- 暴力団対策法(暴対法)とは、指定暴力団員による「みかじめ料」の要求や不当な債権取立てなど、暴力を背景にした不当要求を規制し、市民生活を守る法律だ。
- 公安委員会が悪質な暴力団を指定暴力団に指定し、27種類の暴力的要求行為を禁止して中止命令や再発防止命令を出せるようにすることで、刑事事件にしにくかった民事介入暴力を行政の力で食い止めている。
- 仕組みを知っておけば、みかじめ料や用心棒代を要求されても警察に相談すれば中止命令を出してもらえると分かり、泣き寝入りを避けられる。
【深掘り】これだけは知っておけ
暴力団対策法(正式名称「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」、略称・暴対法)は、暴力団員による暴力的要求行為を規制し、対立抗争による市民への危険を防止して、市民生活の安全と平穏を確保する法律です。1991年に制定され、1992年に施行されました。それまで刑事手続きでの摘発が難しかった民事介入暴力(民事的なトラブルに暴力団が介入して金品を要求する行為)を、行政命令で規制できるようにした点が画期的でした。仕組みの中心は「指定暴力団」制度です。公安委員会が、組織的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれが大きい悪性の強い暴力団を「指定暴力団」に指定し、その構成員による不当要求を規制します。
暴対法第9条は、指定暴力団員が組の威力を示して行う27種類の行為を「暴力的要求行為」として禁止しています。代表例として、縄張り内の店に対するみかじめ料・用心棒料の要求、利息制限法を超える高利の取立て、乱暴な言動や迷惑な方法での不当な債権取立て、人の弱みにつけ込む口止め料の要求、企業に対する不当な株の買い取り要求などがあります。これらの行為があった場合、都道府県公安委員会は「中止命令」や「再発防止命令」を出すことができます。命令に違反すれば罰則が科されます。さらに法改正により、危険な不当要求や抗争を繰り返す指定暴力団を「特定危険指定暴力団」「特定抗争指定暴力団」に指定して活動を大幅に制限する仕組みや、組長(トップ)の使用者責任を問う規定も設けられました。2023年には最高裁が再発防止命令の規定を合憲と判断しています。
事業者や市民が知っておくべきこととして、みかじめ料・用心棒代の要求は明確な違法行為であり、「少額だから」「年に1回だから」と応じてはいけないこと。一度応じると、暴力団と関係のある店だという風評が立ち、関係を断ち切れなくなる危険があること。不当要求を受けたら、最寄りの警察署や都道府県の暴力追放運動推進センターに相談すれば、中止命令などの対応を求められること。暴力団員から脅し取られたお金は、勇気を持って損害賠償請求できること。暴力団対策法は、市民が暴力の脅威に屈せず日常を守るための盾です。要求に応じるのではなく、相談という選択肢があることを知っておくのが、被害を断ち切る第一歩になります。
暴力的要求行為の主な例(27行為の一部)
| 行為 | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| みかじめ料・用心棒料の要求 | 縄張り内の店に金品を要求 | 公安委員会の中止命令 |
| 不当な債権取立て | 乱暴な言動で債権を取り立てる | 再発防止命令 |
| 口止め料の要求 | 弱みにつけ込み金品を要求 | 被害回復援助の申出 |
典型的なフレーズ・文脈

このあたりで商売するなら、うちに挨拶しとかないとな。月々のみかじめ料を払ってくれれば、面倒ごとからは守ってやる。なに、たいした額じゃない。払っといたほうが、あんたの店のためだ。わかるよな?
店舗にみかじめ料や用心棒料を要求する典型的な手口です。暴対法第9条が禁じる暴力的要求行為にあたり、警察に相談すれば公安委員会が中止命令を出せます。

暴力団対策法は、指定暴力団員によるみかじめ料の要求など27の暴力的要求行為を禁止しています。被害を受けた場合、公安委員会が中止命令を出すことができ、被害者は警察に被害回復の援助を申し出ることもできます。
暴力団対策法の不当要求規制と救済制度を解説する報道番組のキャスターを想定した表現です。

