DMMカオスサーガ事件とは?26時間で終了したゲームの著作権侵害

詐欺事件
DMMカオスサーガ事件とは?26時間で終了したゲームの著作権侵害を3行で要約
  • 2016年11月にDMM GAMESで配信されたカオスサーガは、サービス開始からわずか26時間30分で終了した国内オンラインゲーム最速記録を持つ
  • スクウェア・エニックスのファイナルファンタジーXI・XIIのキャラクターやモンスターの3Dモデルデータが無断転用されていたことが原因だ
  • 運営会社ブライブとDMM.comは24件の著作権侵害を認めて謝罪。海外開発ゲームの輸入時における確認体制の甘さが浮き彫りになった

オンラインゲームには、サービス開始から数年で終了するタイトルもあれば、10年以上続く長寿タイトルもあります。しかし、サービス開始からたった1日で終了したゲームがあると聞いたら、何が起きたのかと思うのではないでしょうか。

2016年11月、DMM GAMESで配信されたブラウザゲームカオスサーガは、サービス開始からわずか26時間30分でサービスを終了しました。原因は、スクウェア・エニックスの人気ゲームファイナルファンタジーシリーズの3Dモデルデータが無断で使用されていたことでした。

この記事では、カオスサーガ事件の全貌と、なぜこのような事態が起きたのか、そしてゲーム業界やコンテンツ産業に与えた教訓を解説します。デジタルコンテンツの著作権に関心のある方にとって、知っておくべき事例です。

カオスサーガとは何か?26時間30分の伝説

カオスサーガとは、中国で開発されたMMORPGを日本向けにローカライズしたブラウザゲームで、国内オンラインゲーム史上最短のサービス提供時間という不名誉な記録を持つタイトルです。

中国語版は諸神黃昏、英語版はGuardians of Divinityという名称で運営されていました。日本では株式会社ブライブ(BRAEVE)がローカライズとサーバー運営を担当し、DMM.comが配信プラットフォームとして提供する形で展開されています。キャッチコピーは神の血よ…世界を救えるか!?でした。

ブライブは日中韓を中心としたメンバーで構成された企業で、各国のゲームの面白さを引き出したアジア発の良質なゲームを作ると意気込んでいました。事前登録キャンペーンでは1万人もの登録者を集め、期待を持ってサービス開始を迎えたのです。

サービス開始から終了までの経緯

2016年11月15日12時30分、カオスサーガは正式にサービスを開始しました。しかし翌16日10時35分に緊急メンテナンスに突入し、そのままメンテナンスが終わることなく、同日15時にサービスの終了が宣言されています。

サービス提供時間はわずか26時間30分。メンテナンス時間を除くと、ユーザーが実際にプレイできた時間は約21時間30分に過ぎませんでした。公式Twitterはリリースからわずか3ツイートでサービス終了を発表しており、こちらも最短記録です。

カオスサーガ事件の時系列
  • 2016年10月
    事前登録受付開始
    特典付きの事前登録が開始され、約1万人が登録。豪華待遇キャンペーンとしてサービス開始時に有力アイテムが配布される予定だった
  • 2016年11月15日
    サービス開始
    12時30分に正式サービスを開始。直後からネット上ではファイナルファンタジーシリーズのキャラクターデータがそのまま流用されているとの指摘が相次いだ
  • 2016年11月16日
    緊急メンテナンス・サービス終了
    10時35分に緊急メンテナンスに突入。そのまま15時にサービス終了を宣言。課金ポイントは全額返還された。Twitterではトレンド入りし、Yahoo!ニュースにも取り上げられた
  • 2016年11月17日
    DMM.comが経緯を説明
    DMM GAMESは、ブライブから他社の権利を侵害している可能性があるとの連絡を受けたと説明。コンプライアンスの観点から配信を停止したと発表した
  • 2016年11月22日
    ブライブがお詫びを掲載
    配信停止に伴うお知らせとお詫びを公式サイトに掲載。ブライブ側の確認方法・確認項目・人員配置が不十分だったことを認めた
  • 2017年8月4日
    24件の著作権侵害を正式に認め謝罪
    ブライブとDMM.comが連名で、ファイナルファンタジーXI・XIIから合計24件の著作権侵害があったことを正式に認め、スクウェア・エニックスに謝罪した

