- 預貯金詐欺とは、警察官・銀行員等を名乗って「口座が犯罪に使われている」などと嘘をつき、被害者がキャッシュカードや通帳を自ら渡すよう仕向けて預金を騙し取る特殊詐欺の一類型だ。
- カードを「交換が必要」「保管が必要」などの口実で受け取り、暗証番号まで聞き出して口座を空にするのが典型手口で、2024年の特殊詐欺被害は710億円超と過去最悪を記録した。
- これを知っておけば、「カードや通帳を求める電話・訪問者は全て詐欺」という絶対ルールを家族全員で共有できる。
【深掘り】これだけは知っておけ
預貯金詐欺は警察庁SOS47の分類では「キャッシュカードや通帳を被害者が交付してしまう手口」です。警察官・銀行協会・金融庁・大手百貨店・家電量販店などの職員を名乗って電話をかけ、「あなたの名義のキャッシュカードで買い物をした犯人がいる」「口座が犯罪に使われている」「手続きのためカードを預かりに行く」などと告げ、実行役が自宅を訪問してカードや通帳を受け取ります。暗証番号も「確認のため」と称して聞き出し、ATMや不正送金で預金を全額引き出します。被害者は高齢者が多く、「公的機関の職員が助けに来た」という錯覚と、「早く手続きをしないと被害が拡大する」という焦りを利用されます。
2024年の特殊詐欺被害は過去最悪の710億円超(警察庁統計)を記録しました。このうちSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺が急増(1271億円)する一方、自宅を直接訪問するニセ警察官型・預貯金詐欺も依然として深刻な被害をもたらしています。被害の特徴は、①固定電話への着信が入口であること、②犯人が複数名(電話役・訪問役)に分かれた組織犯行であること、③被害者が高齢者(60代以上)であることが多いことです。「手元にあるカードや通帳を他人に渡す必要がある状況は存在しない」という知識を持つことが、被害を防ぐ最短の道です。
被害に遭った場合の初動として最優先すべきは、①すぐに口座のある金融機関に電話してカード・口座を止める、②警察(110番または最寄り署)に被害届を提出する、の2点です。預貯金詐欺の場合、振り込め詐欺救済法は適用されない可能性がありますが(カード交付の場合は振込ではないため)、被害届があれば捜査が動き、犯人が摘発された際に被害回復給付金支給制度(検察庁への申請)の対象になります。消費者ホットライン(188)や法テラス(0570-078374)でも被害後の対処方針を整理してもらえます。
預貯金詐欺の主な手口パターン
| なりすまし相手 | 使われる口実 |
|---|---|
| 警察官 | 「口座が犯罪に使われている」「逮捕した犯人があなたの情報を持っていた」 |
| 銀行協会・銀行員 | 「キャッシュカードの交換手続きが必要」「通帳を預かって調査する」 |
| 百貨店・量販店員 | 「あなたの名義のカードで不正購入があった」「確認のために手続きが必要」 |
| 自治体・金融庁 | 「税金の還付があるが確認手続きが必要」 |
典型的なフレーズ・文脈

銀行協会の担当者です。お客様のキャッシュカードが不正利用されており、至急新しいカードに交換が必要です。今日の午後に担当者がお伺いしますので、カードと通帳を用意しておいてください。暗証番号もご確認いただく必要があります。
預貯金詐欺の典型的な電話口での口実です。銀行協会や銀行が「カードを交換するために自宅に来る」ことはありません。このような電話が来たら即座に切り、銀行の公式番号に自分でかけ直して確認してください。

警察庁は、2024年の全国の特殊詐欺被害額が710億円を超えて過去最悪を記録したと発表しました。警察官や銀行員を装って自宅を訪問しキャッシュカードや通帳を騙し取る預貯金詐欺の被害も後を絶ちません。
警察庁の2024年特殊詐欺統計をもとに被害額過去最悪を伝える報道番組のキャスターを想定した表現です。

