マーカス・シュレンカーとは?飛行機事故偽装の全貌

詐欺事件
マーカス・シュレンカーとは?飛行機事故偽装の全貌を3行で要約
  • インディアナ州の資産運用アドバイザー、マーカス・シュレンカーは投資家から約150万ドルを騙し取り、存在しない外貨ファンドに投資したと偽っていた
  • 捜査が迫る中、自家用機で飛行中にオートパイロットをセットしてパラシュートで脱出。フロントガラスが爆発し大量出血していると偽の遭難信号を発信した
  • 無人の飛行機はフロリダ州の住宅街近くに墜落。シュレンカーは2日後にキャンプ場で逮捕され、連邦刑51ヶ月と州刑10年の合計14年超の実刑が確定した

高度2万4000フィートでコックピットのドアを吹き飛ばした。肺が破裂するような感覚だった――。シュレンカーは後にそう語りました。投資詐欺と離婚と捜査が同時に押し寄せた男が選んだ逃走手段は、自家用機を無人で飛ばしながらパラシュートで脱出するという映画さながらの計画でした。

この記事では、資産運用アドバイザーの華やかな生活がいかにして崩壊し、なぜ飛行機事故を偽装するという常軌を逸した行動に至ったのかを解説します。

シュレンカーの経歴と投資詐欺

マーカス・シュレンカーとは、インディアナ州インディアナポリス郊外の高級住宅地ガイストに住む資産運用アドバイザーであり、飛行機事故を偽装して死を装った人物です。

パーデュー大学を卒業したシュレンカーは、ヘリテージ・ウェルス・マネジメント、アイコン・ウェルス・マネジメント、ヘリテージ保険サービスの3社を経営していました。地元では400万ドルの豪邸と自家用機を所有する成功者として知られ、曲芸飛行のパイロットとしても活躍していました。

しかし実態は、10年来の友人や自分の叔母を含む少なくとも9人の顧客から約150万ドルを騙し取り、存在しない外貨ファンドに投資したと偽っていたのです。集めた資金は飛行機、高級車、豪邸の購入など自身の豪華な生活に充てられていました。2008年の経済危機で投資家が資金を引き出そうとした際、ファンドが存在しないことが発覚し始めます。

飛行機事故偽装の全経緯

2009年1月11日、シュレンカーはインディアナ州アンダーソンの飛行場から単発ターボプロップ機パイパー・メリディアンで離陸し、フロリダ州デスティンへ向かうと申告しました。

しかしこの飛行には入念な事前準備がなされていました。前日にはアラバマ州ハーパーズビルの倉庫にオートバイを隠し、飛行機には全米地図とキャンプ場ガイドを搭載していたのです。

アラバマ州バーミンガム上空でシュレンカーは管制塔に遭難信号を発信し、フロントガラスが爆発して大量出血している、もう持たないと報告しました。そしてオートパイロットをセットし、パラシュートで脱出したのです。

迎撃に発進したF-15戦闘機2機が無人の飛行機に追いつくと、窓は無傷でドアが開いており、コックピットに誰もいないことを確認しました。飛行機はオートパイロットのまま約320km飛行し続け、フロリダ州ミルトンの住宅街からわずか50〜75メートルの地点に墜落しています。墜落地点の調査では、機内に血痕はなく、フロントガラスにも損傷の痕跡はありませんでした

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この事件で最も恐ろしいのは、無人の飛行機が住宅街のすぐ近くに墜落したという事実です。シュレンカーはメキシコ湾に落ちるよう飛行機を設定したと主張しましたが、実際には燃料切れでフロリダ州の陸地に墜落しました。自分の逃亡のために無関係の住民を巻き込むリスクを冒したのです。

逃亡と逮捕

パラシュートで着地したシュレンカーは、アラバマ州チャイルズバーグの民家にカヌー事故に遭ったと名乗り出ました。

地元警察はこの時点でシュレンカーと飛行機事故を結びつけておらず、偽名でホテルにチェックインさせました。しかし翌朝警察が戻った時にはすでに逃走しており、事前に隠しておいたオートバイでフロリダ州クインシーのKOAキャンプ場に到着しています。テントサイトと薪とバドライト・ライムの6本パックを現金で購入し、名前は名乗りませんでした。

シュレンカーは友人にメールを送り、墜落は誤解だったと説明しましたが、このメールが通報につながります。米連邦保安局がメールのIPアドレスからキャンプ場を特定し、2009年1月13日にシュレンカーはテント内で発見されました。発見時には手首を自ら切る自殺未遂を図っていました。

2009年6月、連邦裁判所で航空機の破壊と沿岸警備隊への虚偽の救難要請の罪で懲役51ヶ月と90万5000ドルの罰金が言い渡されました。2010年10月にはインディアナ州の証券詐欺で追加の懲役10年(連邦刑に連続して執行)が確定しています。

まとめ

  • シュレンカーは投資詐欺の発覚から逃れるため、飛行機をオートパイロットにしてパラシュートで脱出し、死を偽装した
  • 無人の飛行機は住宅街の近くに墜落。シュレンカーは2日後に逮捕され、合計14年超の実刑が確定した
  • 資産運用アドバイザーの華やかな生活の裏にある資金の出所を確認することの重要性を示した事件だ。豪華な暮らしは信頼の証明にはならない

よくある質問

Q
被害者はお金を取り戻せましたか?
A

ほとんど取り戻せていません。裁判所が任命した管財人によれば、シュレンカーに対する請求額は2000万ドル以上に上りましたが、資産の清算で回収できたのは60万ドル未満にとどまっています。騙し取った資金は豪邸や飛行機などの購入に消えていました。

Q
なぜ飛行機事故を偽装する必要があったのですか?
A

2008年末から2009年初頭にかけて、シュレンカーの世界は同時に崩壊しつつありました。妻に離婚を申し立てられ、インディアナ州当局が証券詐欺の捜査で自宅と事業所を捜索し、保険免許の取り消し手続きが始まり、裁判所から53万ドル以上の支払い命令を受けていたのです。全てから逃れるために死を偽装するという極端な手段に出たとされています。

Q
シュレンカーは現在どうしていますか?
A

報道によれば、シュレンカーは刑期を終えて出所しています。インディアナ州の投資詐欺被害者の声を紹介するドキュメンタリーが2016年に公開されており、事件は投資詐欺の教育教材としても活用されています。

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