著作権侵害の具体的な内容

カオスサーガで確認された著作権侵害は、ファイナルファンタジーXIとXIIのNPCやモンスターの3Dモデリングデータの無断転用で、合計24件に上ります。

サービス開始直後からプレイヤーの間で指摘されていたのは、ゲーム内に登場するキャラクターやモンスターの3Dモデルが、ファイナルファンタジーシリーズのそれと酷似しているという点でした。単にデザインが似ているというレベルではなく、モデリングデータそのものが流用されていると疑われるほど、完全に一致していたのです。

2017年8月4日、ブライブとDMM.comは公式に著作権侵害を認めました。流用されていたのはファイナルファンタジーXIのNPCやモンスターのモデリングデータ、さらにファイナルファンタジーXIIのキャラクターデータを含む合計24件でした。これらは中国の開発元がゲームに組み込んでいたものと見られています。

カオスサーガの元となった中国版ゲーム諸神黃昏は、中国市場では長期間にわたり運営されていました。海外で著作権侵害が問題視されにくい環境下で開発されたゲームをそのまま日本市場に持ち込んだことが、今回の事態を招いた直接的な原因です。

なぜ配信前に発見できなかったのか

ブライブ自身が認めているように、確認方法・確認項目・人員配置の不十分さが根本的な原因です。

海外で開発されたゲームを日本向けにローカライズする際、通常は翻訳やUIの調整だけでなく、ゲーム内のアセット(3Dモデル、テクスチャ、音楽など)に他社の著作物が含まれていないかを確認する必要があります。しかし、ブライブにはその確認を十分に行うための体制が整っていませんでした。

DMM.comはサービス終了翌日のコメントで、ブライブから権利侵害の可能性の連絡を受けて配信停止を決定したと説明しています。配信プラットフォーム側が提供するゲームの全アセットを事前に検証することは現実的に困難であり、一義的にはゲーム提供元であるブライブの責任範囲にあったといえるでしょう。

ただしDMM.com側も、自社プラットフォームで配信するゲームの品質管理について問われる結果となりました。DMM.comはこの騒動の後、即座にカオスサーガの項目をサイトから撤去しています。

DMMとブライブの対応

両社の対応は、課金ポイントの全額返還は迅速だったものの、著作権侵害の正式認定までに約9ヶ月を要したという点で評価が分かれます。

サービス終了に際して、DMM.comは課金ポイントの全額返還を速やかに実施しました。金銭面でのユーザーへの直接的な被害は最小限に抑えられたといえます。しかし、事前登録からサービス開始を楽しみにしていた約1万人のユーザーにとっては、期待を裏切られた形となりました。

ブライブは11月22日に最初のお詫びを掲載し、12月28日に再発防止策を発表しています。そして2017年8月4日、正式に24件の著作権侵害を認めてスクウェア・エニックスに謝罪しました。サービス終了から謝罪までに約9ヶ月かかった理由は、事実確認と検証作業に時間を要したためとされています。

罪対ペイ運営者 賠償罪子のアイコン
賠償罪子

ネット上では当時、このカオスサーガ事件は一種のお祭り状態になっていました。26時間30分でのサービス終了は衝撃的で、多くのまとめサイトやSNSで話題になっています。

ただ、笑い話で済ませてはいけない問題が根底にあります。他社が何年もかけて作り上げたキャラクターやデザインを、そのまま盗んで商売に使う。これは窃盗と本質的に変わらない行為です。

ゲーム業界における著作権問題の構造

カオスサーガ事件は、海外開発ゲームの輸入プロセスに潜む著作権リスクを明確に示した事例です。

日本のゲーム市場では、海外で開発されたゲームをローカライズして国内展開するビジネスモデルが数多く存在します。特にスマホゲームやブラウザゲームの分野では、中国や韓国で開発されたタイトルを日本向けにカスタマイズして配信するケースが一般的です。

しかし、海外の開発元が使用しているアセットの権利関係を、日本側のパブリッシャーが完全に検証することは容易ではありません。3Dモデルやテクスチャの流用は、元の作品に精通していない人間には判別が困難な場合もあるためです。カオスサーガの場合は、ファイナルファンタジーという世界的に有名なタイトルの素材が使われていたために、プレイヤーがすぐに気づきました。もし知名度の低い作品からの流用であれば、発覚せずに運営が続いていた可能性も否定できません。

プラットフォーマーの責任範囲

カオスサーガ事件は、配信プラットフォーム側にも一定の品質管理責任があることを業界に認識させました。

DMM.comは当初、ブライブとは別の会社であることを強調して距離を取る姿勢を見せていました。しかし、消費者から見れば、DMM GAMESの名前でサービスが提供されている以上、DMMのブランドに対する信頼が傷つくのは避けられません。