みかじめ料や用心棒代の要求には「少額だから」と応じないでください。一度払うと関係を断てなくなります。警察や暴力追放運動推進センターに相談すれば中止命令を求められます。被害は#9110へ。
暴力追放運動推進センターの相談員が、暴力団対策法に基づく不当要求への対応を助言する場面を想定しています。
暴力団対策法の歴史
暴力団対策法は、暴力団の活動形態の変化に対応して、規制対象や権限を段階的に強化してきました。その変遷をたどります。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1991年 | 暴力団対策法が制定される(翌1992年3月施行)。指定暴力団制度と暴力的要求行為の規制が始まる。 |
| 1993年 | 暴力団の「経済ヤクザ化」に対応し、損失補填や不当な株の買い取り要求、競売妨害などを禁ずる改正が施行される。 |
| 2012年 | 改正により、特定危険指定暴力団・特定抗争指定暴力団の制度が導入され、活動が大幅に制限される。 |
| 2023年 | 最高裁が再発防止命令の規定を合憲と判断する。 |
| 現在 | 暴力団の不透明化に対応し、排除と被害者救済の取り組みが続けられている。 |
困ったときの相談窓口
暴力団による不当要求を受けた場合は、以下の窓口に相談できます。
| 窓口名 | 電話番号 | 受付時間 | 対応内容 |
|---|---|---|---|
| 警察相談専用電話 | #9110 | 平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる) | 暴力団の不当要求の相談 |
| 全国暴力追放運動推進センター | 03-3201-3471 | 平日 9:00〜17:00(各都道府県センターあり) | 暴力団被害・離脱の相談 |
| 法テラス | 0570-078374 | 平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00 | 法的トラブル・損害賠償の相談 |
【まとめ】3つのポイント
- 正体は市民を不当要求から守る法律:指定暴力団員のみかじめ料要求など27の暴力的要求行為を規制します。
- 行政命令で民事介入暴力を止める:刑事事件にしにくい不当要求を、公安委員会の中止命令で食い止めます。
- 要求に応じず相談を:「少額だから」と払うと関係を断てなくなります。警察や暴力追放運動推進センターに相談しましょう。
よくある質問
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Qみかじめ料を払ってしまいました。取り戻せますか?
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A
取り戻せる可能性があります。暴力団員から脅し取られたお金は、損害賠償請求によって取り戻せる場合があります。政府も「勇気を持って損害賠償請求を」と呼びかけています。まず警察や暴力追放運動推進センターに相談してください。中止命令が出された場合には、警察による被害回復援助も受けられます。一人で抱え込まず、専門の窓口に相談することが、お金を取り戻し、関係を断ち切る第一歩です。支払いの記録などの証拠があれば保全しておきましょう。
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Q指定暴力団とそうでない暴力団で何が違うのですか?
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A
指定暴力団とは、公安委員会が暴対法の要件に基づき、組織的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれが大きいと認めて指定した、悪性の強い暴力団です。指定されると、その構成員の暴力的要求行為に対して中止命令などの行政命令を出せるようになります。暴対法の規制の多くは「指定暴力団員」を対象としているため、指定されているかどうかは規制を適用する上で重要です。なお、指定の有無にかかわらず、恐喝や脅迫などの行為は刑法で処罰されます。
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Q相談したら暴力団に報復されないか心配です。
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A
不安はもっともですが、相談せず要求に応じ続けるほうが、結果的に関係が深まり危険です。警察や暴力追放運動推進センターは、こうした被害相談に慣れており、相談者の安全に配慮した対応を行います。中止命令や再発防止命令は、加害者に対して公的に行為をやめさせる強制力を持ち、違反すれば罰則が科されます。報復の懸念がある場合も、その点を含めて相談すれば、保護的な措置を検討してもらえます。一人で抱え込まず、専門の窓口に相談することが安全への近道です。
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Q暴力団対策法と暴力団排除条例の違いは何ですか?
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A
規制の主体と対象が異なります。暴力団対策法は国の法律で、主に指定暴力団員による不当要求行為そのものを規制します。暴力団排除条例は各都道府県が定める条例で、暴力団員だけでなく、暴力団に利益を供与する事業者や、暴力団と取引する一般市民の側も規制対象に含め、社会全体から暴力団を排除することを目指します。暴対法が「暴力団員の行為」を直接取り締まり、暴排条例が「暴力団との関係を持つ社会の側」にも網をかける、という補完関係にあると理解してください。


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