メンタルアカウンティングとは?あぶく銭の罠

心理テクニック
メンタル・アカウンティングとは?ざっくりと3行で
  • メンタル・アカウンティングとは、同じお金でも入手方法によって扱いを変えてしまう、心の中の家計簿のことだ。
  • 詐欺師はこれを突き、当選金や還付金はあぶく銭だという心理を利用し、もともと無かったお金だからと気軽に手数料を払わせてくる
  • 仕組みを知っておけば、どんな出どころのお金も同じ1万円だと捉え直せ、あぶく銭を餌にした詐欺に踏みとどまれる。

【深掘り】これだけは知っておけ

メンタル・アカウンティングの落とし穴は、苦労して稼いだお金には慎重なのに、思いがけず手に入ったお金には驚くほど無防備になる点です。詐欺師は、この心の財布の使い分けを正確に見抜いて狙ってきます。

メンタル・アカウンティングは、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーが提唱した行動経済学の概念で、心の会計や心の家計簿とも呼ばれます。人はお金を一つの総額として合理的に扱わず、心の中で給料、娯楽費、あぶく銭といった勘定科目に仕分けし、その枠の中だけで損得を判断してしまう。だから、苦労して得た給料は大切に使う一方、ギャンブルや思わぬ臨時収入で得たお金は、別の財布として簡単に使い切ってしまうのです。

詐欺師は、このあぶく銭は散財してもいいという心理を巧みに利用します。当選金が出た、還付金がある、思わぬ配当が入ったといった、棚ぼたの臨時収入を演出するのです。受け取る側は、それを心の中で特別な勘定に振り分けます。もともと無かったお金なのだから、その受け取りに少しくらい手数料を払っても惜しくない。この感覚につけ込み、受取手数料や税金の前払いといった名目で、現実のお金を吐き出させるのが典型的な手口です。

見抜くポイントは、お金に出どころのラベルを貼らず、すべて同じ価値の現金として扱うことです。当選金を受け取るための手数料1万円も、給料から出す1万円も、財布から消える1万円であることに変わりはありません。あぶく銭だからという気の緩みが芽生えたら、それこそが狙われているサインだと考えてください。

とくに警戒すべきは、棚ぼたの利益を受け取るために、先にお金を払わせる構造です。正規の当選金や還付金で、受け取る側が手数料や税金を前払いさせられることはまずありません。心の中で別勘定にしているせいで、本来なら不審に思うはずの前払い要求を、つい受け入れてしまう。どんなお金も自分の財布の現金だと捉え直し、受け取りに先払いを求められたら詐欺を疑う。この一線を引くことが、あぶく銭の心理を突く詐欺への防御になります。

メンタル・アカウンティングが悪用される場面

場面使われる演出見抜くポイント
当選金・懸賞金詐欺高額当選を装い受取手数料を前払いさせる受け取りに先払いを求める
還付金詐欺払い過ぎた税金が戻ると臨時収入を演出ATM操作や送金を指示する
投資の利益再投資儲かった分はあぶく銭と追加投資を促す出金させず再投資を勧める

典型的なフレーズ・文脈

メンタルアカウンティングを悪用し当選金の手数料を前払いさせる詐欺師のイラストアイコン
詐欺師

おめでとうございます、500万円が当選しました。受け取りには手数料の3万円だけ先にお振り込みいただく必要があります。タダで500万入るんですから、安いものでしょう?

棚ぼたの大金を演出し、あぶく銭だから手数料くらいという気の緩みを突いて先払いさせる、当選金詐欺の典型的な手口です。

還付金詐欺を報じるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

警察は、還付金があるとして被害者をATMに誘導し、操作させて送金させる還付金詐欺について、お金が戻るのにATMを操作させる時点で詐欺だと注意を呼びかけています。

還付金詐欺の手口を扱う報道番組や、警察の注意喚起を想定した表現です。

お金を同じ価値で捉える大切さを助言する消費生活相談員のイラストアイコン
専門家

あぶく銭だからと気を緩めないでください。当選金の手数料も、財布から消える現実のお金です。受け取りに先払いを求められたら、それは詐欺。迷わず188へ。

消費生活相談員が、お金を同じ価値で捉える視点を予防の観点から助言する場面を想定しています。

困ったときの相談窓口

当選金や還付金を口実に送金してしまった場合などは、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
警察相談専用電話#9110平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる)還付金詐欺・当選金詐欺の相談
消費者ホットライン188地域の窓口に準ずる契約トラブル・悪質商法全般
金融庁 詐欺的な投資に関する相談ダイヤル0570-050588平日 10:00〜17:00(Webは24時間)詐欺的な投資勧誘の相談

【まとめ】3つのポイント

  • 正体は心の家計簿:メンタル・アカウンティングは、お金を出どころで仕分けし、扱いを変えてしまう心理です。
  • あぶく銭に無防備:思わぬ臨時収入は別の財布と感じ、手数料の前払いなどに気が緩みます。
  • 同じ1万円と捉える:どんな出どころでも財布から消える現実のお金。受け取りに先払いを求められたら詐欺です。

よくある質問

Q
メンタル・アカウンティングはなぜ詐欺に悪用されやすいのですか?
A

あぶく銭への気の緩みを突けるからです。人は思いがけず手に入ったお金を、苦労して稼いだお金とは別の財布として扱い、警戒心が緩みます。詐欺師は当選金や還付金といった棚ぼたを演出し、もともと無かったお金だからと、その受け取り手数料の前払いをあっさり受け入れさせる。この心の仕分けが、冷静な判断を狂わせるのです。

Q
当選金を受け取るのに手数料を払うのは、おかしいことなのですか?
A

はい、明確におかしいです。正規の当選金や懸賞金、還付金で、受け取る側が手数料や税金を前払いさせられることはありません。受け取るためにまず払えという要求は、詐欺の典型的なサインです。あぶく銭だから少しくらいという心理で受け入れてしまいがちですが、その先払いこそが詐欺師の本当の狙いだと考えてください。

Q
投資で儲かった分を再投資に回すのも、この心理が関係しますか?
A

大いに関係します。投資で得た利益をあぶく銭と感じると、元手より気軽に追加投資へ回しがちです。詐欺的な投資では、この心理を利用して出金させず再投資を促し、最終的に全額を奪います。利益も自分の大切なお金だと捉え、まずは出金して本当に引き出せるかを確かめることが、被害を防ぐ重要な一歩になります。

Q
メンタル・アカウンティングと現在バイアスの違いは何ですか?
A

歪みの軸が違います。メンタル・アカウンティングは、お金を出どころや用途で仕分けし、同じ金額でも扱いを変える心理です。現在バイアスは、将来の利益より目先の利益を優先する、時間に関する偏りです。前者はお金にラベルを貼る心理、後者は今すぐを重んじる心理という点が異なります。どちらも詐欺で利用されます。

コメント

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