波和二とは?円天・L&G巨額詐欺事件の全貌

詐欺事件
波和二とは?円天・L&G巨額詐欺事件の全貌を3行で要約
  • マルチの元祖と呼ばれた波和二が率いるエル・アンド・ジー(L&G)は、独自の疑似通貨円天を発行し、年利36%の高配当を約束して出資金を集めた
  • 約3万7000人の会員から約1280億円を詐取。豊田商事事件に次ぐ日本史上3番目の巨額詐欺事件となった
  • 2009年に組織的詐欺容疑で逮捕され、懲役18年の実刑判決が確定。弁護団が回収できた金額はわずか約4億円にとどまっている

オレは神に次ぐ存在だ――。波和二はそう公言し、販売会場に現れると会員たちから神のように崇められたと報じられています。その話術とカリスマ性は凄まじく、一斉捜索が行われた後ですら妄信を続ける信者が多く、被害対策弁護団の弁護士が驚いたほどでした。

この記事では、日本のマルチ商法の原点とも言える人物が、独自通貨という目新しい仕掛けで高齢者を中心に1280億円を巻き上げた手口を解説します。

波和二の経歴と3度の実刑

波和二とは、日本のマルチ商法の先駆者であり、生涯で3度の実刑判決を受けた筋金入りの詐欺師です。

1971年、波は神奈川で米国系マルチ商法の会社APOジャパンを設立し副社長に就任しました。自動車エンジンの排気ガスを減少させ出力をアップさせると称する装置を約25万人に販売しましたが、1975年に破綻。被害者である高校生が自殺したことで社会問題化し、1978年に詐欺容疑で逮捕されています。これが日本初のマルチ商法事件とされています。

同時期の1973年にはノザックという会社も設立し、水道水をミネラルウォーターに変えるという触れ込みで麦飯石を販売。こちらも詐欺容疑で逮捕され、2度目の実刑判決を受けました。

出所後、波は億万長者をつくる会という名称で活動を再開。この会に集まった幹部社員を中核として、1987年にエル・アンド・ジー(L&G)が設立されました。

円天の仕組みと詐欺の手口

L&Gの中核的な仕組みは、1口100万円の協力金を預ければ3ヶ月ごとに9万円(年利36%)の配当を支払うというものでした。

年利36%という異常な高利回りは通常であれば信用されません。しかし波は3つの仕掛けを用意しました。第1に、最初は約束通りに配当を支払うことで信頼を獲得すること。第2に、独自の電子通貨円天を発行し、円天で野菜や布団などの商品が購入でき、世界的な金融危機の影響を受けないと宣伝したこと。第3に、有名歌手を呼んだコンサートや学者の講演会など、豪華なイベントを頻繁に開催し、集団の熱狂と陶酔感を生み出したことです。

会員はピラミッド構造のランク制度で分類されており、勧誘実績330人以上でグランドアーク(GA)という最高位に到達する仕組みでした。ランクを上げるための競争心を煽ることで、会員自身が新たな会員を勧誘する自己増殖的な構造が出来上がっていたのです。

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円天は電子マネーと呼ばれていましたが、実態は何の裏付けもない単なるポイントでした。しかし当時はまだ電子マネーの概念が一般に浸透しておらず、目新しい未来のお金というイメージで高齢者を信用させることに成功しています。新しい技術用語を使って信頼性を演出する手口は、現在の暗号資産詐欺にも直結するものです。

逮捕・裁判・判決

2009年2月5日、波と21人の幹部が組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の容疑で逮捕されました。

検察は、L&Gは事業収益を得る手段を持たず、新規会員の協力金で既存会員への配当を賄う自転車操業だったと指摘。返済の見込みがないのに莫大な収益があるように装い、31人から計3億2700万円を騙し取ったとして懲役18年を求刑しました。

2010年3月18日、東京地裁は求刑通り懲役18年の実刑判決を言い渡しました。波側は控訴・上告しましたが、いずれも棄却され、2012年1月に実刑が確定しています。

波は逮捕後も自分は無罪で事件は警察のでっち上げだと主張し続け、被害者への謝罪や反省の弁を述べることは一切ありませんでした。ブログでも毎日持論を展開し、2012年7月まで更新を続けていたとされています。

被害の全容は深刻です。出資者約3万7000人から集められた約1280億円のうち、弁護団が回収できた金額はわずか約4億円。波個人は約20億円を使い込み、うち約8億円は複数の知人女性に渡していました。六本木のキャバクラでスカウトした女性20〜30人を会社で雇用し、接待費だけで2〜3億円に達していたとされています。

まとめ

  • 波和二はマルチの元祖として3度の実刑判決を受けた筋金入りの詐欺師であり、独自通貨円天で約3万7000人から1280億円を詐取した
  • 年利36%という異常な高配当、電子マネーの目新しさ、イベントによる集団陶酔を組み合わせ、高齢者を中心に信者を獲得した
  • 回収できたのはわずか約4億円。年利10%を超える投資話は詐欺を疑うべきだという基本原則を、1280億円の犠牲をもって証明した事件だ

よくある質問

Q
円天で購入した商品はどうなりましたか?
A

円天はL&Gの破綻とともに一切の価値を失いました。円天で購入できた商品は実際に会員に届いていましたが、その原資は全て新規会員の出資金から賄われていたにすぎません。L&Gの破産手続き開始後、円天証書を買い取ると称してさらに手数料を騙し取る二次被害も発生しています。

Q
被害者はお金を取り戻せましたか?
A

ほとんど取り戻せていません。1280億円の被害額に対し、破産管財人と被害対策弁護団が回収できたのは約4億円にとどまっています。波の逮捕時の口座残高はわずか数百万円で、詐取した資金の大半は配当や個人的な浪費に消えていました。

Q
なぜ被害者は年利36%を信じたのですか?
A

主な要因は3つあります。最初に約束通り配当が支払われたことで信頼が形成されたこと、円天という電子マネーの目新しさが本質的な疑問を覆い隠したこと、そしてイベントやランク制度が集団心理を生み出し、個人の冷静な判断を妨げたことです。波自身のカリスマ的な話術も、信者を生み出す大きな要因でした。

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