ストーカー規制法とは?つきまといから被害者を守る法律

法規・刑罰・代償
ストーカー規制法とは?ざっくりと3行で
  • ストーカー規制法とは、恋愛感情やその裏返しの怨恨から特定の相手につきまといを繰り返す行為を規制し、被害者を守る法律だ。
  • つきまとい・待ち伏せ・しつこい連絡やGPSによる位置情報の無断取得などを規制対象とし、警察が警告や禁止命令を出して行為をやめさせ、改善しなければ逮捕できるようにすることで重大な事件に発展する前の段階で被害者を保護できるようにしている
  • 仕組みを知っておけば、つきまとい被害は我慢せず警察に相談すれば警告や禁止命令を出してもらえると分かり、早期に身を守れる。

【深掘り】これだけは知っておけ

ストーカー規制法のポイントは、暴力や脅迫といった重大被害に至る「前」の段階のつきまとい行為を規制できる点です。だからこそ、被害を我慢せず早めに相談することが、重大事件を防ぐ鍵になります。

ストーカー規制法(正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)は、特定の相手への恋愛感情や好意、またそれが満たされなかった怨恨の感情から、つきまといなどを繰り返す行為を規制する法律です。2000年11月に成立しました。前年に起きた「桶川ストーカー殺人事件」が契機となり、暴力や脅迫の被害に遭う前の段階である「つきまとい等」への規制が、初めて法的に認められました。規制対象となる「つきまとい等」には、つきまとい・待ち伏せ・押しかけ、住居や勤務先の付近での見張り、面会や交際の要求、乱暴な言動、無言電話やしつこい連絡、汚物の送付、名誉を害する行為、性的羞恥心を害する行為などがあります。

「ストーカー行為」とは、同一の相手に対してこれらのつきまとい等を「反復して」行うことを指します。被害を受けた場合、警察は加害者に対し、文書による「警告」を出すことができ、それでも改善しなければ「禁止命令」を出します。禁止命令に違反すれば逮捕され、被害者が保護されます。この法律は、ストーカー行為の多様化に合わせて何度も改正されてきました。2021年の改正では、相手の承諾を得ずにGPS機器等で位置情報を取得する行為や、相手の所持品にGPS機器を取り付ける行為(位置情報無承諾取得等)が新たに規制対象に加わりました。さらに2025年の改正(令和7年12月施行)では、紛失防止タグを使った位置情報の無承諾取得も規制対象に追加されています。また、法改正により非親告罪となり、被害者の告訴がなくても検察官が起訴できるようになりました。

近年特に注意したいのが、GPS機器や紛失防止タグの悪用です。相手の車やカバンにこっそり取り付けて居場所を把握する行為は、現在ストーカー規制法の対象です。身に覚えのない小型端末が持ち物に紛れていないか、不安なときは確認し、警察に相談してください。

被害に遭ったときに知っておくべきこととして、つきまといや執拗な連絡、GPSでの追跡などの被害は、一人で我慢せず早めに警察に相談すること。証拠(メールやSNSのやり取り、待ち伏せの記録、不審な端末など)を保全しておくこと。警察に相談すれば、加害者への警告や禁止命令を求められ、被害者の保護措置も受けられること。命の危険を感じる場合はためらわず110番すること。ストーカー規制法は、被害が深刻化する前の段階で行為を止め、被害者を守るための法律です。「これくらいで相談していいのか」とためらわず、つきまといを感じたら早めに行動することが、自分の安全を守る最も確実な方法です。

ストーカー規制法の規制対象と対応

規制対象行為警察の対応
つきまとい等待ち伏せ・押しかけ・しつこい連絡警告・禁止命令
位置情報無承諾取得等GPS機器・紛失防止タグでの追跡警告・禁止命令
ストーカー行為上記を反復して行う禁止命令違反で逮捕

典型的なフレーズ・文脈

GPSで相手を追跡しようとするストーカー加害者のイラストアイコン
詐欺師

(加害者の独白)プレゼントだと言って、紛失防止タグを忍ばせた小物を渡せば、相手の居場所がいつでも分かる。会いに行っても偶然を装える。連絡を拒否されても、どこにいるか把握していれば、いくらでも接触できるはずだ。

