フレデリック・ブルダンとは?カメレオンの全貌

詐欺事件
フレデリック・ブルダンとは?カメレオンの全貌を3行で要約
  • フランス人詐欺師フレデリック・ブルダンは少なくとも39の偽の身分を使い分け、行方不明の少年や孤児に成りすまして世界中を渡り歩いた
  • 最も有名な事件は、1997年にテキサスで3年間行方不明だった13歳の少年ニコラス・バークレイに成りすまし、家族と数ヶ月間暮らした詐欺だった
  • 23歳のフランス人が16歳のアメリカ人少年を演じたにもかかわらず、家族は彼を息子と信じて受け入れた。身分詐称の罪で懲役6年の判決を受けている

私は単に愛されたいだけです。私の話を聞いてもらえるなら、私に関心を持ってもらえるなら、何でもします――。フレデリック・ブルダンはテレビ番組でそう語りました。しかしその愛されたいという渇望は、行方不明の子供を待ち続ける家族の心を踏みにじる形で表現されたのです。

この記事では、40近い偽の身分を使い分けたカメレオンと呼ばれる詐欺師が、なぜ何度も別人に成りすまし続けたのか、その手口と心理を解説します。

ブルダンの生い立ちとカメレオンの誕生

フレデリック・ブルダンとは、フランス出身の連続なりすまし犯であり、少なくとも39の偽の身分を使い分けたことからカメレオンの異名で知られる人物です。

ブルダンは父親を知らず、母親にも幼い頃に捨てられています。幼少期には性的虐待も受けたと本人は語っており、10代で孤児院から逃亡して以降、他人に成りすます生活を始めました。子供時代に十分な愛情を受けられなかったことが、他人の人生を生きることへの執着の根底にあるとされています。

ブルダンのなりすましは金銭目的ではありませんでした。彼が求めていたのは、誰かに受け入れられ、関心を持たれ、愛されるという体験そのものだったのです。苦境に立たされた裕福な旅行者、大学講師、獣医、ビジネスマン、そして繰り返し――親を失ったか捨てられた子供。その全てが、彼が渇望していた居場所を得るための仮面でした。

ニコラス・バークレイ事件の全貌

ブルダンの最も有名な犯行は、1997年にテキサス州サンアントニオで3年前に失踪した13歳の少年ニコラス・バークレイに成りすました事件です。

1994年、ニコラス・バークレイは13歳でテキサス州サンアントニオから失踪しました。人身売買の疑いもある未解決事件として、家族は息子の帰りを待ち続けていたのです。

1997年、スペインの児童養護施設に保護されていたブルダンは、身元の追及を逃れるため一計を案じます。アメリカの警察署や失踪者捜索のボランティア団体に次々と電話をかけ、スペインで行方不明の少年に似た子供を見かけたという情報を流したのです。自分自身の特徴を伝えることで、やがてアメリカ大使館の職員がブルダンをニコラスとして引き取りに来ました。

驚くべきことに、ニコラスの母親は、ブルダンの強いフランス訛りと茶色い瞳にもかかわらず、彼を3年前にいなくなった青い目の息子だと信じて受け入れました。ブルダンは23歳、演じたニコラスは16歳。年齢も外見も全く異なっていたにもかかわらず、家族は数ヶ月間彼と暮らしたのです。

この事件で最も議論を呼んだのは、なぜ家族が明らかな違いに気づかなかったのかという点です。行方不明の子供を取り戻したいという強い願望が、合理的な判断を曇らせた可能性が指摘されています。一方で、家族が何か別の理由で偽物と知りながら受け入れた可能性を示唆する見方もあります。

最終的にブルダンの正体は発覚し、身分詐称の罪で懲役6年の判決を受けました。本物のニコラス・バークレイは現在に至るまで行方不明のままです。

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この事件が教えるのは、人は信じたいものを信じるという心理の恐ろしさです。客観的に見れば23歳のフランス人と16歳のアメリカ人少年を間違えるはずがありません。しかし我が子が帰ってきたと信じたいという感情が、冷静な判断を完全に覆してしまったのです。

詐欺師はこの心理を知り尽くしています。相手が何を信じたがっているかを見抜き、それを差し出す――これはあらゆる詐欺に共通する手口です。

繰り返されるなりすましと止まらない衝動

ブルダンのなりすまし行為は、ニコラス事件の前後を通じて一度も止まることがありませんでした

2003年にアメリカから帰国すると、今度はフランスのグルノーブルに現れ、1996年に父親とキャンプ中に失踪した当時7歳のレオ・バレイだと名乗りました。しかしDNA検査で否定されています。2004年には、マドリードの爆破事件で母親を亡くしたルーベン・サンチェス・エスピノーザという精神的外傷を受けた若者を演じ、スペイン警察に国外追放されました。

2005年には31歳でありながら、髪をブロンドに染め、ひげを念入りに剃り、野球帽で薄くなった頭を隠して15歳のスペイン人孤児フランシスコを演じました。交通事故で両親を亡くした後に家出した少年という設定です。フランス南西部の学校に約1ヶ月間通い続け、クラスメイトや教師を完全に騙しおおせていました。

正体が発覚したのは、テレビ番組でカメレオンという男についての特集を偶然見た教師が気づいたためです。学校の校長は、彼はせいぜいクラスメイトより2〜3歳上にしか見えませんでした。31歳だったなんて今でも信じられませんと語っています。

騙された家族の心痛について問われたブルダンは、行方不明の子供の身分を名乗ったのは2人だけで、99%の名前は完全に創作だと釈明しています。しかしその2件こそが、最も深い傷を家族に残した事件でした。

まとめ

  • ブルダンは少なくとも39の偽の身分を使い分け、行方不明の少年や孤児に成りすまして世界中の家庭に入り込んだ
  • 最大の事件では、23歳のフランス人が16歳のアメリカ人少年を数ヶ月間演じ、家族すら騙しおおせた。人は信じたいものを信じるという心理の恐ろしさを示している
  • 金銭目的ではなく愛されたいという渇望が動機だった点で、この事件は他の詐欺とは異質だ。しかし家族の希望を踏みにじった罪は重い

よくある質問

Q
本物のニコラス・バークレイは見つかりましたか?
A

見つかっていません。1994年にテキサス州サンアントニオで13歳の時に失踪して以来、現在に至るまで行方不明のままです。ブルダンの事件が注目を集めたことで捜索への関心が再燃しましたが、有力な手がかりは得られていない状況です。

Q
ブルダンの事件を題材にした映画はありますか?
A

2012年にドキュメンタリー映画The Imposter(邦題:なりすまし)が公開されています。ニコラス・バークレイ事件を中心に、ブルダン本人のインタビューと再現映像で構成された作品で、批評家から高い評価を受けました。ブルダンの実話はBBCのドキュメンタリーや日本のテレビ番組でも取り上げられています。

Q
なぜ家族は偽物だと気づかなかったのですか?
A

複数の要因が考えられます。行方不明の子供を取り戻したいという強い願望が合理的判断を曇らせた可能性、3年間の変化で外見が変わったと合理化した可能性、またブルダン自身が極めて巧みな演技者であったことなどが挙げられます。警察の捜査官も、彼の冷静で自信に満ちた話し方に信用を与えてしまうほどだったと証言しています。

【出典】参考URL

  • Tokyo Fuku-blog:40の顔を持つ男カメレオン詳細レポート
  • まとめん:ニコラス・バークレイ失踪事件とブルダンの手口
  • TVでた蔵:テレビ東京番組での事件解説

コメント

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