親御さんの固定電話を常に留守電にするだけで詐欺師の最初の接触を防げます。それに加えて、本物かどうか確認するための家族だけの合言葉を決めておいてください。「銀行や警察はカードを取りに来ない」という言葉を、高齢の家族と繰り返し確認しておくことが最大の防衛策です。
防犯専門家が、高齢者の家族に対して預貯金詐欺への具体的な予防策を案内する場面を想定しています。
困ったときの相談窓口
預貯金詐欺の被害に遭った場合や、不審な電話があった場合は以下の窓口にすぐ連絡してください。
| 窓口名 | 電話番号 | 受付時間 | 対応内容 |
|---|---|---|---|
| 口座のある金融機関 | 各行の詐欺被害者専用ホットライン | 各行による(24時間対応あり) | カード・口座停止・不正利用の報告 |
| 警察相談専用電話 | #9110 | 平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる) | 被害届・不審電話・訪問者の相談 |
| 消費者ホットライン | 188 | 年末年始除く毎日 | 特殊詐欺被害の相談窓口案内 |
【まとめ】3つのポイント
- カードも通帳も渡す理由は存在しない:銀行・警察・公的機関が「カードや通帳を預かりに来る」ことは絶対にありません。この一文を家族全員が知っているだけで被害を防げます。
- 電話を切ってかけ直すだけで分かる:本物かどうか確認したいなら、自分で公式番号を調べてかけ直す。相手が「切るな」と言う時点で詐欺確定です。
- 被害に遭ったらまずカードを止めて警察へ:①金融機関に電話してカード・口座停止、②警察への被害届提出、の2ステップが初動の全てです。#9110と188を活用してください。
よくある質問
-
Q通帳を渡してしまいましたが、すぐに手続きできますか?
-
A
はい、すぐに対処できます。まず口座のある金融機関に電話して通帳の紛失・盗難として届け出て口座を止めてください。次に警察(110番または最寄り署)に被害届を出します。通帳だけでは口座は操作できませんが、暗証番号も伝えてしまっていた場合は直ちに口座停止が必要です。証拠(電話の着信記録・訪問者の特徴)もメモしておいてください。
-
Q暗証番号を教えてしまいました。どうすればいいですか?
-
A
今すぐ金融機関に連絡して口座を止め、暗証番号を変更してください。暗証番号がわかれば口座を空にされるリスクが非常に高く、一刻も早い対応が重要です。その後、警察に被害届を出し、被害の状況を詳しく伝えてください。同じ暗証番号を他の口座やサービスに使い回していた場合は、それらも変更することをおすすめします。
-
Q被害に遭った後、お金は戻ってきますか?
-
A
可能性はゼロではありませんが、非常に難しいのが現実です。カードを渡した場合は振り込め詐欺救済法の対象外になることが多く、警察が犯人を摘発した場合の被害回復給付金支給制度(検察庁への申請)が現実的なルートです。また、不正利用で引き出された金額を金融機関が補償するかどうかは、各行の判断と利用者の注意義務の程度によります。被害届を出すことで補償交渉が動きやすくなります。
-
Q預貯金詐欺とキャッシュカード詐欺盗との違いは何ですか?
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A
被害者がカードを「渡したか・盗まれたか」で区分されます。預貯金詐欺は被害者が自分でカードや通帳を手渡す(交付させる)手口で、詐欺罪が成立します。キャッシュカード詐欺盗は被害者が目を離した隙にすり替えられる(窃取される)手口で、窃盗罪の要素が強くなります。被害者にとっての実質的な違いはほとんどなく、どちらも即座の口座停止と被害届提出が最初の対処です。
この用語と一緒に知っておきたい用語
| 用語 | この記事との関連 |
|---|---|
| キャッシュカード詐欺盗 | キャッシュカード詐欺盗とは、警察官・銀行員などを装った犯人が電話で「口座が不正利用されている」と嘘をついたうえで自宅を訪問し、カードをすり替えるか騙し取って預金を盗む特殊詐欺の手口だ。 |
| ドロップシッピング詐欺 | ドロップシッピング詐欺とは、在庫なしで商品を販売できる合法的なECビジネス「ドロップシッピング」の名前を使い、高額な初期費用・ツール費用をだまし取る悪質商法だ。 |
| バイナリーオプション詐欺 | バイナリーオプション詐欺とは、「上がるか・下がるか」を当てる合法の金融取引を名目に、無登録業者が高勝率・高配当を偽って資金を集め、出金させないままだまし取る投資詐欺だ。 |
| 占い詐欺 | 占い詐欺とは、無料または廉価な占いサービスを入口に継続的な高額鑑定料を請求したり、「霊的な問題がある」と脅して高額商品の購入へ誘導したりする悪質商法で、霊感商法の入口になることも多い。 |
この手口が実際に使われた事件
| 事件 | この記事との関連 |
|---|---|
| 偽銀行員のカードすり替え詐欺 | 偽銀行員のカードすり替え詐欺とは、 警察官や銀行協会職員を装って自宅を訪問 し、キャッシュカードを封筒に入れさせた後、被害者が目を離した隙に偽のカードが入った封筒とすり替える手口である |
| 偽ホリエモン投資詐欺 | 堀江貴文氏や前澤友作氏などの 有名人の画像・動画をAIで偽造 し、SNS広告で投資を勧誘。LINEグループに誘導して偽の投資サイトで金銭を騙し取る手口が急増している |
| 偽サンタの募金詐欺 | ニューヨークの年末名物イベントSantaConの主催者ステファン・ピルデスは、チャリティを前面に掲げてチケットや飲食店からの寄付を集め、2019年から2024年にかけて 約270万ドル を調達した |
【出典】参考URL
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/deposits/:警察庁SOS47の預貯金詐欺の定義・手口の根拠
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/:なりすましの種類・組織的犯行の構造の根拠
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02424/:2024年特殊詐欺被害710億円超・過去最悪の根拠


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