アンナ・ソロキンとは?NY社交界を騙した偽の富豪令嬢

詐欺事件
アンナ・ソロキンとは?NY社交界を騙した偽の富豪令嬢を3行で要約
  • ロシア生まれのアンナ・ソロキンはアンナ・デルヴェイと名乗り、6700万ドルの信託財産を持つドイツの資産家令嬢を装ってNY社交界に潜り込んだ
  • 会員制アートクラブの設立を名目に投資を勧誘し、友人・銀行・ホテルから20万ドル以上を詐取。小切手詐欺やホテル代の踏み倒しを繰り返した
  • 2019年に重窃盗罪で有罪判決。Netflixドラマ化で世界的に注目を集め、出所後もアーティストとして活動を続けている

稼ぎがゼロなのに最高級ホテルに滞在し、プライベートジェットで移動し、NYの富裕層と食事をする。そんな生活をSNSで発信し続けた26歳の女性がいました。

アンナ・ソロキンはアンナ・デルヴェイという偽名で、ドイツの富豪令嬢を装ってニューヨークの上流社会に入り込んだ詐欺師です。彼女の事件はNetflixのドラマ令嬢アンナの真実として映像化され、全世界で話題となりました。

この記事では、トラック運転手の娘がいかにしてマンハッタンの社交界を欺いたのか、その手口と、SNS時代における偽りのセルフブランディングの危険性を解説します。

アンナ・ソロキンの生い立ち

アンナ・ソロキンとは、ロシアのモスクワ郊外で労働者階級の家庭に生まれた一般人です。ドイツの富豪令嬢という設定は全くの虚構でした。

1991年1月23日、モスクワの南にあるドモデドヴォという労働者階級の街で生まれました。父のヴァディム・ソロキンはトラック運転手で、母はコンビニを経営していました。16歳のときに一家でドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州に移住しています。

ドイツではまともにドイツ語が話せない移民として差別を受け、学校でもいじめに遭いました。この経験がアンナの中に、いつか煌びやかな世界で脚光を浴び、見返してやろうという強烈な上昇志向を育てたとされています。

その後、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ美術学校に入学しますが、ほとんど出席せずにドイツに帰国。フランスのファッション誌Purpleのインターンとして働き始めたことをきっかけに著名人とのつながりを築き、社交パーティーの常連として顔を売り始めます。この時期から彼女はアンナ・デルヴェイと名乗るようになりました。

NYでの詐欺の手口

ソロキンの詐欺は、莫大な信託財産があるという嘘と、それを裏付けるかのような華やかな生活の演出で構成されていました。

2013年頃にニューヨークに渡ったソロキンは、6700万ドル(約95億円)の信託財産を持つドイツの資産家令嬢と自称し、マンハッタンの有力者たちに近づきました。会員制アートクラブのアンナ・デルヴェイ財団の設立を目標に掲げ、その投資を持ちかけたのです。

資金がないにもかかわらず豪華な生活を維持していた手口は、銀行口座間での小切手詐欺でした。決済が行われる前にお金を別口座に移動させることで一時的に残高を作り出し、その間に支出を行うという自転車操業です。加えて、国際送金するからと言い訳を繰り返し、高級ホテルの宿泊費やプライベートジェットの費用を踏み倒し続けました。

SNSによる信用の演出

ソロキンの詐欺で特徴的だったのは、Instagramを使った富裕層としてのブランディングです。

高級レストランでの食事、著名人とのツーショット、ファッションウィークへの参加――これらをSNSに投稿することで、彼女はドイツの資産家令嬢というペルソナに説得力を持たせました。SNSのフォロワーが増えるほど、彼女の虚構のアイデンティティは社会的に補強されていったのです。

ソロキンの周囲にいた人々は、彼女が本当に富豪なのかを確認する術を持っていませんでした。しかし、SNS上でのきらびやかな生活と、実際に高級ホテルに滞在しているという事実が、周囲の疑念を封じ込めていたのです。

罪対ペイ運営者 賠償罪子のアイコン
賠償罪子

ソロキンの事件は、SNS時代の詐欺の教科書ともいえる事例です。Instagram上の華やかな投稿は、彼女が富豪であるという社会的証明として機能しました。多くの人がフォローしている、有名人と写真を撮っている、高級店に出入りしている――これだけで人は相手を信用してしまうのです。

