- 犯罪の結果が起きるかもしれないと分かっていながら、それでも構わないと行動する心理状態のこと!
- ターゲットのわざとではないから罪にはならないだろうという甘い認識を突き、故意犯として重い刑罰が科される仕組みだ
- 知っておくことで闇バイトや怪しい仕事の誘いに乗ってしまうリスクを防ぎ、知らなかったでは済まない法的責任の重さを理解できる
このケースは、特殊詐欺の受け子として逮捕される若者の典型的なパターンを凝縮したものです。注目すべきは、2コマ目で主人公がはっきりとヤバくないかと感じている点にあります。この一瞬の違和感こそが、法律上の分水嶺となる認識にほかなりません。
刑法において未必の故意が成立するためには、結果が起きるかもしれないという認識と、それでも構わないという認容の2つが必要です。主人公は偽の社員証を着用し、見知らぬ高齢者から現金入りの封筒を受け取るという明らかに不自然な状況にいながら、報酬欲しさに行動を止めませんでした。裁判所はこのような客観的事実——偽名の使用、作業量に見合わない高額報酬、指示後すぐに現場を離れる行動パターン——から、少なくとも犯罪への関与を認容していたと認定する傾向にあります。
実際に最高裁は、受け子が詐欺の全容を知らなくても共同正犯として処罰できるとの判断を複数回示しており、知らなかったという弁解はほぼ通用しないのが現在の司法の姿勢です。特殊詐欺は初犯でも実刑となるケースが多く、被害額次第では2〜5年の懲役刑が科されることもあります。怪しいと感じた瞬間が、自分の人生を守る最後のブレーキだということを忘れないでください。
【深掘り】これだけは知っておけ
未必の故意は、刑法第38条1項の規定に深く関わる概念です。同条は罪を犯す意思がない行為は罰しないと定めていますが、ここでいう意思には未必の故意も含まれます。つまり、確実に結果を起こそうと狙っていなくても、起きるかもしれないと認識しながら行動に移した時点で、法律上は故意があったと評価されるのです。
この概念が特に問題となるのは、特殊詐欺の受け子や出し子といった犯罪の末端役です。SNSで見つけた高額バイトに応募し、指示されるまま他人名義の荷物を受け取ったり、ATMから現金を引き出したりする行為は、本人が詐欺の全貌を知らなくても犯罪に関与しているかもしれないという認識があれば未必の故意が成立します。最高裁の判例でも、偽名を使っていたこと、報酬が不自然に高かったこと、受け取り後すぐに現場を離れたことなどの客観的事実から、未必の故意を認定する傾向が強まっています。
典型的なフレーズ・文脈

荷物を受け取って指定の場所に届けるだけの簡単な仕事だよ。中身は気にしなくていいから。日給5万円でどう?
特殊詐欺グループのリクルーターが、SNSで応募してきた若者に対し、受け子の役割を持ちかけている場面です。仕事内容の詳細を意図的にぼかし、高額報酬で判断力を鈍らせる典型的な勧誘手法になります。

裁判所は、被告人が詐欺グループの一員であるとの確定的な認識を持っていなかったとしても、犯罪行為への関与を認容していたとして、未必の故意を認定しました。
ニュース番組で特殊詐欺事件の判決を報じている場面です。最高裁は平成30年12月の判決で、受け子が詐欺の全貌を知らなくても、荷物の受領状況や報酬の異常さなどの客観的事情から故意を認定できるとの判断を示しました。

未必の故意が認められると、過失犯ではなく故意犯として処罰されます。殺人の場合なら傷害致死ではなく殺人罪。量刑が格段に重くなりますので、少しでも怪しいと感じたら絶対に手を引いてください。
刑事事件に強い弁護士が、相談に訪れた若者の家族に対して未必の故意の法的リスクを説明している場面です。故意と過失では適用される罪名も刑罰の重さもまったく異なるため、認識の有無が裁判の結果を大きく左右することになります。
【まとめ】3つのポイント
- 心の中のまあいいかが犯罪の入口:結果を積極的に望んでいなくても、起きるかもしれないと思いながら行動すれば、それは法律上の故意と同じ扱いになる
- 知らなかったは最強の言い訳にならない:裁判所は偽名の使用、不自然に高い報酬、指示通りにすぐ現場を離れた行動など、客観的な事実から未必の故意を認定する
- 怪しいと感じた時点が最後の引き返し地点:少しでもおかしいと思ったら手を引くこと。一度関わると個人情報を握られ抜け出せなくなる。困ったら警察の相談窓口#9110に電話を
よくある質問
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Q未必の故意が認められたら刑罰はどのくらい重くなりますか?
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A
未必の故意であっても確定的故意と同じく故意犯として扱われるため、過失犯と比べて刑罰は格段に重くなります。たとえば人を死なせた場合、過失なら過失致死罪で50万円以下の罰金ですが、未必の故意が認められれば殺人罪として5年以上の懲役が科される可能性があります。量刑の幅が大きく変わる点が最大のポイントです。
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Q闇バイトの受け子でも未必の故意で逮捕されますか?
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A
逮捕される可能性は非常に高いです。最高裁の判例では、受け子が詐欺の全容を知らなくても、偽名を使ったり不自然に高い報酬を受け取ったりしていた場合、少なくとも犯罪に関与しているかもしれないという認識はあったと判断される傾向にあります。初犯でも実刑判決になるケースが多く、被害額によっては2〜5年の懲役が科されることもあります。
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Q未必の故意と認識ある過失はどう違うのですか?
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A
どちらも結果が起きる可能性を認識している点は同じですが、決定的に異なるのは結果を受け入れていたかどうかです。未必の故意は結果が起きても構わないと認容しているのに対し、認識ある過失は結果は起きないだろうと軽く考えて注意を怠った状態を指します。認容の有無によって故意犯か過失犯かが分かれ、適用される罰則も大きく変わります。
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Q未必の故意と確定的故意との違いは何ですか?
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A
確定的故意は犯罪の結果を明確に意図して行動する状態を指し、未必の故意は結果が起きるかもしれないと認識しつつそれでも構わないと行動する状態を指します。たとえば殺人の場合、殺してやると思って刺すのが確定的故意で、死ぬかもしれないがそれでもいいと思って刺すのが未必の故意です。どちらも法律上は故意犯として処罰されますが、量刑においては確定的故意のほうがより重い判断が下される傾向にあります。
【出典】参考URL
https://www.t-nakamura-law.com/column/ :中村国際刑事法律事務所による未必の故意の定義と量刑への影響の解説
https://keiji.vbest.jp/columns/g_other/4855/ :ベリーベスト法律事務所による故意の判断基準と未必の故意の成立要件
https://wellness-keijibengo.com/koi/ :確定的故意・未必の故意の具体例と詐欺事件における適用
https://www.daylight-law.jp/criminal/misshitsukoi/ :デイライト法律事務所による未必の故意と認識ある過失の比較解説
https://atombengo.com/column/21871 :アトム法律事務所による闇バイト受け子の刑罰と未必の故意の関係




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