DV・ストーカー犯罪の認知件数と相談件数の推移
配偶者間暴力(DV)に関する相談件数は年間8万件を超える水準で推移しており、ストーカー事案の相談件数も年間約2万件に達しています。DVの検挙件数は増加傾向にあり、社会の認識変化と被害届の増加が背景にあります。
粗暴犯の統計では暴行・傷害・脅迫として計上されるDV関連事案が一定割合を占めており、犯罪統計の数字以上に深刻な被害が潜在していると考えられています。
2024年にはストーカー規制法違反の検挙件数が1,341件と過去最多を更新しました。SNSを利用したストーキングの増加が件数を押し上げており、デジタル空間での被害対策が急務となっています。
DVの現状と被害者保護
DV防止法に基づき、被害者は裁判所に保護命令を申し立てることができます。保護命令には接近禁止命令と退去命令があり、違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
配偶者暴力相談支援センターは全国に約300か所設置されており、相談・一時保護・自立支援を行っています。近年はDVの定義が身体的暴力だけでなく、精神的暴力(モラルハラスメント)、経済的暴力(生活費を渡さない)、性的暴力も含まれるようになり、相談の間口が広がっています。
デジタルストーキングの脅威
SNSでの執拗なメッセージ送信、位置情報の無断追跡、スマートフォンへの監視アプリの無断インストールなど、デジタル技術を悪用したストーキングが増加しています。
AirTagやTileなどの紛失防止タグを被害者の持ち物やカバンに忍ばせて位置を追跡するケースも報告されており、ストーカー規制法の改正でGPS機器を使った位置情報取得が規制対象に加えられました。
ストーカー被害の深刻さと対策
ストーカー規制法では、つきまとい行為やSNSでの執拗なメッセージ送信、GPS機器を使った位置情報の取得などが規制対象です。被害が深刻化する前に、早期の相談と証拠の保全が重要です。
被害者は警察への相談に加え、弁護士や被害者支援団体に相談することで、多角的な支援を受けることができます。証拠として、不審なメッセージやメール、電話の着信記録、つきまとい行為の日時と場所の記録を残しておくことが後の対応に役立ちます。
DV・ストーカー被害者のための支援制度
被害者を守るための公的支援制度は複数存在します。DV防止法に基づく保護命令、警察によるストーカー行為者への警告・禁止命令、住民票の閲覧制限(加害者に居場所を知られないようにする措置)、公営住宅への優先入居などが利用可能です。
経済的な支援としては、母子家庭の場合は児童扶養手当や母子寡婦福祉資金の貸付制度があります。生活保護の申請も可能で、自治体の福祉事務所で相談できます。
DV被害者の安全確保のために、住民基本台帳の支援措置として加害者からの住民票・戸籍謄本の交付請求を制限することができます。
加害者にならないために
DVやストーカー行為は、加害者自身が「愛情の表現」「心配だから」と認識しているケースが少なくありません。しかし、相手が嫌がっている行為を繰り返すことは、どんな理由があっても違法行為です。
自分の行動が相手を苦しめていることに気づいた場合は、加害者更生プログラムへの参加を検討してください。各地の精神保健福祉センターや民間のカウンセリング機関で相談を受け付けています。
周囲の人ができること
DVやストーカー被害に気づいたら、被害者の話を否定せずに聞き、相談窓口の情報を提供してください。「なぜ別れないの」「あなたにも原因があるのでは」といった言葉は、被害者をさらに追い詰めます。
被害者が行動を起こす準備ができていない場合でも、寄り添い続けることが重要です。命の危険を感じる場合は、被害者の同意がなくても110番通報してください。
対策チェックリスト
- DVやストーカー被害を一人で抱え込まず、相談窓口に連絡する。
- DV相談ナビ「#8008」に電話すると最寄りの相談窓口に繋がる。
- 不審なメッセージ、電話、つきまとい行為の記録を残す。
- 身の危険を感じたら迷わず110番通報する。
- 警察に相談する際は、被害の経緯を時系列でまとめておく。
関連用語
- ガスライティング:DV加害者が被害者の判断力を奪うために使用する心理的支配手法
- 損害賠償請求:DV・ストーカー被害者が加害者に対して民事で損害回復を求める手段
- 民事不介入:DVが「家庭内の問題」として見過ごされてきた背景にある考え方
- 内容証明:ストーカー加害者への警告や接触禁止の意思表示に使用される法的手段
よくある質問
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QDVの相談はどこにすればよいですか
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A
DV相談ナビ「#8008」に電話すると最寄りの配偶者暴力相談支援センターに繋がります。24時間対応の「DV相談プラス」(0120-279-889)も利用でき、電話・メール・チャットで相談が可能です。
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Qストーカー被害の証拠はどう残せばよいですか
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A
不審なメッセージやメールのスクリーンショット、電話の着信履歴、つきまとい行為の日時・場所・内容のメモを残してください。防犯カメラの映像がある場合は保存を依頼しましょう。
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Q警察に相談しても対応してもらえないことはありますか
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A
ストーカー規制法により、警察はストーカー行為者に対して警告や禁止命令を出すことができます。相談しても動いてもらえないと感じた場合は、都道府県の公安委員会に援助申出をしたり、弁護士を通じて警察署長に要請することも可能です。


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