グラクソ・スミスクライン不正販売事件とは?製薬史上最大の罰金30億ドル

詐欺事件
グラクソ・スミスクライン不正販売事件とは?製薬史上最大の罰金30億ドルを3行で要約
  • 英製薬大手GSKが、抗うつ薬パキシルをFDA未承認の18歳未満に違法に販売促進。小児での有効性を示さず、自殺リスク増加の証拠がありながら安全で効果的と宣伝した
  • 糖尿病薬アバンディアの心不全リスクの安全データをFDAに6年間報告せず。抗うつ薬ウェルブトリンの減量補助薬としての違法販促も行った
  • 2012年に米司法省と和解し罰金30億ドル(約2400億円)を支払い。医療関連訴訟の和解金として米国史上最大額となった

2012年7月、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が米司法省に支払った和解金は30億ドル(約2400億円)。製薬会社による支払額として過去最大であり、医療関連訴訟全体でも米国史上最大の金額でした。

問題の中心にあったのは、抗うつ薬パキシルの未成年への違法販促、糖尿病薬アバンディアの安全データ隠蔽、そして抗うつ薬ウェルブトリンの適応外販促です。いずれも患者の安全よりも売上を優先した企業行動が問われました。

3つの不正行為

GSKが問われた不正行為は、大きく3つに分けられます。

第一に、抗うつ薬パキシルの未成年への違法販促です。パキシルはFDAが成人用として承認した薬剤ですが、GSKはこれを18歳未満の子どもや青年向けに販売促進していました。小児での有効性を示すデータがなく、むしろ自殺行動のリスク増加が報告されていたにもかかわらず、安全で効果的だと宣伝していたのです。1992年から2006年の間にパキシルは116億ドルもの売上を記録しています。

第二に、糖尿病薬アバンディアの安全データ隠蔽です。2001年から2007年にかけて、アバンディアの鬱血性心不全などの危険性に関する臨床データをFDAに提出せず、6年間にわたり警告表示が不足していました。

第三に、抗うつ薬ウェルブトリンを減量の補助薬として、抗てんかん薬ラミクタールを適応外用途で販売促進していました。

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賠償罪子

GSKの不正はアメリカだけにとどまりません。2014年には中国法人が贈賄罪で30億元(約530億円)の罰金を科されました。医師への賄賂で売上を伸ばす行為が、旅行代理店を仲介して組織的に行われていたのです。幹部5人に懲役刑が言い渡されました。

和解の内容と改革

2012年の和解金30億ドルの内訳は、刑事上の罰金が10億ドル、民事関連の支払いが20億ドルです。

和解に加え、GSKは米保健省との間で5年間のコンプライアンス合意を結びました。経営陣は本人や部下に重大な違法行為があった場合ボーナスを失い、販売担当者の給与は売上目標ではなくサービスの質を基礎に決定するという条件が含まれています。CEOのアンドリュー・ウィッティは声明で“失敗から教訓を得た”と述べました。

現代に通じる教訓

GSK事件の教訓は、製薬企業の“適応外販促”が患者の生命を危険にさらすという点です。

FDAが承認していない使い方を宣伝することは、安全性が確認されていない用途で薬を使わせることを意味します。特にパキシルの場合、自殺リスクが報告されていた未成年に向けて宣伝を行っていたことは極めて深刻です。2009年までにGSKはパキシル関連の訴訟費用だけで約10億ドルを支払っています。利益のために安全データを隠す行為は、金融詐欺と同様に社会に甚大な被害を与えます。

まとめ

  • パキシルの未成年への違法販促、アバンディアの安全データ隠蔽など3つの不正行為で30億ドルの罰金
  • 製薬業界・医療訴訟で米国史上最大の和解金額。販売員の報酬体系も含む抜本的改革が義務付けられた
  • 中国でも贈賄で530億円の罰金。利益優先で安全データを隠す企業体質が世界規模で問われた

よくある質問

Q
適応外販促とは何ですか?
A

適応外販促(オフラベル・プロモーション)とは、FDA(米食品医薬品局)が承認していない疾患や年齢層に対して薬剤の使用を宣伝する行為です。医師が自己判断で適応外処方を行うことは合法ですが、製薬会社が未承認の用途を積極的に宣伝することは違法です。GSKの場合、成人用の抗うつ薬パキシルを18歳未満に宣伝していました。

Q
パキシルは現在も販売されていますか?
A

はい、成人のうつ病や不安障害の治療薬として現在も販売されています。ただし英国NICEは児童青年には処方してはならないとしており、自殺リスクに関する警告表示が追加されています。後発医薬品も発売されています。

Q
GSKの経営者は逮捕されましたか?
A

米国での事件では個人の刑事責任は問われませんでした。ただし中国での贈賄事件では、中国法人の英国人総経理に執行猶予付き3年の懲役刑、中国人幹部4人にも懲役刑が科されています。

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