- ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアの脆弱性が発見されてから修正パッチが配布される前の「0日目」に行われる攻撃で、防御側が準備できていない状態を突く。
- パッチが存在しない以上、どれだけOS・ソフトウェアを最新にしていても防げず、VPN機器などの重要インフラを経由して大規模な侵入を許してしまう。
- 仕組みを知っておけば、侵入を前提とした多層防御という考え方が身につき、万一の侵入後でも被害の拡大を最小限に抑えられる。
【深掘り】これだけは知っておけ
ゼロデイ(0-day)とは、修正パッチの配布開始を1日目と数えたとき、その前日=0日目に行われる攻撃を指します。セキュリティパッチが存在しない期間に脆弱性を悪用するため、一般的なパッチ適用という防御策が無効になります。2024年7月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)がVPN機器の脆弱性を悪用したゼロデイ攻撃を受け、職員・取引先約5,000人分の個人情報が窃取されました。同年4月には次世代ファイアウォールのCVSSスコア最大10.0(満点)のゼロデイ脆弱性が国内外で悪用されており、同年12月にはリモートアクセス機器でのゼロデイ攻撃による不正アクセスの痕跡も確認されています。
攻撃者はゼロデイ脆弱性の情報をダークウェブで高値で売買したり、国家支援を受けた攻撃グループが保有して機密情報窃取に使ったりします。特にVPN機器・ファイアウォール・リモートアクセス製品といったネットワーク境界機器は、常時インターネットに接続され、パッチ適用が遅れがちなため標的になりやすいのです。単一の完全な防御策はなく、侵入されることを前提とした多層防御の構築が必要とされています。
個人・中小企業が特に注意すべき点はVPN機器・ルーター・NASなどの常時接続機器です。これらはファームウェアアップデートが見落とされやすく、ゼロデイ攻撃の入口になりやすいです。製品ベンダーのセキュリティ情報を定期的にチェックし、緊急パッチが出た際は即座に適用してください。また、重要なデータへのアクセスを最小限に絞るゼロトラストの考え方が、万一の侵入後の被害を抑えます。
ゼロデイ攻撃の主な標的と被害
| 標的になりやすい機器・ソフト | 理由 | 被害の例 |
|---|---|---|
| VPN機器・リモートアクセス製品 | 常時接続・パッチ適用が遅れやすい | 社内ネットワークへの侵入・情報窃取 |
| 次世代ファイアウォール | 境界防御の要で狙うと被害が大きい | 認証バイパスによる管理者権限奪取 |
| ブラウザ・OSのゼロデイ | 広く使われるため影響範囲が広い | 閲覧しただけでのマルウェア感染 |
典型的なフレーズ・文脈

(攻撃者の内部)このVPN製品の未公開脆弱性、パッチはまだ出ていない。今がチャンスだ。このエクスプロイトを使えば認証なしでログインできる。標的企業のリストに流し込む。
ゼロデイ脆弱性を使ってパッチが出る前に一気に複数の標的に侵入する、国家支援型を含む攻撃グループの典型的な行動パターンを示した例です。

2024年7月、JAXAがVPN機器のゼロデイ脆弱性を悪用した攻撃で約5,000人分の個人情報が流出した可能性があると発表。専門家はパッチが出た瞬間に即適用することが被害を最小化すると指摘しています。
2024年のJAXAへのゼロデイ攻撃を報じる報道番組のキャスターを想定した表現です。

ゼロデイは防げない前提で考えてください。侵入後に被害が広がらないよう、アクセス権を最小化し、異常を早期検知できる体制を。VPN機器のパッチは最優先で適用を。
IPA担当者が、ゼロデイ攻撃に対する多層防御と早期検知の重要性を助言する場面を想定しています。
困ったときの相談窓口
ゼロデイ攻撃による侵入が疑われる場合は、以下の窓口に連絡してください。
| 窓口名 | 電話番号 | 受付時間 | 対応内容 |
|---|---|---|---|
| IPA安心相談窓口 | 03-5978-7509 | 平日 10:00〜12:00、13:30〜17:00 | 不正アクセス・マルウェア感染の相談 |
| JPCERT/CC | Webフォームのみ(https://www.jpcert.or.jp/) | 24時間受付(Webフォーム) | インシデントの報告・相談 |
| 警察相談専用電話 | #9110 | 平日 8:30〜17:15(各都道府県で異なる) | サイバー犯罪被害の相談 |
【まとめ】3つのポイント
- 正体はパッチ前の脆弱性を突く攻撃:アップデートという通常の防衛策が通用しない、サイバー攻撃の中でも防御が特に難しい手口です。
- VPN機器・境界機器が主な入口:2024年のJAXAなど国内の重要機関が繰り返し被害を受けています。
- 侵入前提の多層防御が対策の核心:パッチは即時適用。侵入後の被害拡大を防ぐアクセス権の最小化と早期検知が鍵です。
よくある質問
-
QOSとソフトウェアを最新にしていればゼロデイ攻撃は防げますか?
-
A
残念ながら、ゼロデイ攻撃に対してはアップデートだけでは防げません。修正パッチがまだ存在しない段階の脆弱性を突くため、最新の状態でも無防備になります。ただし、アップデートを怠ると既知の脆弱性も悪用されます。ゼロデイへの対策は、侵入を防ぐことよりも、侵入されたときの被害を最小限にする多層防御・早期検知・アクセス権の最小化の組み合わせが重要です。
-
Qゼロデイ攻撃の被害に遭うのは大企業だけですか?
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A
中小企業・個人も被害を受けます。大企業を標的にした高度な攻撃グループが使う場合もありますが、一度公開されたエクスプロイト(脆弱性悪用ツール)は誰でも使えるようになります。特にVPN機器・ルーター・NASなどを使う中小企業は、ファームウェアアップデートが遅れがちなため狙われやすいです。緊急パッチが出たら規模に関係なく即時適用してください。
-
Qゼロデイ脆弱性は誰が発見するのですか?
-
A
セキュリティ研究者・ソフトウェアベンダー・攻撃者のいずれかが最初に発見します。セキュリティ研究者がベンダーに報告し修正されれば良い循環ですが、攻撃者が先に発見してダークウェブで売買したり国家支援グループが機密として保持したりすると、ゼロデイ攻撃に使われます。バグバウンティ(脆弱性報告の報奨金制度)はこの良い循環を促す取り組みです。
-
Qゼロデイ攻撃とランサムウェアはどう関係しますか?
-
A
ゼロデイ攻撃は侵入の手段、ランサムウェアはその後に実行される攻撃ペイロードという関係です。ゼロデイ脆弱性を使ってVPNや境界機器を突破し、内部ネットワークに侵入した後でランサムウェアを展開するという組み合わせが増えています。最初の侵入口をゼロデイで作ることで検知を難しくし、その後の被害を大きくするというのが典型的な高度攻撃の流れです。
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この手口が実際に使われた事件
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