- 同一の不動産や債権を複数の買主に二重に売りつける詐欺的行為のことだ!
- ターゲットの「契約を結んだ=所有権が得られた」という思い込みを突き、登記を先に済ませた別の買主に所有権を持っていかれる仕組みだ
- 知っておくことで売買契約後すぐに仮登記を打つ重要性がわかるし、登記完了前に代金を全額払わないという自衛ができる
このケースが示す本質は、売買契約の締結と所有権の確定は別の出来事であるという事実です。民法第177条により、不動産の権利取得を第三者に対抗するには登記が必要と定められています。どれほど正式な契約書があっても、代金を全額支払っていても、登記を完了するまでは所有権を第三者に主張できない状態が続きます。
なぜ買主は騙されたのか。核心は契約成立=所有権取得という思い込みにあります。売主が登記を急がせない理由は、その時間差を使って高値の別買主へ先に登記を移転させるためです。売買契約の順番は所有権の優劣に一切関係がなく、登記を先に完了させた者が勝つというルールを買主が知らなかったことが被害を成立させました。
意図的な二重譲渡を行った売主には横領罪(刑法第252条)が成立するとされており、刑事告訴が可能です。民事上も損害賠償請求の手段が残ります。ただし売主が逃亡後では資産回収が困難になるため、被害を確認したら即日弁護士へ相談し、売主の財産に対する仮差押えを検討してください。
防ぐための鉄則はただ一つ。売買契約の締結と同時に仮登記を行うことです。仮登記があれば後から第三者が本登記を完了させても順位が保全され、本登記への移行時に所有権を守れます。登記費用を惜しんで手続きを後回しにする行為が、最も高くつく判断になると肝に銘じてください。
【深掘り】これだけは知っておけ
二重譲渡の恐ろしさは、売買契約の締結順序ではなく所有権移転登記の完了順序が勝敗を決めるという点にあります。民法第177条は、不動産の権利取得を第三者に対抗するには登記が必要と定めており、どれほど先に契約を結んでいても、代金を全額支払っていても、登記が遅れれば権利を失います。
典型的なフレーズ・文脈

登記は引き渡しのときに一緒にやれば大丈夫ですよ。急ぐことないですから。それより先に残代金を振り込んでいただけますか。
悪質な売主が買主に残代金の先払いを促しながら、登記手続きをわざと後回しにさせる場面での典型的なセリフです。登記前に代金を受け取ることで、その資金を使って別の高値買主に先に登記を移転させる二重譲渡の準備をしています。

被告は同一マンションを3名に売却し、最も高値をつけた買主へ先に所有権移転登記を完了させた後、残る2名への返金もせずに行方をくらましたとみられています。
不動産詐欺の逮捕事例を伝えるニュース報道で使われる典型的な表現です。意図的な二重・三重譲渡は詐欺罪や横領罪に問われるケースもあり、被害額が数千万円規模に及ぶ深刻な犯罪として報じられる文脈で登場します。

売買契約と同時に仮登記を入れてください。登記が遅れた側は所有権を失いますが、売主に対して損害賠償請求は可能です。まず司法書士か弁護士に相談してください。
二重譲渡の被害に遭った、または遭いそうな買主に対して司法書士・弁護士が最初に伝えるアドバイスです。登記を失っても売主への損害賠償請求という手段が残るため、証拠となる売買契約書や振込記録を保全した上で早急に専門家へ相談するよう促す文脈で使われます。
【まとめ】3つのポイント
- 契約書は地図、登記が土地そのもの:売買契約書はあくまで当事者間の約束の証明にすぎません。不動産の所有権を第三者に主張できるのは登記を完了した瞬間からです。手元に契約書があっても、登記前は権利が宙に浮いた状態と理解してください。
- 先に登記を取った者が勝つという冷酷なルール:民法第177条により、売買契約の順番は関係なく、登記の完了順で所有権の帰属が決まります。代金を全額払っていても、引き渡しを受けていても、登記が遅ければ負けます。この原則を知っているかどうかが被害を防ぐ分水嶺です。
- 契約と同時に仮登記を打つのが唯一の盾:売買契約締結のタイミングで仮登記を行うと順位が保全され、後から第三者が本登記を完了させても本登記への移行時に所有権を取り戻せます。登記費用を惜しんで後回しにすることが最大のリスクです。
よくある質問
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Q二重譲渡された場合、代金を払った側は一切お金を取り戻せないのですか?
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A
登記を失った買主は不動産の所有権は取得できませんが、売主に対して損害賠償請求や代金返還請求をすることができます。また、売主が意図的に二重譲渡を行った場合は詐欺罪や横領罪として刑事告訴できる可能性もあります。ただし売主がすでに逃亡していたり財産がない場合は回収が困難になるため、被害を確認したら早急に弁護士へ相談し、売主の財産を仮差押えする手続きを検討してください。
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Q二重譲渡を知っていて登記を取った第三者でも所有権を主張できますか?
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A
原則として、先に登記を完了した者が所有権を取得できます。第二買主が二重譲渡の事実を知っていた(悪意)だけでは権利取得を妨げません。しかし、信義則に反する動機や態様で先の買主の権利を害する目的で登記を取った場合は背信的悪意者と判断され、登記を持っていても所有権を主張できなくなります。背信的悪意者の認定は例外的なケースに限られるため、自衛のための仮登記が依然として最も確実な対策です。
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Q不動産以外にも二重譲渡は起きますか?
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A
はい、不動産以外でも発生します。動産(車・機械など)の場合は引き渡しが対抗要件となるため、先に引き渡しを受けた者が権利を取得します。また売掛債権などの債権でも二重譲渡は起きており、こちらは確定日付のある証書(内容証明郵便など)による通知の先後で優劣が決まります。どの対象であっても共通するのは、対抗要件を早く備えた者が勝つという原則です。取引の種類に応じた対抗要件を理解しておくことが重要です。
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Q二重譲渡と詐欺との違いは何ですか?
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A
二重譲渡は同一の対象物を複数の相手に譲渡する行為を指し、民法上の概念です。登記の順序次第で所有権の帰属が決まります。一方、詐欺は最初から相手を騙す意図を持って財物を取得する犯罪行為です。意図的な二重譲渡は売主に横領罪が成立するとされており、刑事事件に発展するケースもあります。つまり二重譲渡は民事上のトラブルから刑事事件まで幅広く重なり合う概念であり、悪意の有無と計画性の立証が両者の分かれ目になります。
【出典】参考URL
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E8%AD%B2%E6%B8%A1 :Wikipedia「二重譲渡」、民法177条・対抗要件・背信的悪意者排除論・横領罪成立の法的整理
https://www.lvnmatch.jp/column/sell/13614/ :リビンマッチ、不動産二重譲渡の仕組み・登記優先の原則・背信的悪意者の考え方
https://hamamatsu-souzokuzei.com/case/case-2215/ :浜松相続税あんしん相談室、仮登記による二重譲渡防止策の実務的解説
https://www.shihou-anzai.com/other/saikennijuujouto.html :司法書士安西総合事務所、債権の二重譲渡における対抗要件・内容証明郵便の役割
https://www.livable.co.jp/l-note/question/s22407/ :東急リバブル、対抗要件の種類・不動産と動産と債権の違い・最高裁判例の紹介




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