ハン・ファン・メーヘレンとは?ナチスも騙したフェルメール贋作師

詐欺事件
ハン・ファン・メーヘレンとは?ナチスも騙したフェルメール贋作師を3行で要約
  • オランダの画家メーヘレンはフェルメールの贋作を11点制作し、美術界最高の権威をも欺いた20世紀最大の贋作師だ
  • ナチスの高官ゲーリングに贋作を売りつけ、代金として200点以上のオランダ美術品を取り戻した
  • 戦後に国家反逆罪で逮捕されたが、贋作であると自ら告白。裏切り者から英雄へと評価が一転した

もし俺が死んだら、絵はまたフェルメールになる――。20世紀最大の贋作師が残したとされるこの言葉は、芸術の価値とは何かという根源的な問いを投げかけています。

ハン・ファン・メーヘレンは、巨匠フェルメールの未発見作品と偽って11点もの贋作を制作し、美術界の最高権威から美術館、そしてナチス・ドイツの高官までをも騙し通した画家です。彼の贋作は現在も美術館に展示されており、芸術の本質を問い続けています。

メーヘレンの生い立ちと動機

メーヘレンが贋作制作に手を染めた動機は、自分の作品を正当に評価しなかった美術界への復讐でした。

1889年、オランダの小さな町で生まれたメーヘレンは、幼い頃から絵を描くことを愛し、17世紀の巨匠フェルメールに強く惹かれていました。美術学校で学び、画家の道を志しましたが、新印象派やフォービズムが主流だった当時の美術界では、彼の古典的な作風は絵が古臭いと酷評されました。

この不遇が、メーヘレンを贋作の道に駆り立てたのです。裁判で問われた際に、過小評価されてきた自分の能力を贋作を作ることで認めてほしかったと語っています。

代表的な贋作と美術界の欺き

メーヘレンの最初にして最大の成功は、美術界の法王と呼ばれたブレディウスを欺いた贋作エマオの食事です。

メーヘレンの贋作は、既存のフェルメール作品をコピーしたものではありませんでした。フェルメールの初期の宗教画と後期の光の描写を融合させた、この世に存在しない中期の未発見作品という体裁で制作されたのです。さらに、描いた後にオーブンで焼き、特殊な樹脂で固めることで経年変化を再現するという科学的な偽装も施していました。

当時フェルメール研究に生涯を捧げたアブラハム・ブレディウスはこの絵を一目見て真作だと断言し、専門誌に奇跡の発見と絶賛記事を寄稿しました。ロッテルダムのボイマンス美術館が巨額の寄付を集めて収蔵し、目玉展示としています。

ナチスとの取引と戦後の逮捕

メーヘレンの人生を大きく変えたのは、ナチスの高官ゲーリングにフェルメールの贋作を売却したことです。

第二次世界大戦中、美術品の蒐集に熱心だったゲーリングは、未発見のフェルメールの存在を知り、200点以上のオランダ美術品と引き換えにこの贋作を入手しました。ゲーリングにとってこの取引は最高の成果でしたが、手に入れたのは偽物だったのです。

1945年、ドイツの降伏後に連合軍がゲーリングのコレクションを調査し、絵の出所を辿るうちにメーヘレンの名が浮上しました。メーヘレンはオランダの国宝をナチスに売った国家反逆罪で逮捕されます。最高死刑もあり得る状況でした。

追い詰められたメーヘレンは、驚くべき告白をします。あれは私が描いた贋作だ。フェルメール作品なんてなかったと。証拠として法廷で実際にフェルメール風の絵を描いて見せ、X線写真などの科学鑑定によって贋作であることが証明されました。

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メーヘレンの事件は、権威が認めれば本物になるのかという問いを私たちに突きつけます。美術界の最高権威が真作と認定し、美術館が購入し、世界中が称賛した絵画が、実は一人の画家の復讐心から生まれた偽物だった。

有名人が推薦しているから安心、専門家が認めているから本物――この思考停止は、美術品に限らず、投資商品やサービスの判断にも通じる危険な罠です。

国家反逆罪は免れ、メーヘレンの評判はナチスを騙してオランダの美術品を取り戻した英雄へと一転しました。1947年11月に詐欺罪で禁固1年の判決を受けましたが、控訴期間中の12月30日に心臓発作で死去しています。58歳でした。

まとめ

  • メーヘレンは美術界への復讐としてフェルメールの贋作を11点制作し、最高権威の鑑定士から美術館、ナチス高官まで騙し通した
  • 戦後に国家反逆罪で逮捕されたが自ら贋作と告白し、裏切り者から英雄へと評価が一転。禁固1年の判決直後に心臓発作で死去した
  • 権威が認めれば本物になるのかという問いは、美術に限らず投資やサービスの判断にも通じる。専門家の評価を鵜呑みにせず自ら確認する姿勢が重要だ

よくある質問

Q
メーヘレンの贋作は今も美術館にありますか?
A

あります。代表作のエマオの食事はロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館に、専門家が騙された教訓として現在も常設展示されています。贋作が美術館に展示されている珍しい事例です。

Q
メーヘレンの贋作技術はどのように見破られましたか?
A

メーヘレン自身の告白がきっかけです。彼が法廷でフェルメール風の絵を描いて見せた後、専門の調査委員会がX線写真や顔料の化学分析を行い、贋作であることが科学的に証明されました。ただし、この鑑定結果に異議を唱える美術専門家もおり、1970年代まで論争が続きました。

Q
メーヘレンの事件は映画化されていますか?
A

2016年にルドルフ・バン・デン・ベルグ監督により、ナチスの愛したフェルメールとして映画化されています。メーヘレンがなぜ贋作を描くようになったのか、批評家への復讐心とナチスとの接触が描かれた伝記ドラマです。

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