アンカリングとは?最初の数字で判断を歪める罠

心理テクニック
アンカリングとは?ざっくりと3行で
  • アンカリングとは、最初に見た数字や情報が船の錨のように脳に刻まれ、その後の判断がその基準から離れられなくなる心理現象のことだ。
  • 詐欺師はこれを使い、最初に高額な数字を提示してから安い選択肢を出し割安に見える罠へと誘導してくる
  • 仕組みを知っておけば、最初の数字を基準にしていないかを確かめられ、アンカーで価値を錯覚させる詐欺に踏みとどまれる。

【深掘り】これだけは知っておけ

アンカリングのこわさは、最初の数字がどんなに根拠のないものでも、その後の判断に影響し続ける点にあります。嘘の定価でも、一度見せられると、そこからの割引が本物のお得に感じられてしまうのです。

アンカリング効果は、最初に提示された数値や情報が基準点、つまり錨となり、その後の判断がそこから離れられなくなる認知バイアスです。1974年にカーネマンとトヴェルスキーが「サイエンス誌」で発表しました。有名な例が、高級レストランのメニューです。2万8千円のコースを先に目にした後では、4千5百円のハンバーグが安く感じられる。しかし冷静に考えれば、ランチに4千5百円は決して安くはありません。先に見せた数字が基準を変えてしまうのです。

詐欺や悪質な販売では、このアンカーを意図的に設定します。まず通常価格100万円という数字を提示する。次に今だけ30万円と言えば、実際の価値が10万円のものでも割安に感じさせられます。投資詐欺では、月利30%などの非現実的な高配当を最初に提示し、実際の契約内容をそれに比べて小さく見せる手口もあります。最初に植え付けたアンカーが、後の数字の評価をすべて歪めるのです。

見抜くポイントは、今見ている数字が最初に見た別の数字と比較していないかを意識することです。割引前の価格、もとの料金、通常の配当と比べてお得に見えるとき、それはアンカーが機能している可能性があります。比較の相手方の数字が本物かを確かめることが防御になります。

対策は、最初の数字をリセットして、その選択肢を独立した基準で評価することです。この商品は30万円で適切な価値があるかを、100万円という先ほどの数字と切り離して考える。投資なら、月利30%という基準ではなく、銀行定期预金や公的な運用との比較で現実的かを評価する。アンカーはゼロにはできませんが、別の基準を意識的に持ち込むことで、最初の数字の引力を弱めることができます。

アンカリングが悪用される場面

場面設定されるアンカー見抜くポイント
高額商材・情報商材虚偽の高額定価を見せてから値引きする定価の根拠が本物か確かめる
投資詐欺非現実的な高配当を先に提示する公的な運用と独立して比較する
悪質な不動産・商品販売高価格帯の物件を先見せして中価格を安く見せる最初の物件をなかったものとして評価する

典型的なフレーズ・文脈

アンカリングを悪用し高額定価から割引きして割安に見せる詐欺師のイラストアイコン
詐欺師

通常は月利30%の案件なのですが、今回は特別にご紹介なので15%でご案内できます。半分以下の配当でも十分だと思いませんか?これだけでも一般の銀行より断然いいですよ。

非現実的な高配当をアンカーにして、その半分でも十分お得に感じさせる、投資詐欺でアンカリングを悪用した典型的な価格提示です。

アンカリングを悪用した価格詐欺を報じるニュースキャスターのイラストアイコン
キャスター

専門家は、最初に高い数字を見せてから割引きして割安と感じさせる手口について、最初の数字と切り離して商品やサービス自体の価値を評価するよう呼びかけています。

アンカリングを使った価格操作の手口を解説する報道番組や、専門家による注意喚起を想定した表現です。

最初の数字をリセットして判断する大切さを助言する消費生活相談員のイラストアイコン
専門家

最初に見た数字を忘れて、今の価格や条件だけで判断してください。月利15%は銀行より高いのではなく、まずあり得ない数字です。迷ったら188へ。

消費生活相談員が、最初の数字をリセットして独立した基準で判断する大切さを予防の観点から助言する場面を想定しています。

困ったときの相談窓口

価格操作でお得と思い込んで契約してしまった場合などは、以下の窓口に相談できます。

窓口名電話番号受付時間対応内容
消費者ホットライン188地域の窓口に準ずる契約トラブル・クーリングオフ相談
金融庁 詐欺的な投資に関する相談ダイヤル0570-050588平日 10:00〜17:00(Webは24時間)詐欺的な投資勧誘の相談
警察相談専用電話#9110平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる)詐欺被害・悪質な勧誘の相談

【まとめ】3つのポイント

  • 正体は最初の数字の錨:アンカリングは、最初の数字が基準になって後の判断を引きずる心理現象です。
  • 根拠なき数字も錨になる:嘘の定価や非現実的な配当でも、一度見ると割安・お得の基準を作れます。
  • 最初の数字をリセットする:比較の相手を切り離し、今の条件だけで独立して価値を判断しましょう。

よくある質問

Q
アンカリングはなぜ詐欺に悪用されやすいのですか?
A

最初に見た数字が根拠のないものでも、その後の判断の基準になってしまうからです。嘘の定価を先に見せてから本命の価格を提示すれば、実際の価値と無関係に割安に感じさせられます。人は最初の数字を意識的に切り離すことが難しいため、その引力を逆用すれば価値の錯覚を簡単に作れる。詐欺師にとって、最もコストの低い価格操作の手段です。

Q
月利15%というのは本当にお得なのですか?
A

月利15%は年利換算で約180%になります。これは現実の投資ではまずあり得ない数字です。月利30%と比べると半分で良心的に見えますが、比較の相手が現実離れしているだけで、15%自体も同様に詐欺的です。最初の30%というアンカーを切り離して、月利15%を銀行定期預金や公的な株式運用と比べると、あり得ない高さだとすぐ分かります。

Q
アンカリングに騙されないために、具体的に何をすればいいですか?
A

最初の数字をなかったことにして、今の提案を独立した基準で評価することです。投資なら、公的機関の資料や信頼できる金融機関の平均的な利回りと比較する。商品なら、その定価が他の販売店でも同じかをネットで確かめる。金融庁の登録業者かを確認する。比較の相手を相手の設定した数字から、自分で調べた現実の基準に替えることが最も有効な対抗策です。

Q
アンカリングとおとり効果の違いは何ですか?
A

働き方が違います。アンカリングは、最初に提示した数字が後の数値判断の基準になる心理現象です。おとり効果は、複数の選択肢のなかに魅力の薄いものを混ぜることで、本命を相対的にお得に見せる手法です。前者は数字の基準を操作する、後者は選択肢の構成を操作するという違いがあります。どちらも相対的な評価を歪める点は共通です。

コメント

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