- 熊本県出身の山邊節子は62歳を38歳と偽り、松田聖子風の若作りファッションと巧みな話術で男性たちの信頼を獲得した
- 東芝やシャープなどの大企業へのつなぎ融資と称して元本保証・年利25%を約束し、50人以上の被害者から7億円以上を詐取した
- 国際手配されタイで逮捕。詐取した金は30代のタイ人男性への貢ぎに消えていた。2018年に熊本地裁で懲役7年の判決を受けた
彼女は38歳だか39歳だかと言っていた。エリコと呼んでいた――。山邊節子の交際相手だった30代のタイ人男性は、日本のテレビ局の取材にそう答えました。しかし実際の年齢は62歳。干支を聞かれた時に嘘がばれないよう、2回り(24歳)若くサバを読むという計算高さでした。
この記事では、若さと女性らしさを武器に男性たちから7億円以上を騙し取り、タイで逮捕されたつなぎ融資の女王の手口と結末を解説します。
山邊節子の経歴
山邊節子とは、熊本県益城町出身の投資詐欺師であり、つなぎ融資の女王の異名で知られる人物です。
幼少期は地味な性格でしたが、高校に入ってから男性関係が派手になったとされています。高卒後に結婚し、長男と長女をもうけましたが、夫の出張中に不倫が発覚して離婚。離婚前から熊本市内で水商売を始め、1992年には焼却炉の製造販売会社を設立しています。
しかし2005年に会社が破産し、このあたりから投資詐欺に手を染めるようになりました。水商売で培った話術と対人スキルが、詐欺の強力な武器となったのです。
つなぎ融資詐欺の手口
山邊の詐欺の手口は、大企業が銀行からすぐにお金を借りられない時のつなぎ融資を私が仲介していると持ちかけるものでした。
まず高校の同級生をターゲットにして声をかけ、1000万円を預ければ1350万円になって返ってくると誘いました。初期は約束通り配当を支払うことで信頼を獲得し、口コミで被害者を拡大していきます。
やがてイベントや社交の場に高価な宝石と高級ブランドの服で現れ、只者ではない雰囲気を演出するようになりました。政治家や社長とのつながりをほのめかし、東芝やシャープなどの大企業名を挙げて、元本保証で年利25%の利息を約束。10ヶ月で2倍になると謳いました。
被害者は男性ばかり50人以上に上りました。金の受け渡しは窓口役を通じた手渡しで、契約書はなく、説明は全て手書きのメモ。証拠が残りにくい構造を意図的に作り上げていたのです。被害総額は立件された8件で約1億7700万円ですが、グループ全体では約27億円とも報じられています。

山邊節子の事件で注目すべきは、被害者が全員男性だったという点です。山邊は若作りの外見と巧みな話術を使い、相手の男性に好意を持たせた上で投資話を持ちかけています。つまりこの事件は投資詐欺とロマンス詐欺のハイブリッドでした。好意を持った相手の話は疑いにくいという心理を利用しているのです。
タイでの逃亡生活と逮捕
詐欺が発覚し熊本県警から出資法違反の容疑で逮捕状が出ると、山邊は海外への逃亡を選びました。
2016年1月からタイに渡り、観光ビザで入国してはビザが切れるとタイ国外に出て再入国するという生活を繰り返しました。15回以上の入国を繰り返しています。タイでは本名の節子ではなくエリコと名乗り、偽名のヤマベ・エリコ名義の偽造パスポートも所持していました。
タイでの山邊は、パタヤのホストクラブで知り合った30代のタイ人元ホスト男性と交際していました。62歳を38歳と偽り、松田聖子風のヘアスタイルに肩出しの白いブラウスとショートパンツという出で立ちでした。交際相手のために詐取した金で家を建て、牛を3頭買い与え、毎月1〜2万バーツ(約3〜6万5000円)を渡していたとされています。その前にはフィリピンにも恋人がおり、同様に多額の金を貢いでいました。
2017年4月5日、タイ東部ウボンラチャタニー県でタイ入国管理警察に逮捕されました。逮捕時の松田聖子風の若作りファッションが日本のメディアで大きく取り上げられ、自称38歳の62歳というインパクトが社会的な話題となりました。
判決と映画化
2018年4月19日、熊本地裁は山邊に対し懲役7年(求刑懲役10年)の判決を言い渡しました。
裁判では、山邊が投資名目で会社役員らから計約1億7700万円を騙し取った事実が認定されています。山邊は裁判中に獄中手記を執筆し、幼少期から心の中に住む生き物のために、誰よりも美しく、誰よりも品のよい宝石を身につけていなければ生きられなかったと自身のナルシシズムを吐露しました。
この事件は樹木希林が企画した映画エリカ38(2019年公開)のモデルとなりました。浅田美代子が45年ぶりの主演を果たし、金と男への欲望に忠実な女性の半生が描かれています。タイトルのエリカは山邊がタイで名乗った偽名、38は自称した年齢です。
まとめ
- 山邊節子は62歳を38歳と偽る若作りと巧みな話術を武器に、大企業へのつなぎ融資を装った投資詐欺で50人以上の男性から7億円以上を詐取した
- 詐取した金はタイ人やフィリピン人の若い男性への貢ぎに消えた。2017年にタイで逮捕、2018年に懲役7年の判決
- 元本保証で年利25%を約束する投資話は確実に詐欺だ。契約書のない手渡しでの金銭授受は最も危険な取引形態であると認識すべきである
よくある質問
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Qつなぎ融資とは何ですか?
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A
つなぎ融資とは、企業が正式な融資を受けるまでの間、一時的に資金を借り入れることを指す正規の金融取引です。しかし山邊の事件では、この用語を悪用して一般個人から資金を集めていました。本物のつなぎ融資は銀行間で行われるものであり、個人投資家が参加することは通常ありません。個人につなぎ融資への参加を持ちかける話は詐欺である可能性が極めて高いです。
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Qなぜ被害者は62歳を38歳だと信じたのですか?
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A
山邊は若い頃から外見に非常に気を使い、笑顔の練習を幼少期から行っていたとされています。また干支を聞かれた際に嘘が発覚しないよう、ちょうど2回り(24歳)若く偽るという計算高さもありました。ただし交際相手のタイ人男性は38歳ではないと気づいていたと後に証言しており、周囲が完全に信じていたわけではなかったようです。
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Q被害者はお金を取り戻せましたか?
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A
詐取された金の大部分は山邊の個人的な浪費やタイ・フィリピンの交際相手への貢ぎに消えており、全額回収は極めて困難です。契約書がなく手渡しで金銭が授受されていたため、被害額の立証自体も容易ではありませんでした。立件されたのは8件・約1億7700万円にとどまっていますが、実際の被害総額は27億円に上るとも報じられています。
【出典】参考URL
- ハーバー・ビジネス・オンライン:懲役7年の判決と手記の内容
- NEWSポストセブン:つなぎ融資の女王の独占告白
- J-CASTテレビウォッチ:タイでの逮捕と交際相手の証言
- mi-mollet:映画エリカ38と樹木希林の企画背景


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