ドアインザフェイスとは?値引きの罠を解説

心理テクニック
ドア・イン・ザ・フェイスとは?ざっくりと3行で
  • ドア・イン・ザ・フェイスとは、最初にわざと大きな要求をして断らせ、次に本命の小さな要求を通す交渉テクニックのことだ。
  • 詐欺師はこれを使い、最初に高額をふっかけて断らせ譲歩したように見せかけて本命の金額を承諾させる
  • 仕組みを知っておけば、値引きされたから得をしたという感覚を疑うという発想が身につき、押し売りや高額契約に踏みとどまれる。

【深掘り】これだけは知っておけ

ドア・イン・ザ・フェイスのこわさは、被害者が損をしたのに得をした気分になってしまう点にあります。値引きを勝ち取った、交渉に成功したという満足感が、そもそもその契約が必要だったのかという疑問を覆い隠してしまうのです。

この手法の名前は、門前払いを意味する英語の慣用句、ドアを顔の前で閉めるに由来します。まず相手が確実に断るような過大な要求を突きつけ、断られたら、すぐに本来通したかった小さな要求を差し出す。すると相手は、一度断ってしまった罪悪感や、譲歩してくれたのだからこちらも応じなければという返報性の心理から、本命の要求を受け入れやすくなる。これがドア・イン・ザ・フェイスの仕組みです。

そこにもう一つ、要求のコントラストという力が加わります。20万円を見せられた後の13万円は、最初から13万円と言われるより、ずっと安く感じられる。同じ金額でも、先に大きな数字を見ているかどうかで印象が大きく変わるのです。営業や交渉では正当に使われる技術ですが、詐欺師の手にかかると、不要な契約を必要なものと錯覚させる道具になります。

見抜くポイントは、最初の提示額が不自然に高くなかったかを振り返ることです。相手があっさり大幅値引きに応じたなら、その値引き後の金額こそが本来の狙いだった可能性があります。値引きの幅が大きいほど、最初の額は釣り上げられた撒き餌だったと疑ってください。

とくに訪問販売やリフォーム、点検商法でよく使われます。最初に法外な見積もりを出し、今だけ特別にと大幅値引きを演出して契約を迫る。その場で決めさせようとするのが共通点です。対策はシンプルで、値引きされてもその場で契約しないこと。一度持ち帰り、本当にその契約が必要か、相場はいくらかを冷静に調べれば、コントラストの魔法は解けます。訪問販売などで契約してしまっても、クーリングオフで取り消せる場合があります。

ドア・イン・ザ・フェイスが悪用される場面

場面使われる演出見抜くポイント
リフォーム・点検商法法外な見積もり後に今だけ大幅値引き値引き幅が極端に大きい
訪問・押し売り販売高額セットを断らせ単品を割安に見せるその場での即決を迫られる
寄付・募金の勧誘高額を求め断られたら少額ならと譲歩断った罪悪感を突いてくる

典型的なフレーズ・文脈

ドアインザフェイスを悪用し大幅値引きを装って契約を迫る詐欺師のイラストアイコン
詐欺師

本来なら50万円の工事ですが、今日契約していただけるなら、特別に半額の25万円でいいですよ。この場限りの価格です。

最初に高額をふっかけ、大幅値引きと即決を組み合わせて得をした気分にさせる、リフォーム商法などで多用される言い回しです。

訪問販売の大幅値引き商法を報じるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

国民生活センターは、最初に高額な見積もりを示してから大幅に値引きし、その場での契約を迫る訪問販売のトラブルについて、即決を避けるよう注意を促しています。

国民生活センターの注意喚起や、消費者被害を扱う報道番組での解説を想定した表現です。

クーリングオフでの契約解除を助言する消費生活相談員のイラストアイコン
専門家

値引きされても、その場でハンコを押す必要はありません。もし訪問販売で契約してしまっても、8日以内ならクーリングオフで無条件に解約できます。

消費生活相談員が、契約後の救済手段としてクーリングオフ制度を案内する場面を想定しています。

困ったときの相談窓口

その場で契約を迫られた場合や、契約してしまった場合は、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
消費者ホットライン188地域の窓口に準ずる訪問販売・契約トラブル・クーリングオフ相談
警察相談専用電話#9110平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる)悪質な勧誘・詐欺被害の相談
法テラス0570-078374平日 9:00〜21:00 / 土 9:00〜17:00法的トラブル・弁護士費用の相談

【まとめ】3つのポイント

  • 正体は譲歩の演出:ドア・イン・ザ・フェイスは、大きな要求を断らせてから本命を通す、返報性を使った交渉術です。
  • 得した気分が罠:値引きを勝ち取った満足感が、その契約が本当に必要かという疑問を覆い隠します。
  • 持ち帰って調べる:値引きされてもその場で決めない。相場を調べ、訪問販売ならクーリングオフが使えることも覚えておきましょう。

よくある質問

Q
ドア・イン・ザ・フェイスはなぜ効果があるのですか?
A

二つの心理が同時に働くからです。一つは返報性で、相手が要求を引き下げて譲歩してくれると、こちらも応じなければ申し訳ないと感じます。もう一つは要求のコントラストで、先に大きな額を見た後だと、本命の額が実際より小さく感じられます。この二つが重なり、本来なら断るはずの要求を受け入れてしまうのです。

Q
大幅に値引きされたら、その契約はお得なのではないですか?
A

必ずしもそうとは限りません。そもそも最初の提示額が相場より大きく釣り上げられていれば、値引き後でも割高なことがあります。値引き幅の大きさは、最初の額が撒き餌だったサインかもしれません。本当にお得かどうかは、値引き率ではなく、他社の相場と比べた最終金額で判断してください。

Q
その場で契約してしまいました。後から解約できますか?
A

訪問販売や電話勧誘販売であれば、契約書面を受け取った日から8日以内なら、クーリングオフで無条件に解約できます。手続きは書面や電子メールで行い、記録を残すのが安全です。期間を過ぎていても、強引な勧誘やうそがあれば取り消せる場合があります。まずは契約書を手元に、188へ相談しましょう。

Q
ドア・イン・ザ・フェイスとフット・イン・ザ・ドアの違いは何ですか?
A

要求を出す順番が逆です。ドア・イン・ザ・フェイスは最初に大きな要求をして断らせ、譲歩を装って本命の小さな要求を通します。フット・イン・ザ・ドアはその逆で、まず小さな要求を承諾させ、徐々に要求を大きくしていきます。前者は返報性、後者は一貫性の心理を利用する点が異なります。

コメント

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