クウェク・アドボリとは?UBSに23億ドル損失の不正取引

詐欺事件
クウェク・アドボリとは?UBSに23億ドル損失の不正取引を3行で要約
  • UBSロンドンのETFデスクのトレーダーが無断取引で23億ドル(約1800億円)の損失を出した。英国史上最大の不正取引事件
  • バックオフィス出身で取引の入力・追跡・会計処理の仕組みを熟知しており、架空のヘッジ取引を入力して監視をかわした
  • 禁固7年の判決後に出所したが、英国市民権を持たなかったためガーナに強制送還された

奇跡が必要だ――2011年9月、UBSのトレーダーがFacebookにそう投稿しました。その数日後、彼は23億ドルの無断取引損失を上司に告白するメールを送り、英国史上最大の不正トレーダーとして逮捕されることになります。

クウェク・アドボリは、ガーナ出身でUBSのロンドンオフィスに勤務していたトレーダーです。2008年から3年間にわたり無断取引を行い、最終的に23億ドルの損失を出しました。UBSのCEOが引責辞任し、株価が一時8%以上下落するほどの衝撃を市場に与えています。

アドボリの経歴

アドボリの経歴で注目すべきは、バックオフィスからフロントに転じたケルヴィエルと同じキャリアパスを辿った点です。

1980年5月21日、ガーナのテマで国連職員の息子として生まれました。幼少期をイスラエル、シリア、イラクで過ごし、1991年に英国に移住。名門クエーカー系寄宿学校のアックワース校で首席(ヘッドボーイ)を務めています。ノッティンガム大学でコンピューティングとビジネスマネジメントを専攻し、2003年に卒業しました。

UBSには2003年にグラデュエート・トレイニーとして入社。最初の2年間はバックオフィス(取引分析部門)に配属され、取引の入力、追跡、会計処理の仕組みを内側から学んでいます。その後フロントのデルタワン・トレーディングデスクに異動し、2008年にはETFデスクのディレクターに昇進。年収は約20万ポンドに達しました。

不正取引の手口

アドボリは、架空のヘッジ取引をシステムに入力してリスクを隠蔽するという手口を使いました。

2008年から無断取引を開始し、銀行のコンピュータに虚偽の情報を入力してリスクの高い取引を隠しました。一日あたりの取引限度額1億ドルを大幅に超過し、取引のヘッジも行っていませんでした。また、アンブレラと呼ばれる非公開の利益プールを作成し、デスクの損益報告を操作していました。

2011年7月、ユーロ圏の債務危機で取引が不利に動き始めると、損失が制御不能に膨張。9月14日にアドボリは上司にメールで不正を告白し、翌日逮捕されました。損失額は23億ドル、UBSの株価から45億ドルが吹き飛びました。

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賠償罪子

アドボリの事件は、リーソン(1995年)、ケルヴィエル(2008年)に続く不正トレーダー事件の三番目の大型事例です。3件全てに共通するのは、バックオフィスや管理部門の経験者がフロントに移り、監視システムの抜け穴を熟知していたという構造です。金融機関は、管理部門からフロントへの異動者に対する特別な監視体制を検討すべきでしょう。

判決と強制送還

2012年11月、アドボリは詐欺罪で禁固7年の判決を受けました。

UBSもシステムとコントロールの重大な不備により、英国金融規制当局から2970万ポンドの罰金を科されています。UBSのコンピュータシステムはアドボリの取引について警告を発していましたが、銀行はその警告に基づく対応を怠っていたことが判明しました。UBSのCEOオズワルド・グリューベルが引責辞任し、グローバル株式部門の共同責任者2名も辞任しています。

アドボリは2015年6月に出所しましたが、1991年から英国に住んでいたにもかかわらず英国市民権を取得していなかったため、強制送還の対象となりました。複数の上訴を行いましたが全て棄却され、2018年11月にガーナに送還されています。

まとめ

  • アドボリはバックオフィス出身の知識を悪用し、架空のヘッジ取引で監視をかわして23億ドルの損失を出した
  • UBSのシステムは警告を出していたが銀行が対応を怠った。CEOが引責辞任し、UBSも2970万ポンドの罰金を受けた
  • リーソン、ケルヴィエルに続く大型事例。管理部門経験者のフロント異動に対する特別な監視体制の構築が金融機関の課題だ

よくある質問

Q
なぜ英国市民権を持っていなかったのですか?
A

アドボリは1991年から英国に住んでいましたが、市民権の取得手続きを行っていませんでした。英国法では12ヶ月以上の禁固刑を受けた外国人は自動的に強制送還の対象となります。アドボリは自分の強制送還は英国のホスタイル・エンバイロメント政策によるものだと主張しましたが、認められませんでした。

Q
アドボリは個人的に利益を得ていましたか?
A

個人的な横領は確認されていません。ケルヴィエルと同様に、承認欲求や成果へのプレッシャーが動機だったとされています。出所後は金融業界の倫理に関する講演活動を行い、自らの経験を教訓として共有していました。

Q
UBSは事件後どのように対応しましたか?
A

CEO、グローバル株式部門の共同責任者2名が辞任しました。UBS自体も英国金融規制当局から2970万ポンドの罰金を科されています。損失は銀行にとって対処可能な範囲とされましたが、第3四半期の純損失の原因となりました。事件を受けてリスク管理体制の大幅な見直しが行われています。

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