GPS機器や紛失防止タグを使って相手の位置情報を無断で取得する手口です。2021年・2025年の改正でストーカー規制法の規制対象に追加され、処罰されます。

ストーカー規制法の改正を報じるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

ストーカー規制法は、つきまといなどを繰り返す行為を規制し、警察が警告や禁止命令を出せると定めています。改正により、GPS機器や紛失防止タグを使った位置情報の無断取得も規制対象に追加されました。

ストーカー規制法の規制内容と改正を解説する報道番組のキャスターを想定した表現です。

早期の相談を助言する被害者支援の専門家のイラストアイコン
専門家

つきまといや執拗な連絡、GPSでの追跡は我慢しないでください。早めに警察へ相談すれば、警告や禁止命令を出してもらえます。やり取りや不審な端末は証拠として保全を。危険を感じたら迷わず110番してください。

被害者支援の専門家が、ストーカー規制法に基づく早期相談の重要性を助言する場面を想定しています。

ストーカー規制法の歴史

ストーカー規制法は、痛ましい事件を契機に成立し、ストーカー行為の多様化に合わせて規制対象を広げてきました。その歩みをたどります。

出来事
1999年桶川ストーカー殺人事件が発生し、立法のきっかけとなる。
2000年ストーカー規制法が成立・施行される。つきまとい等への規制が初めて法的に認められた。
2013年改正により、拒まれても連続してメールを送る行為などが規制対象に追加される。
2021年改正により、GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得が規制対象に加わる。
2025年改正(令和7年12月施行)により、紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得も規制対象に追加される。

困ったときの相談窓口

つきまといなどのストーカー被害を受けている場合は、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
警察相談専用電話#9110平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる)ストーカー被害の相談
緊急時(身の危険を感じる場合)11024時間緊急の通報
DV相談ナビ#8008各窓口に準ずる配偶者等からの暴力・つきまといの相談

【まとめ】3つのポイント

  • 正体は被害者を守るための規制法:つきまといを繰り返す行為を規制し、重大事件に至る前に被害者を保護します。
  • GPSや紛失防止タグの悪用も対象:改正により、位置情報の無断取得も規制対象に加わりました。
  • 我慢せず早めに警察へ相談を:警告や禁止命令を出してもらえます。証拠を保全し、危険を感じたら110番してください。

よくある質問

Q
どの程度の行為からストーカー規制法の対象になりますか?
A

恋愛感情やその裏返しの怨恨から、特定の相手につきまとい・待ち伏せ・押しかけ、しつこい連絡、見張り、GPSでの追跡などを行うと対象になりえます。「ストーカー行為」として規制されるには、これらを「反復して」行うことが要件ですが、一定期間内に複数回という以上の明確な回数の定めはなく、状況によって判断されます。「これくらいなら大丈夫か」と自己判断せず、不安を感じたら早めに警察に相談してください。早期の相談が、行為のエスカレートを防ぎます。

Q
警告と禁止命令はどう違うのですか?
A

段階と強制力が異なります。警告は、警察が加害者に対し「さらに反復してつきまとい等を行ってはならない」と文書で注意を促すものです。禁止命令は、より強い行政処分で、つきまとい等をしてはならないと命じるものです。禁止命令に違反すると罰則が科され、逮捕につながります。一般的には、警告で改善が見られない場合に禁止命令へ進みますが、緊急の必要があるときは警告を経ずに禁止命令が出される場合もあります。いずれも被害者の申し出などに基づいて行われます。

Q
持ち物にGPSを取り付けられたかもしれません。どうすれば?
A

相手の承諾なくGPS機器や紛失防止タグで位置情報を取得する行為は、ストーカー規制法の規制対象です。身に覚えのない小型端末がカバンや車に紛れていないか確認し、見つけても無理に対処しようとせず、証拠として保全したうえで警察に相談してください。スマートフォンに見覚えのない位置情報共有アプリが入っていないかもチェックするとよいでしょう。不安なときは、一人で抱え込まず、警察相談専用電話(#9110)に相談してください。危険を感じる場合は110番です。

Q
ストーカー規制法とDV防止法の違いは何ですか?
A

主に対象となる相手との関係が異なります。ストーカー規制法は、恋愛感情やその怨恨に基づくつきまといを、相手との関係を問わず広く規制します。DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)は、配偶者や事実婚、元配偶者など、親密な関係にある(あった)相手からの暴力を主な対象とし、保護命令などの仕組みを定めています。元交際相手によるつきまといなど、両方が関係しうるケースもあります。どちらの場合も、警察や専門の相談窓口に相談することで適切な保護を受けられます。

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