- 日産自動車を瀕死の状態から再建した「カリスマ経営者」カルロス・ゴーンが報酬隠し(有価証券報告書の虚偽記載)と特別背任の容疑で逮捕された
- 保釈中の2019年末に楽器箱に身を隠してプライベートジェットでレバノンに密出国するという映画さながらの逃亡劇を行った
- レバノンと日本には犯罪人引渡条約がなく、裁判は事実上停止。逃亡を手助けした元特殊部隊員らは有罪となった
瀕死の日産を再建した「コストカッター」。年間報酬20億円超の「カリスマ経営者」。その人物が逮捕され、楽器箱に入ってレバノンに逃げた――。
カルロス・ゴーン事件は、企業犯罪と国際逃亡が交差する異例の事件です。日本の司法制度の問題点を世界に突きつけた一方で、巨額報酬を隠し会社を私物化したとされる疑惑も残る、複雑な事件です。
カルロス・ゴーンとは
カルロス・ゴーンとは、ブラジル生まれのレバノン系フランス人実業家で、1999年に経営危機に陥った日産自動車のCOO(後にCEO・会長)に就任した人物です。
ゴーンは「リバイバルプラン」と呼ばれる大胆なリストラ計画で日産をV字回復させ、「コストカッター」の異名を取りました。日本で最も有名な外国人経営者の一人であり、ルノー・日産・三菱の3社アライアンスの頂点に君臨していました。
逮捕容疑:報酬隠しと特別背任
報酬の過少記載
2018年11月、東京地検特捜部はゴーンを金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で逮捕しました。ゴーンは自身の役員報酬を有価証券報告書に実際より少なく記載し、数十億円の報酬を隠していた疑いです。
特別背任
さらに、個人的な投資で発生した損失を日産に付け替えたり、日産の資金を私的に流用したりしたとする特別背任容疑でも再逮捕・起訴されました。
楽器箱でレバノンへ:映画さながらの逃亡劇
2019年12月29日、保釈中だったゴーンは大型の楽器ケース(コントラバス用のケース)に身を隠し、関西国際空港からプライベートジェットでトルコ経由でレバノンに密出国しました。
逃亡を手助けしたのは、アメリカの元陸軍特殊部隊(グリーンベレー)出身のマイケル・テイラーとその息子です。楽器ケースは空港の手荷物検査を通過する際にX線検査を受けなかったとされ、日本のセキュリティ体制の盲点を突いた逃亡でした。
テイラー親子は後に日本に引き渡され、犯人隠避の罪で有罪判決を受けています。

楽器箱に入っての国外逃亡。これは映画のシナリオではなく、日本で実際に起きた出来事です。ゴーン事件は「人質司法」と呼ばれる日本の長期勾留制度への国際的な批判を招いた一方、企業トップの不正の闇も照らし出した、多面的な事件です。
事件の全貌
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1999年日産にCOOとして就任ルノーからの出向で日産に着任。大規模リストラ「リバイバルプラン」で日産を再建し、カリスマ経営者として名声を得る。
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2018年11月逮捕羽田空港到着時に東京地検特捜部に逮捕。報酬の過少記載と特別背任で起訴。長期勾留が「人質司法」として国際的に批判される。
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2019年4月保釈保釈金計15億円を支払い保釈。GPS装着と海外渡航禁止の条件付き。
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2019年12月レバノンに密出国楽器ケースに隠れ関西国際空港からプライベートジェットで出国。レバノンに到着し「日本の司法制度から逃れた」と声明。
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2021年逃亡幇助者に有罪判決テイラー親子が日本に引き渡され、犯人隠避の罪で有罪。ゴーン本人はレバノンに滞在を続け、裁判は停止中。
まとめ
- カルロス・ゴーンは日産の再建者でありながら報酬隠しと特別背任で逮捕された
- 楽器箱でレバノンに逃亡し、裁判は事実上停止。真実は永遠に法廷で明かされない可能性がある
- 「カリスマ経営者」への権力集中はガバナンスの盲点を生む。タイコのコズロウスキーと同様、経営者の報酬と経費の透明性は企業統治の根幹だ
よくある質問
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Qゴーンはレバノンで逮捕されないのですか?
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A
レバノンと日本の間には犯罪人引渡条約がなく、レバノンは自国民の国外引き渡しに消極的な姿勢を取っています。そのため現時点ではゴーンの身柄引き渡しは実現していません。インターポール(国際刑事警察機構)の赤手配書が出されていますが、法的な拘束力は限定的です。
【出典】参考URL
- カルロス・ゴーン – Wikipedia:事件の全体像、逃亡の経緯


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