ローボールとは?好条件の後出しに注意

心理テクニック
ローボール・テクニックとは?ざっくりと3行で
  • ローボール・テクニックとは、最初に好条件を見せて承諾させ、後からこっそり悪い条件を加える、後出しの交渉術のことだ。
  • 詐欺師はこれを使い、魅力的な値段や条件で契約させた後追加料金や不利な条項を後から突きつけてくる
  • 仕組みを知っておけば、一度承諾したから引き返せないという思い込みを捨てる勇気が持て、後出し条件をはねのけられる。

【深掘り】これだけは知っておけ

ローボール・テクニックの巧妙さは、嘘の条件で釣るのではなく、本当の好条件で釣ってから後出しする点にあります。最初の提示が本物なだけに、後から条件が変わっても、人は一度決めた手前なかなか引き返せなくなります。

ローボールとは、相手が受け取りやすい低いボールを投げることに由来します。最初に魅力的な条件を承諾させておき、後から都合の悪い条件を足したり、付いていたはずの特典を取り除いたりする。特典除去法や承諾先取り法とも呼ばれます。支えているのは一貫性の原理、つまり一度決めた態度を貫きたいという人間の心理です。一度はいと言った手前、条件が変わっても断りにくい。この心理が、不利な契約へと人を縛りつけます。

身近な例では、店内最大70パーセントオフの張り紙に惹かれて入ったのに、対象は一部だけで、結局通常価格の商品を買ってしまうケースが挙げられます。詐欺の場面ではさらに悪質です。過去には、派手なうたい文句で出資を募り、好条件をちらつかせて多数の投資家から巨額を集めたポンジ・スキーム型の事件も報じられています。最初の好条件は、契約という最初のはいを引き出すための撒き餌にすぎません。

見抜く決め手は、もし最初からこの条件を提示されていたら承諾しただろうかと自問することです。後から追加された条件込みで考えて割に合わないなら、それは断るべき取引です。一度承諾したという事実は、不利な条件を飲む理由にはなりません。

とくに注意したいのは、契約後に出てくる別途費用や、当初の説明になかった条項です。後から条件が悪化したと気づいたら、一貫性を保ちたいという心理的な圧力に気づき、冷静に立ち止まってください。相手に悪意があるなら、こちらが気を使う義理はありません。すでに契約してしまった場合でも、説明と違う、強引だったといった事情があれば、消費者契約法やクーリングオフで取り消せることがあります。

ローボール・テクニックが悪用される場面

場面使われる演出見抜くポイント
格安をうたう契約・サブスク初回だけ安く、後から料金や縛りを追加初回価格以降の条件が説明されない
投資・出資の勧誘好条件で出資させ後から手数料等を上乗せうますぎる初期条件と曖昧な運用実態
セール・特価の来店誘導大幅割引で誘い対象外商品を買わせる割引対象が一部に限られている

典型的なフレーズ・文脈

ローボールテクニックを悪用し契約後に追加費用を要求する詐欺師のイラストアイコン
詐欺師

あ、言い忘れていましたが、この料金には事務手数料が別で必要なんです。でももう申し込みは済んでいますし、今さらやめると違約金がかかってしまいますよ。

契約の承諾を得た後で別費用を後出しし、一度決めた手前断れない心理を突く、ローボール・テクニックの典型的な言い回しです。

後出し条件による契約トラブルを報じるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

国民生活センターは、契約後に当初の説明になかった費用や条件を追加されるトラブルについて、契約前に総額と条件を書面で確認するよう注意を呼びかけています。

消費者被害を扱う報道番組や、国民生活センターの注意喚起を想定した表現です。

後出し契約の取消について助言する消費生活相談員のイラストアイコン
専門家

一度申し込んだからもう無理だと諦めないでください。最初の説明と違う条件を後から付けられたなら、消費者契約法で取り消せる可能性があります。契約書を持って188へ相談を。

消費生活相談員が、後出し条件をめぐる契約の取消について助言する場面を想定しています。

困ったときの相談窓口

後から条件を変えられた場合や、契約してしまった場合は、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
消費者ホットライン188地域の窓口に準ずる契約トラブル・クーリングオフ相談
警察相談専用電話#9110平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる)悪質な勧誘・詐欺被害の相談
法テラス0570-078374平日 9:00〜21:00 / 土 9:00〜17:00法的トラブル・弁護士費用の相談

【まとめ】3つのポイント

  • 正体は後出し交渉:ローボール・テクニックは、好条件で承諾させてから悪い条件を足す、一貫性の心理を突く手法です。
  • 最初のはいに縛られる:一度決めた手前引き返せないという気持ちが、不利な契約を飲ませます。
  • 追加込みで判断し直す:最初からこの条件なら契約したかを自問する。違えば断る。後出しは取り消せる場合もあります。

よくある質問

Q
ローボール・テクニックはなぜ通用してしまうのですか?
A

一貫性の原理という心理が働くからです。人は一度はいと言うと、その態度を貫きたくなり、後から条件が悪くなっても今さら断れないと感じてしまいます。さらに、すでに承諾した自分を正当化しようとする心理も重なり、不利な条件でも受け入れてしまうのです。

Q
契約後に追加費用を請求されたら、払わないといけませんか?
A

契約時に説明がなかった費用なら、当然に支払う義務があるとは限りません。重要な事項について事実と異なる説明があった場合、消費者契約法で契約を取り消せることがあります。あわてて払う前に、契約書や説明の記録を確認し、消費者ホットライン188に相談してください。違約金で脅されても、その額が妥当かは別途検討の余地があります。

Q
悪用されないために、契約のときに気をつけることは何ですか?
A

総額と条件を契約前に書面で確認するのが鉄則です。月額いくらか、それ以外に費用はかからないか、解約の条件はどうか、を口頭ではなく文書で残しましょう。後から、言い忘れていたと費用を足してくる相手は要注意です。少しでも引っかかったら、その場でサインせず持ち帰る習慣をつけてください。

Q
ローボール・テクニックとドア・イン・ザ・フェイスの違いは何ですか?
A

利用する心理が違います。ローボール・テクニックは、好条件で先に承諾させてから条件を悪くする手法で、一貫性の原理を突きます。ドア・イン・ザ・フェイスは、大きな要求を断らせてから本命の要求を通す手法で、返報性の原理を突きます。前者は承諾の後出し、後者は譲歩の演出という点が異なります。

コメント

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