- タイコ・インターナショナルのCEOデニス・コズロウスキーとCFOマーク・スワーツが約6億ドル(約660億円)を不正流用した
- 会社資金で6,000ドルのシャワーカーテンや200万ドルの誕生日パーティー、豪華マンションの内装を賄う生活を送っていた
- 2005年に横領・証券詐欺等22の罪で有罪。最大禁錮25年の判決を受けた
6,000ドル(約66万円)のシャワーカーテン。1万5,000ドルの犬用傘立て。200万ドルの地中海での誕生日パーティー。すべて会社のお金で買いました――。
タイコ・インターナショナルは、セキュリティ機器や医療用品を製造する米国の巨大複合企業でした。2002年、そのCEOデニス・コズロウスキーが会社の資金を私物化し、約6億ドルを不正流用していたことが発覚。エンロン、ワールドコムと並ぶ2000年代の三大企業スキャンダルの一つとして歴史に刻まれました。
タイコ・インターナショナルとは
タイコ・インターナショナル(Tyco International)とは、1960年にアメリカで設立された多国籍複合企業です。セキュリティシステム、防災設備、医療機器、電子部品など幅広い事業を展開し、2001年時点で売上高約380億ドル、従業員約27万人の巨大企業に成長していました。
コズロウスキーは1992年にCEOに就任し、積極的なM&A戦略でタイコを急成長させました。「次のジャック・ウェルチ」と称賛される一方、その裏では会社の金庫を私物化する生活が始まっていました。
横領の手口:会社を個人の財布にした男
コズロウスキーとCFOスワーツが行った不正の主な手口は以下の通りです。
無許可のボーナスと融資免除
取締役会の正式な承認を得ず、自分たちに数千万ドルの特別ボーナスを支給。さらに、会社からの低利子融資を受けた後、その返済を自ら免除するという手口を使いました。
会社経費の私的流用
マンハッタンの豪華アパートメントの家賃、内装費、調度品をすべて会社経費として処理。その中には6,000ドルのシャワーカーテンや1万5,000ドルの犬用傘立てという常軌を逸した支出も含まれていました。
200万ドルの誕生日パーティー
コズロウスキーは妻の40歳の誕生日に、イタリアのサルデーニャ島で200万ドルのパーティーを開催。その費用の半分(約100万ドル)を「社内行事」として会社に請求しました。
事件の全貌
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1992年コズロウスキーがCEOに就任積極的なM&Aでタイコを急成長させ、「次のジャック・ウェルチ」と称賛される。年間報酬は数千万ドルに達するが、それでも足りず会社資金の流用を開始。
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2002年6月コズロウスキー辞任・起訴ニューヨーク州検察が売上税の脱税で起訴。その後の捜査で会社資金の大規模な流用が発覚し、横領・証券詐欺等で追加起訴。
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2004年最初の裁判が審理無効に陪審員への脅迫問題が発生し審理無効。再裁判が決定。
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2005年有罪判決・禁錮最大25年再裁判で横領、証券詐欺、文書偽造など22の罪で有罪。禁錮8年4ヶ月〜最大25年の判決。巨額の罰金・賠償金も命じられる。
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2014年コズロウスキー仮釈放約8年の服役後に仮釈放。タイコは事件後に3社に分割され、現在はジョンソン・コントロールズの一部として事業を継続。

6,000ドルのシャワーカーテンは「企業犯罪の浪費の象徴」として語り継がれています。金額の大きさだけでなく、「会社の金を使っている感覚すらなかった」というコズロウスキーの感覚のズレが恐ろしいですね。
まとめ
- タイコのCEOコズロウスキーは約6億ドルの会社資金を私的に流用し、豪遊の限りを尽くした
- 取締役会の監視機能が形骸化し、CEOが会社を私物化する構造を許してしまった
- 企業のガバナンスでは経営者の報酬・経費の透明性が不可欠。SOX法の制定はタイコ事件も契機となった
よくある質問
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QSOX法(サーベンス・オクスリー法)とは何ですか?
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A
2002年に米国で制定された企業改革法です。エンロン、ワールドコム、タイコ等の不正を受けて、CEO/CFOによる財務諸表の宣誓、内部統制の強化、監査法人の独立性確保などを義務付けました。経営者の不正に対する刑事罰も強化されています。
【出典】参考URL
- Tyco International – Wikipedia:事件の全体像、コズロウスキーの裁判
- SEC:タイコ関連の訴追記録


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