この事件以降、大手プラットフォームでは配信前のゲームに対するアセットチェックや知的財産権の確認プロセスが強化される流れが生まれました。App StoreやGoogle Playでも著作権侵害コンテンツに対する審査は年々厳しくなっています。プラットフォーマーにとって、配信するコンテンツの品質と合法性を担保することが、自社のブランド価値を守るために不可欠であるという認識が広がったのです。

現代に通じる教訓

カオスサーガ事件は、デジタルコンテンツの著作権保護とプラットフォームの責任について、消費者・企業双方に重要な教訓を残しました。

消費者の視点では、新しくリリースされたゲームやアプリのキャラクターやデザインに違和感を覚えた場合、それは著作権侵害の兆候である可能性があります。カオスサーガのケースでは、プレイヤーたちがすぐにファイナルファンタジーからの流用を指摘し、それが事件の早期発覚につながりました。

企業の視点では、海外から調達したコンテンツの権利関係を自社で徹底的に検証する体制の構築が不可欠です。開発元を信頼するだけでは不十分であり、特に3Dモデル、音楽、イラスト、UIデザインなど、流用されやすいアセットについては専門的なチェックが必要になります。

また投資家やビジネスパートナーの視点からも、海外コンテンツの輸入ビジネスに携わる企業の知的財産管理体制は重要な評価項目です。カオスサーガのようなスキャンダルが発生すれば、直接的な損害額以上に企業の信頼と将来のビジネス機会が失われます。ブライブの場合、この事件の影響でその後のゲーム展開にも大きな制約がかかったと推測されます。

デジタルコンテンツの著作権侵害は、物理的な製品の模倣品と異なり、発見が困難で被害の範囲も見えにくいのが特徴です。しかし、インターネット上では情報の拡散も速いため、一度発覚すれば瞬時に世界中に広まります。カオスサーガがサービス開始から1日で終了せざるを得なかった背景には、この情報拡散のスピードがあったのです。

まとめ

  • カオスサーガは中国開発のゲームを日本に輸入した際、FFシリーズのデータ24件が無断転用されていたことが発覚し、わずか26時間30分でサービスを終了した
  • 運営会社ブライブの確認体制の不備が直接の原因であり、海外開発ゲームの輸入プロセスに潜む著作権リスクを業界に示した
  • デジタルコンテンツを利用する側も提供する側も、著作権侵害に対する意識と検証体制を持つことが不可欠だ

よくある質問

Q
カオスサーガで課金した人はどうなりましたか?
A

課金ポイントは全額返還されています。DMM.comがサービス終了後に速やかに返金対応を行いました。ただし、返金はDMMポイントでの返還であり、現金での払い戻しではなかったとの情報もあります。金銭的な直接被害は抑えられましたが、ゲームを楽しみにしていたユーザーの期待は裏切られた形です。

Q
スクウェア・エニックスはブライブやDMMを訴えましたか?
A

公開されている情報では、スクウェア・エニックスがブライブやDMM.comを訴えたという報道はありません。ブライブとDMM.comが自主的に著作権侵害を認めて謝罪しており、即座にサービスを停止して被害の拡大を防いだことが、訴訟に至らなかった要因の一つと考えられます。

Q
海外ゲームの著作権侵害はよくあることですか?
A

残念ながら珍しい事例ではありません。特にモバイルゲーム市場では、有名タイトルのキャラクターやシステムを模倣した作品が継続的に問題になっています。ただし、大手プラットフォームが公式に配信したゲームでここまで明確なデータ流用が発覚するケースは異例であり、カオスサーガ事件は業界全体のチェック体制強化のきっかけとなりました。

Q
ブライブは現在どうなっていますか?
A

カオスサーガ事件後もブライブは企業として存続していますが、日本市場での存在感は大きく低下しました。この事件により同社のブランドイメージは著しく損なわれ、ゲーム配信プラットフォームとの信頼関係にも影響が及んだと見られています。

【出典】参考URL

  • Wikipedia:カオスサーガ:サービス開始・終了の時系列、著作権侵害の件数、中国版の情報
  • ねとらぼ:DMM「カオスサーガ」、スクエニへの著作権侵害を認め謝罪
  • 4Gamer.net:サービスが終了した「カオスサーガ」、ブライブが著作権侵害のお詫びを掲載
  • ITmedia NEWS:1日で終了「カオスサーガ」、DMMが「他社の権利侵害した可能性」と説明

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