デニス・コズロウスキーとは?タイコ社6億ドル流用

詐欺事件
デニス・コズロウスキーとは?タイコ社6億ドル流用を3行で要約
  • タイコ・インターナショナルのCEOデニス・コズロウスキーは、会社の資金で3000万ドルのマンハッタンのマンション(6000ドルのシャワーカーテン付き)を購入し、妻の40歳の誕生日にはサルデーニャ島で200万ドルのパーティーを開催した
  • CFOのマーク・スワーツとともに約6億ドルを不正に流用。8100万ドルの未承認ボーナス、1472万ドルの美術品購入などが認定された
  • 2005年に22件の重罪で有罪となり、懲役8年4ヶ月〜最大25年の判決。仮釈放審問で初めて純粋な強欲だったと告白した

このパーティーはタイコのコア・コンピタンスを発揮するだろう。つまり、思い切りパーティーする能力だ――。サルデーニャ島で撮影されたビデオの中でコズロウスキーはそう語っていました。ミケランジェロのダビデ像を模した氷の彫刻がストリチナヤ・ウォッカを注ぎ、ジミー・バフェットのプライベートコンサートが行われた200万ドルのパーティー。その費用の半分は会社の資金でした。

この記事では、アメリカ最高給の経営者が年収2億6700万ドルに満足せず、さらに会社の資金から6億ドルを不正に流用した企業スキャンダルの全貌を解説します。

コズロウスキーの経歴とタイコの急成長

デニス・コズロウスキーとは、1946年にニュージャージー州ニューアークの貧しい家庭に生まれ、タイコ・インターナショナルのCEOとして同社を巨大コングロマリットに成長させた経営者です。

母親はニューアーク警察の職員で、父親は公共交通機関の労働者でした。1975年にタイコに入社し、1992年にCEOに就任しています。コズロウスキーの下でタイコは積極的なM&A戦略で急成長を遂げ、電子部品、医療用品、ADTホームセキュリティなど多角的な事業を展開する年間売上400億ドル、従業員約25万人の巨大企業となりました。

コズロウスキーはアメリカで最も高給取りの経営者の一人として知られ、1999年から2001年の間に2億6700万ドルの報酬を受け取っていました。

6000ドルのシャワーカーテンと6億ドルの流用

コズロウスキーが世間の注目を集めたのは、会社の資金で購入した豪華な生活用品の数々でした。

タイコの資金で購入された3000万ドルのマンハッタンのマンションには、6000ドルの金糸入りシャワーカーテンと1万5000ドルの犬型傘立てが備え付けられていました。ルノワールやモネの油絵を含む1472万ドルの美術品購入費も会社が負担しています。

さらにコズロウスキーは妻カレンの40歳の誕生日を祝う200万ドルのパーティーをサルデーニャ島で開催しました。ミケランジェロのダビデ像を模した氷の彫刻がウォッカを注ぎ、ジミー・バフェットのプライベートコンサートが行われたこのパーティーは、後にタイコのローマン・オージーとして知られることになります。パーティー費用の半額100万ドルをタイコが負担しました。

検察は、コズロウスキーとCFOのマーク・スワーツが合計で約6億ドルをタイコから不正に流用したと主張しました。具体的には8100万ドルの未承認ボーナス、数百万ドルの融資の返済免除、そして粉飾された業績に基づく株式売却益が含まれています。

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コズロウスキー事件で注目すべきは、タイコ自体はエンロンやワールドコムと違って破綻しなかったという点です。弁護側はタイコはエンロンではないと主張し、猫の缶詰を食べている退職者はいないと述べました。しかしCEOが会社の資金を個人の豪遊に使うことは、株主に対する背任であることに変わりはありません。

2度の裁判と判決

コズロウスキーの裁判は2度行われました

最初の裁判は2004年に無効裁判(ミストライアル)で終了しています。原因は、無罪を支持していたとされる陪審員がメディアで特定された後に脅迫を受けたためでした。

2度目の裁判は4ヶ月にわたって行われ、2005年6月17日にコズロウスキーとスワーツが22件の重罪(大窃盗罪、業務記録の偽造、証券詐欺、共謀)で有罪となりました。両者はタイコから何も盗んでいない、受け取る権利のないものは何も受け取っていないと一貫して主張していましたが、陪審は11日間の審議の末に有罪を結論づけています。

2005年9月19日、マイケル・オバス判事は両者に懲役8年4ヶ月〜最大25年の判決を下しました。さらにタイコへの賠償金として2人合計で1億3400万ドル、コズロウスキーに7000万ドル、スワーツに3500万ドルの罰金が科されています。

コズロウスキーは約6年半の服役後、2014年に仮釈放されました。仮釈放審問で彼は初めて罪を認め、純粋な強欲だったと告白しています。別の民事訴訟では、ニューヨーク州の不誠実な従業員の原則に基づき、1997年から2002年に受け取った5億ドルの報酬と給付金の全額返還が命じられました。

まとめ

  • コズロウスキーは年収2億6700万ドルでは満足せず、6000ドルのシャワーカーテンや200万ドルのパーティーを会社の資金で賄い、約6億ドルを不正に流用した
  • 22件の重罪で有罪となり懲役最大25年の判決。仮釈放審問で純粋な強欲だったと初めて告白した
  • 経営トップの豪華な生活が会社の資金で賄われている可能性を常に意識すべきだ。CEOの報酬と生活水準の乖離は投資判断の重要な指標となる

よくある質問

Q
タイコはその後どうなりましたか?
A

エンロンやワールドコムとは異なり、タイコはスキャンダル後も事業を継続しました。経営陣の刷新後も約25万人の従業員を抱え、年間売上400億ドルの企業として存続しています。ADTホームセキュリティや電子部品・医療用品の事業は現在も運営されています。

Q
コズロウスキーは現在どうしていますか?
A

2014年に仮釈放されて出所しています。かつての資産の大部分は罰金と賠償金に充てられましたが、インタビューでは自身の事件について語り続けています。妻カレンとは2006年に離婚しています。

Q
6000ドルのシャワーカーテンはなぜ有名になったのですか?
A

検察が陪審にコズロウスキーのマンションをビデオツアーで見せた際に、6000ドルのシャワーカーテンが強烈なインパクトを与えたためです。多くの陪審員にとって、シャワーカーテン1枚が自分たちの家賃以上の金額であるという事実は、コズロウスキーの強欲を象徴する分かりやすい証拠となりました。コズロウスキー自身も、あれは裁判の結果に大きな影響を与えたと認めています。

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