SNSのプロフィールや投稿は、いくらでも演出できます。見せかけの豊かさを鵜呑みにしないことが、SNS時代の詐欺対策の基本です。

逮捕・裁判・その後

ソロキンは2017年に逮捕され、2019年に重窃盗罪など複数の金融犯罪で有罪判決を受けました。

2019年のニューヨーク州最高裁判所での裁判では、重窃盗罪などの罪状で4年から12年の懲役刑、約2万4000ドルの罰金、および約20万ドルの賠償金の支払いが命じられています。司法取引を拒否して裁判に臨んだソロキンの姿勢も話題となりました。

ニューヨークのライカーズ島刑務所で約2年間服役した後、2021年2月に釈放されています。しかし釈放直後にビザのオーバーステイで米国移民税関捜査局(ICE)に拘束され、現在は足首にGPS監視装置を装着された自宅軟禁状態にあります。

驚くべきことに、ソロキンは出所後もメディアへの露出を続けています。刑務所内で制作したアート作品が約34万ドルで販売され、Netflixからドラマ化の権利料として32万ドルを受け取りました。ファッションショーへの出演やポッドキャストの配信など、詐欺師としての知名度をセルフブランディングに転換し続けているのです。

現代に通じる教訓

ソロキンの事件は、SNS上の見せかけの豊かさが信用として機能する時代の危険性を示しています。

ソロキンが成功した背景には、人は見たいものを見る、信じたいものを信じるという心理があります。NYの上流社会の人々は、目の前の女性がドイツの富豪令嬢であってほしいと思い、その前提を確認しようとしませんでした。

現代のSNSでは、こうした偽装はさらに容易になっています。高級車のレンタル写真、ホテルのロビーでの自撮り、著名人との合成写真。SNS上の華やかな生活は証拠にはなりません。投資話やビジネスの勧誘を受けた際に、相手のSNSの豪華さで信頼性を判断することは極めて危険です。

ソロキン自身が裁判で語ったとされる言葉が印象的です。私はただ何かを築こうとしていただけだ、計画通りにいかなかっただけだ、と。詐欺師は自分を詐欺師だとは認識していません。この自己認識の歪みこそが、彼らを詐欺に駆り立てる原動力であり、同時に私たちが見抜くべきサインでもあるのです。

まとめ

  • トラック運転手の娘がドイツの富豪令嬢を装い、NYの上流社会から20万ドル以上を詐取。小切手詐欺と豪華な生活の演出で信用を構築した
  • Instagramを使ったセルフブランディングが社会的証明として機能し、周囲の疑念を封じた。SNS時代の詐欺の典型例だ
  • SNS上の豪華な生活は信用の証拠にはならない。投資やビジネスの判断は、相手のSNSではなく実際の財務情報や登記情報で行うべきだ

よくある質問

Q
アンナ・デルヴェイという名前の由来は何ですか?
A

ソロキン本人は、母親の旧姓に由来すると説明していました。ソロキンという姓がロシアの一般的な響きを持つのに対し、デルヴェイは西洋の上流階級を連想させる響きがあり、社交界での信頼を得やすくするために選ばれたと考えられています。

Q
Netflixのドラマはどこまで事実ですか?
A

ドラマの冒頭にはこの物語は真実である。完全なでっち上げ部分は除いてと記されています。基本的な事件の経緯は事実に基づいていますが、一部の人物名は仮名が使われ、エピソードの順序や細部には脚色が含まれています。ニューヨーク・マガジンのジェシカ・プレスラーの記事が原作となっています。

Q
ソロキンは現在何をしていますか?
A

ニューヨークのイーストビレッジのアパートで自宅軟禁状態にありますが、アーティストとしての活動やポッドキャストの配信を続けています。刑務所で制作したアート作品は約34万ドルの売上を記録し、ファッションショーやテレビ番組への出演も行っています。Netflixからの権利料32万ドルのほとんどは被害者への賠償と弁護士費用に充てられたとしています。

【出典】参考URL

  • ARTnews JAPAN:Netflixドラマのモデルになった美人詐欺師にインタビュー
  • nippon.com:おしゃれな詐欺師か?起業家か? Netflix実話ドラマ 令嬢アンナの真実
  • 気になる情報.com:令嬢アンナデルヴェイの現在 生い立ちなどwiki経歴 詐欺手口を徹底解説
  • ARTnews JAPAN:収監中に芸術の才能を開花させた詐欺師 令嬢アンナ

コメント

※本記事の内容については、できる限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、完全に正確であるという保証はありません。一部の内容に誤りや適切でない表現がある可能性があります。ご了承の上、参考程度にとどめていただければ幸いです。なお、記事の改善点などがございましたら、ぜひコメントにてご指摘ください。
詐欺事件
\この記事をシェアする/
\賠償罪子のSNSに遊びにいく/
タイトルとURLをコピーしました