ブレイ・エックス事件とは?金鉱詐欺で株価6000倍から99%暴落

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ブレイ・エックス事件とは?金鉱詐欺で株価6000倍から99%暴落を3行で要約
  • カナダの探鉱会社ブレイ・エックス(Bre-X)が、インドネシア・ボルネオ島の金鉱で埋蔵量2000〜6000トンという虚偽の発表を行い、株価は2年間で約6000倍に上昇した
  • 地質学者のデ・グスマンが採取サンプルに金を混入する“塩撒き(salting)”という手法で検査結果を捏造。企業価値は最大約5000億円に達した
  • 1997年にフリーポート社の現地調査で金鉱がほぼ存在しないと判明。株価は99%以上暴落し、デ・グスマンはヘリコプターから墜落死。真相は今なお謎に包まれている

インドネシア・ボルネオ島の密林の奥深く。そこに世界最大の金鉱が眠っている――1990年代半ば、この情報はカナダと米国の投資家を熱狂させました。金の埋蔵量は米国フォートノックスの金塊備蓄に匹敵する規模だとされ、投資家はこぞって株を買い漁りました。

しかし実態は、地質学者がサンプルに金を混ぜるという古典的な手口による壮大な捏造でした。1997年に真相が明らかになると株価は99%以上暴落し、約5000億円の企業価値が一夜にして消滅。キーマンの地質学者はヘリコプターから墜落死するという衝撃的な結末を迎えます。

この記事では、金融史上最大級の金鉱詐欺であるブレイ・エックス事件の全貌を解説していきます。

ブレイ・エックスとは

ブレイ・エックス(Bre-X Minerals Ltd.)は、1989年にカナダのカルガリーで設立された小規模な探鉱会社です。

CEOのデイヴィッド・ウォルシュは元証券マンで、業績不振の同社を救うために資源探査に活路を見出しました。1993年にインドネシア・ボルネオ島のブサン鉱区の金鉱探査権を取得。現地調査を率いたのがフィリピン人地質学者のマイケル・デ・グスマンでした。この人物が事件のキーマンとなります。

“塩撒き”による金鉱の捏造

デ・グスマンが使った手口は“塩撒き(salting)”と呼ばれる古典的な鉱山詐欺です。ドリリングで採取した岩石サンプルに外部から金を混入させ、検査所に送ることで金鉱が存在するかのように見せかけました。

1995年、ブレイ・エックスは金の埋蔵量が2000トンあると発表。その後、発表は6000トンにまで膨張しました。これは全世界の年間生産量の3年分に相当する途方もない数字です。株価は2年間で約6000倍に上昇し、企業価値は最大60億カナダドル(当時約5000億円超)に達しました。

大手鉱山会社バリック・ゴールドやインドネシアのスハルト政権までもが関心を示し、J.P.モルガンが金融アドバイザーとして参画、フリーポート・マクモラン社がパートナー契約を結ぶなど、事態は国家プロジェクトにまで発展していました。

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投資家たちは大発見の報に浮かれ、最も基本的なサンプルや分析値の実質的なチェックを行いませんでした。証券アナリストも株価の上昇しか見ておらず、2年間も詐欺が見抜けなかったのです。マーク・トウェインの名言“金鉱とは空っぽの穴の横にうそつきが一人立っている場所だ”が、これほど的確に当てはまる事例はありません。

