じる
③交付行為被害者が自分の意思で渡す口座に振り込む
④占有移転加害者が財物を手に入れる出し子が現金を引き出す

典型的なフレーズ・文脈

架空の投資話で元本保証を偽る詐欺師のイラストアイコン
詐欺師

これは政府系ファンドとの提携案件ですから、絶対に元本は保証されます。今月中に申し込んだ方だけ特別に年利30%でご案内できます。証拠書類もありますし、先に振り込んでいただければすぐに運用が始まりますよ。

元本保証と高利回りを偽ってすぐの振込を促す、投資詐欺の典型的な殺し文句です。この4要素(欺罔→錯誤→交付→占有移転)が揃った時点で詐欺罪が成立します。

詐欺罪逮捕ニュースを伝えるキャスターのイラストアイコン
キャスター

警察は本日、SNS型投資詐欺で被害者から総額3億円以上をだまし取ったとして、詐欺罪の疑いで主犯格の男ら5人を逮捕したと発表しました。詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑で、罰金刑の規定はありません。

警察の逮捕発表を受けた夕方のニュースを想定した表現です。詐欺罪の刑罰に罰金がない点も正確に伝えています。

詐欺罪の刑事告訴手順を解説する弁護士のイラストアイコン
専門家

振込記録とやり取りの証拠を持って警察に被害届を出してください。受理されれば捜査が動きます。刑事告訴と並行して、不法行為に基づく損害賠償請求を民事でも起こすことで、刑事で有罪が確定すれば民事でも有利に進められます。

弁護士が、詐欺被害者に刑事告訴と民事請求の並行戦略を案内する場面を想定しています。

困ったときの相談窓口

詐欺被害に遭った場合や、詐欺と疑われる勧誘を受けた場合は、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
警察相談専用電話#9110平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる)詐欺被害の相談・被害届の案内
消費者ホットライン188地域の窓口に準ずる悪質商法・詐欺被害の相談
法テラス(日本司法支援センター)0570-078374平日 9:00〜21:00/土曜 9:00〜17:00告訴・損害賠償の法的相談

【まとめ】3つのポイント

  • 4段階が揃ったら詐欺罪:欺く→錯誤→交付→占有移転、この連鎖が完成した時点で刑法246条の詐欺罪が成立し、懲役最大10年が科せられます。
  • 罰金はなく、必ず身柄で贖う:詐欺罪に罰金刑の規定はありません。有罪になれば拘禁刑(懲役)一択です。共犯の受け子も同じ責任を負います。
  • 証拠を持って刑事と民事を同時に動かす:振込記録・やり取りを保全し、#9110や警察署で被害届。弁護士に依頼して損害賠償請求も並行させるのが被害回復の王道です。

よくある質問

Q
詐欺の被害届は警察に受理してもらえますか?
A

証拠が揃っていれば受理される可能性が高まります。振込記録・相手とのメッセージ・契約書など、欺罔行為と交付を裏付ける資料を持参してください。証拠が不十分だと「捜査困難」として進まないこともあります。まず#9110に電話して状況を説明し、どの署に行けばよいか案内してもらうのがスムーズです。

Q
詐欺師が海外にいる場合、逮捕はできますか?
A

困難ではありますが、不可能ではありません。INTERPOL(国際刑事警察機構)を通じた国際手配や、犯罪人引渡し条約を結ぶ国への要請が手段としてあります。実際に東南アジアを拠点とした特殊詐欺グループが現地で摘発・送還されたケースも複数あります。ただし時間と手続きを要するため、並行して民事での資産凍結・被害回復を進めることが現実的です。

Q
受け子・出し子も詐欺罪になりますか?
A

なります。詐欺罪は共犯規定(刑法60条)により、実行行為の一部を担った者全員が詐欺罪の共同正犯として処罰されます。「バイトだから」「主犯ではないから」は法的に免罪符になりません。現金を受け取ったり口座から引き出したりする行為だけで共犯が成立し、初犯でも実刑判決が出るケースがあります。

Q
詐欺罪と窃盗罪との違いは何ですか?
A

被害者が「自分の意思で渡したか」どうかが分かれ目です。詐欺罪は被害者がだまされて自分から渡す「交付行為」が必要です。一方、窃盗罪は被害者の意思に反して奪い取るもので、交付行為はありません。たとえばスリや引ったくりは窃盗罪、振り込め詐欺は詐欺罪です。コンビニ店員に偽の話を信じ込ませて金を取り出させた場合は詐欺罪の可能性があります。

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【出典】参考URL

https://keiji.vbest.jp/columns/g_property/3229/:刑法246条の条文・成立要件・電子計算機使用詐欺罪の根拠
https://recones-law.com/2025/12/刑法上の詐欺罪とは/:4段階の構成要件(欺罔→錯誤→交付→占有移転)の根拠
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category02/sagizai/:法定刑・罰金なし・公訴時効10年の根拠
https://bennavi.jp/columns/3/:電子計算機使用詐欺罪・準詐欺罪の根拠

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