- 偽弁護士の詐欺には、弁護士資格を持たない者が法律事務を行う非弁行為型と、実在する弁護士の名前を騙るなりすまし型の2種類がある
- 近年はロマンス詐欺の被害者をさらに狙う二次被害型が急増。被害金の回収を謳って着手金を集め、事件処理を放置する手口で、約900人から約5億円を騙し取った事件も発生している
- 弁護士が本物かどうかは日弁連の弁護士検索システムで即座に確認できる。ここに名前が出ない人物は弁護士ではない
必ず返金いたします。24時間365日対応可能。返金実績数千件――。SNS広告に踊るこの言葉に引き寄せられた人の多くは、すでに一度詐欺に遭い、お金を取り戻したいと藁にもすがる思いの被害者です。しかしその法律事務所も、実は偽物かもしれません。
この記事では、弁護士資格を持たない人物が法律事務を行う非弁行為や、実在する弁護士を名乗ってお金を騙し取る手口の実態と、本物の弁護士を見分ける方法を解説します。
偽弁護士詐欺の3つの類型
偽弁護士による詐欺は、大きく分けて3つの類型に分類されます。
類型1:完全な無資格者による非弁行為
司法試験に合格した事実も弁護士登録した事実もないにもかかわらず、弁護士を名乗って法律事務を行うケースです。大阪地裁の判例では、自分と同姓同名の実在する弁護士を見つけ、裁判所で改名手続きを行った上でその弁護士になりすまして業務を行った人物が、有印私文書偽造罪で懲役刑を受けています。
弁護士を名乗って女性から金銭を騙し取ろうとした男が詐欺未遂で逮捕された事件では、本物の弁護士が現れて登録番号を質問したところ、答えられずに狼狽する姿がテレビで繰り返し放映されました。
類型2:実在する弁護士名を騙るなりすまし
東京弁護士会は、過去の大規模詐欺事件の被害者に対して実在する弁護士を名乗る者が電話をかけ、被害金の取り戻しが可能であるという架空の手続きを持ちかけて着手金を詐取しようとする事例が多発していると注意喚起しています。犯人は本物の弁護士の登録番号まで告げ、弁護士会に確認するよう促すという巧妙な手口を使います。
類型3:非弁提携(名義貸し)による二次被害
近年最も深刻化しているのがこの類型です。弁護士資格のない業者グループが弁護士の名義を借りて法律事務所を運営し、インターネット広告で詐欺被害者を集客して着手金を徴収し、事件処理を放置するという手口です。
2024年には元衆院議員で弁護士の今野智博被告がこの非弁提携で逮捕されました。グループは詐欺被害の回収を謳うネット広告で約900人から計約5億円の着手金を集めていたとされています。

偽弁護士詐欺の中で最も悪質なのが二次被害型です。すでに詐欺で大金を失った人が、お金を取り戻したいという切実な願いに付け込まれて、さらに着手金を騙し取られるのです。必ず返金します、返金実績多数という広告文句こそが詐欺のサインです。正直な弁護士であれば、国際ロマンス詐欺の返金は一般的に困難ですと説明するはずです。
本物の弁護士を確認する方法
弁護士が本物かどうかを確認する最も確実な方法は、日本弁護士連合会(日弁連)の弁護士検索システムを使うことです。
日弁連のウェブサイトで弁護士を探すから、名前・登録番号・弁護士会の単位で検索できます。全ての弁護士は必ずこのシステムに登録されており、ここに名前が出ない人物は弁護士ではありません。企業内弁護士であっても弁護士登録は義務づけられているため、企業内弁護士だから検索に出ないという言い訳は通用しません。
また弁護士には必ず登録番号があり、自分の登録番号を即座に答えられない弁護士は通常あり得ません。弁護士バッジの提示を求めることも有効ですが、偽造バッジも存在するため、日弁連の検索と併用することが推奨されます。
法的な罰則
偽弁護士の行為には複数の法律で罰則が定められています。
弁護士法72条は非弁行為(弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を行うこと)を禁止しており、違反した場合は2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。弁護士が無資格者に名義を貸す非弁提携は弁護士法27条で禁止され、刑事罰の対象となるほか懲戒処分も行われます。
さらに弁護士を偽って文書に署名した場合は有印私文書偽造罪(刑法159条)、偽の弁護士として報酬を受け取った場合は詐欺罪(10年以下の懲役)が成立する可能性があります。
まとめ
- 偽弁護士の詐欺には完全な無資格者・なりすまし・非弁提携の3類型があり、特に詐欺被害者をさらに狙う二次被害型が急増している
- 2024年には非弁提携で約900人から約5億円の着手金を集めた事件で元衆院議員が逮捕された
- 弁護士が本物かどうかは日弁連の弁護士検索で確認できる。ここに名前が出ない人物は弁護士ではない
よくある質問
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Q弁護士が本物かどうかはどうやって確認できますか?
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A
日本弁護士連合会のウェブサイトにある弁護士検索システムで、名前や登録番号を入力して検索してください。全ての弁護士は必ずこのシステムに登録されています。企業内弁護士でも例外はありません。検索に出ない名前の人物は弁護士資格を持っていません。
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Q詐欺の被害金回収を謳う広告は全て詐欺ですか?
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A
全てが詐欺というわけではありませんが、必ず返金します、24時間365日対応、返金実績数千件といった扇動的な広告文句は非弁提携業者の可能性が高いです。正当な弁護士であれば、被害回収の見通しについてリスクも含めて正直に説明するはずです。依頼する前に日弁連の検索で弁護士の実在を確認し、必ず対面での相談を行ってください。
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Q偽弁護士に依頼してしまった場合はどうすればいいですか?
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A
まず警察に被害届を提出してください。次に、所属弁護士会(弁護士が名義を貸していた場合)に苦情を申し立てましょう。弁護士会は非弁提携行為に対して懲戒処分を行う権限を持っています。また、着手金の返還を求める民事訴訟も検討してください。愛知県弁護士会など複数の弁護士会が非弁・非弁提携の情報提供窓口を設けています。
【出典】参考URL
- 東京新聞:非弁提携業者の手口と元衆院議員の逮捕
- 東京弁護士会:実在の弁護士名をかたるなりすまし詐欺への注意喚起
- LegalSearch:偽弁護士の法的罰則と日弁連検索システム
- 早稲田リーガルコモンズ法律事務所:弁護士の詐欺二次被害の実態
- 愛知県弁護士会:非弁・非弁提携の情報提供窓口設置


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