崩壊とキーマンの謎の死

ブレイ・エックス事件の時系列
  • 1993年
    ボルネオ島の金鉱探査権を取得
    デイヴィッド・ウォルシュCEOがインドネシア・ボルネオ島ブサン鉱区の探査権を取得。マイケル・デ・グスマンが現地調査を主導。
  • 1995年〜1996年
    埋蔵量2000〜6000トンと発表、株価6000倍に
    捏造された調査結果に基づき金の埋蔵量を発表。バリック・ゴールドやスハルト政権も関心を示し、企業価値は最大60億カナダドル(約5000億円超)に達した。
  • 1997年3月
    フリーポート社が金鉱不在を確認、デ・グスマン墜落死
    フリーポート・マクモラン社が現地でデューデリジェンス掘削を実施し、金がほとんど存在しないことを発見。同時期にデ・グスマンがヘリコプターから墜落死。自殺、殺害、偽装死の諸説があり真相は不明。
  • 1997年3月〜
    株価99%以上暴落、ブレイ・エックス破産
    金鉱が捏造であったことが確定し、株価は数日で99%以上暴落。ブレイ・エックスは破産し、2003年に正式に清算された。投資家による集団訴訟が提起されたが回収はごくわずか。
  • 1998年〜2007年
    関係者の死と無罪判決
    CEOのウォルシュは1998年にバハマで心不全により死亡。主席地質技師フェルダーホフは8400万カナダドルの保有株を売り抜けていたが、2007年にオンタリオ州地裁で証拠不十分として無罪判決。刑事責任を問われた者はいない。

現代に通じる教訓

ブレイ・エックス事件は、投資家の欲望と検証の欠如が組み合わさったときに何が起きるかを示した教科書的な事例です。

2年間にわたり世界最大の金鉱とされた鉱脈は、サンプルに金を混ぜるという単純な手口で捏造されていました。にもかかわらず、投資家もアナリストも独立した検証を行わず、上昇する株価だけを見て投資判断を行いました。この構造は、現代の暗号資産詐欺やSNSを使った投資煽りにも通じるものがあります。

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この事件で最も恐ろしいのは、誰一人として刑事責任を問われなかったことです。デ・グスマンは死亡、ウォルシュも死亡、唯一生存していたフェルダーホフは無罪。5000億円が消えたのに、誰も罰せられていません。事件はマシュー・マコノヒー主演の映画“ゴールド/金塊の行方”のモデルにもなっています。

まとめ

  • ブレイ・エックスはサンプルへの金混入という“塩撒き”で金鉱の埋蔵量を捏造。株価は6000倍に上昇し企業価値は約5000億円に達した
  • フリーポート社の調査で捏造が発覚し株価は99%以上暴落。キーマンのデ・グスマンはヘリコプターから墜落死し、真相は闇の中
  • 独立した検証なしに投資判断を行う危険性を示した教科書的事例。上昇する数字だけを信じることの代償は5000億円だった

よくある質問

Q
デ・グスマンの死因は何ですか?
A

1997年3月、フリーポート社の調査結果が出る直前に、デ・グスマンはヘリコプターから墜落して死亡しました。公式には自殺とされていますが、殺害説や偽装死説も存在します。発見された遺体は腐敗が激しく、本人確認も不明瞭なままです。今なお真相は謎に包まれています。

Q
なぜ2年間も詐欺が見抜けなかったのですか?
A

主な原因は2つあります。第一に、投資家やアナリストが大発見の報に浮かれ、サンプルや分析値の独立した検証を行わなかったこと。第二に、鉱区がボルネオ島のジャングル奥深くにあり、外部からの現地調査が困難だったことです。フリーポート社がパートナーとして初めて独自の掘削調査を行って初めて、金がほとんど存在しないことが判明しました。

Q
この事件を題材にした映画はありますか?
A

2016年公開の映画“ゴールド/金塊の行方”(原題: Gold)がBre-X事件をモデルにしています。マシュー・マコノヒーが主演・製作を務め、はげ頭に人工歯、20キロ増量という渾身の役作りで話題になりました。スティーヴン・ギャガン監督がメガホンを取っています。

【出典】参考URL

  • K2 College:事件の全体像、株価6000倍、企業価倦60億カナダドル、デ・グスマンの増落死
  • JOGMEC:フェルダーホフの無罪判決、8400万カナダドルの株売り抜け
  • 四天王寺大学紀要:塩撞き(salting)の手法、埋蔵量6000トンの虚偽発表、カナダ証券市場への影響

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