- ドン・ラプレは1990年代に小さな新聞広告で毎月5万ドル稼いだと謳うテレビ通販番組で全米の深夜テレビを席巻した
- その後立ち上げたビタミン販売ビジネスで22万6000人以上から約5200万ドルを詐取。41の罪状で連邦大陪審に起訴された
- 2011年10月、裁判開始の2日前にアリゾナ州の拘置所で自殺。47歳で悲劇的な最期を迎えた
僕のワンベッドルームのアパートから、先月は5万ドル稼いだ。小さな新聞広告を出すだけで――。1990年代のアメリカで深夜テレビを見ていた人なら、少年のような笑顔で語りかけるドン・ラプレの姿を覚えているかもしれません。彼は自らをインフォマーシャルの王と呼び、夢を売り続けました。しかしその夢の実態は、22万人以上の被害者を生み出す詐欺だったのです。
この記事では、深夜テレビの情報商材ビジネスの先駆者がいかにして巨額詐欺で起訴され、悲劇的な最期を迎えたかを解説します。
ラプレの経歴と情報商材ビジネスの始まり
ドン・ラプレとは、1964年にロードアイランド州プロビデンスで生まれたアメリカのマルチ商法セールスマン兼テレビ通販の司会者です。
中流家庭で育ったラプレは、起業家精神を若い頃から発揮していました。1990年、妻サリーとともに信用修復ビジネス「アンノウン・コンセプツ」を設立。37ドルのパッケージでクレジットカードやローンの保証を約束しましたが、アリゾナ州司法長官から消費者詐欺法違反で訴えられ、罰金を科されています。
その後ラプレは、住宅ローンを完済した人が連邦住宅局(FHA)から保険金の還付を受ける方法を解説した36ページの小冊子を85ドルで販売するビジネスを開始。制作費は1ドル未満でしたが、新聞の分類広告を通じて毎日1000ドル以上を売り上げたとされています。
1992年、この成功体験をもとに30分のテレビ通販番組The Making Money Show with Don Lapreを制作。小さな新聞広告だけで大金を稼ぐ方法を39.95ドルで販売し、全米の深夜テレビに登場するようになりました。
世界一のビタミンと5200万ドルの詐欺
ラプレの犯罪が本格化したのは、2003年に立ち上げたThe Greatest Vitamin in the World(世界一のビタミン)というビジネスでした。
このビジネスは、インターネットを使ったビタミン販売のフランチャイズを購入者に提供するというものでした。ラプレは自宅から毎月5万ドル稼げるとテレビで宣伝し、購入者にインターネット上の販売サイトを提供すると約束しています。
しかし連邦検察によれば、このビジネスの実態は詐欺でした。ラプレは収益の可能性を捏造し、俳優を使ったスクリプト付きの偽の体験談を放映。実現しないボーナスや販売キットを約束し、購入者から集めた資金は事業ではなくラプレ個人の豪華な生活に使われていたのです。120万ドルの高級住宅や高級車の購入費に充てられていました。
FDAは2005年と2006年に、ラプレがビタミンで糖尿病を治せるという虚偽の効能を宣伝していることについて警告を発しましたが、ラプレはこれを無視して販売を継続しています。2003年から2007年にかけて22万6794人がこのビジネスに登録し、推定5180万ドルの被害が発生しました。

ラプレの事件で最も重要なキーワードは、大多数の人は稼げなかったという彼自身の言葉です。テレビ通販や情報商材の世界では、成功した少数の事例だけが強調され、大多数が損をしている事実は隠されます。自宅で簡単に大金を稼げるという話は、ほぼ確実に詐欺か、少なくとも大多数にとっては機能しないビジネスモデルです。
起訴・逃亡・獄中自殺
2011年6月8日、アリゾナ州フェニックスの連邦大陪審がラプレを共謀、郵便詐欺、電信詐欺、マネーロンダリングの41の罪状で起訴しました。
しかしラプレは罪状認否手続きに出廷せず、逮捕状が発行されます。6月27日、アリゾナ州テンピのライフタイム・フィットネスのロッカールームに1日半隠れていたところを発見されました。発見時には大腿動脈を切断しようとした深刻な自傷行為の跡があり、病院に搬送されて緊急手術を受けています。
裁判は2011年10月4日に予定されていました。しかしその2日前の10月2日午前8時30分、アリゾナ州フローレンスの拘置所でラプレが死亡しているのが発見されました。検死の結果、カミソリの刃で自らの喉を切り、大量出血による死亡と判定されています。47歳でした。
ラプレは逮捕前に自身のウェブサイトに遺書のようなメッセージを残しており、法律違反は一切していないと主張する一方で、下記の写真がリスクを取る勇気を与えてくれることを願うと書いています。サイトには豪華な不動産の写真が掲載されていましたが、その下には子供たちの写真もありました。
まとめ
- ラプレは深夜テレビの情報商材ビジネスの先駆者であり、自宅で大金を稼げるという夢を売って22万人以上から5200万ドルを詐取した
- 41の罪状で起訴されたが、裁判の2日前に獄中で自殺。夢を売る側もまた、その夢に飲み込まれた
- 自宅で簡単に大金を稼げるという話は、ほぼ確実に詐欺か非現実的なビジネスモデルだ。成功事例の裏に何十万人もの失敗者がいることを忘れてはならない
よくある質問
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Qラプレの手法は日本でも見られますか?
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A
日本でも同様の手法は広く見られます。SNSやYouTube広告で月収100万円を謳う情報商材、自動売買で稼げるとするFXツールの販売、副業アプリの高額販売などが典型例です。テレビ通販がSNS広告に変わっただけで、自宅で簡単に稼げるという基本的な構造は同じです。消費者庁は毎年こうした案件に対する注意喚起を行っています。
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Q被害者はお金を取り戻せましたか?
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A
ラプレの自殺により刑事裁判は終結し、被害者への組織的な弁済は極めて困難になりました。集めた資金の多くはラプレ個人の生活費や複数のペーパーカンパニーを通じて散逸しており、22万人以上の被害者が5200万ドルの損失を回収できた見込みはほとんどありません。
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Qインフォマーシャルの情報商材を見分ける方法はありますか?
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A
詐欺的な情報商材に共通する特徴は3つあります。第1に、具体的な金額を挙げて簡単に稼げると約束すること。第2に、成功者の体験談が不自然に多い、または俳優を使っている可能性があること。第3に、詳細な説明なしに初期費用の支払いを急かすことです。正当なビジネスであれば、大多数が稼げなかったという事実を隠す必要はないはずです。
【出典】参考URL
- Wikipedia:Don Lapre:経歴、ビジネスの変遷、起訴と死亡の経緯
- ABC News:ラプレの獄中自殺の報道
- NBC News(Reuters):起訴と被害規模の詳報
- CBS News:ラプレの遺書とFDAの警告


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