コロプラ自社買い事件とは?850万円課金とセルラン操作の全貌

詐欺事件
コロプラ自社買い事件とは?850万円課金とセルラン操作の全貌を3行で要約
  • コロプラの役職者を含む従業員2名が、新作ゲームのセールスランキング操作のため取引先に850万円で自社ゲームへの課金を依頼していた
  • 対象は2019年6月12日にリリースされた最果てのバベル。リリース翌日に取引先が課金を実施し、ランキング上位への押し上げを図った
  • 自社費用で自社アプリに課金する循環取引の一種であり、発覚後に株価が急落。業界全体のランキング信頼性にも疑問を投げかけた

スマホゲームのランキングは、ユーザーがどのゲームを遊ぶかを決める重要な指標です。App StoreやGoogle Playのセールスランキングで上位に表示されれば、新規ユーザーの流入が大幅に増えるため、ゲーム会社にとってのランキング順位は、まさに文字通りの死活問題です。

2019年6月、スマホゲームの大手企業コロプラが、このランキングを操作するために自社の費用で取引先に課金を依頼していたことが発覚しました。金額は850万円。法律違反とまでは言えないものの、ユーザーを欺く行為として大きな非難を浴び、株価にも深刻な影響を与えています。

この記事では、コロプラの自社買い事件の詳細と、セールスランキング操作の手口、そしてゲーム業界全体に及ぼした影響を解説します。ランキングを信頼してゲームを選んでいる方は、その裏側を知っておく価値があるはずです。

事件の概要

コロプラの自社買い事件は、東証一部上場企業が自社のゲームランキングを操作するために取引先を利用したという、企業のコンプライアンス(法令遵守)上の極めて重大な問題です。

2019年6月21日、コロプラはIR(投資家向け情報開示)で、同社の役職者を含む従業員2名が、自社のスマホゲーム最果てのバベルのセールスランキングを操作する目的で、不適切な取引を行っていたと発表しました。

具体的には、コロプラの自社費用850万円を使って、取引先にゲーム内アイテムの購入(課金)を依頼していました。最果てのバベルは2019年6月12日にサービスを開始したばかりの新作で、翌13日に取引先が依頼通りに課金を実施したとされています。リリース直後のタイミングでランキングを押し上げ、新規ユーザーの目に留まりやすくする狙いがあったとみられます。

スマホゲーム業界では、リリース直後の数日間でセールスランキングの上位に食い込むことが、その後のダウンロード数やアクティブユーザー数を決定づけると言われています。ランキング上位に表示されることで新規ユーザーの目に触れる機会が飛躍的に増え、ダウンロード数がさらにランキングを押し上げるという好循環が生まれるためです。逆に、リリース直後にランキング圏外に沈んでしまったタイトルは、その後の巻き返しが極めて困難です。

コロプラの従業員が不正な手段に手を染めた背景には、この業界構造がありました。新作がリリース初週で注目を集められなければ、開発にかけたコストを回収できないまま早期にサービス終了に追い込まれるリスクがあるのです。

循環取引としての構造

この手口は循環取引の一種として分析されています。コロプラが取引先に渡した850万円は、取引先がコロプラのゲームに課金する形で使われるため、手数料(Google PlayやApp Storeが徴収するプラットフォーム手数料、通常は売上の30%)を差し引いた金額がコロプラに売上として還流する構造です。

つまり、約600万円がコロプラに戻ってくる計算になり、実質的な出費は手数料分の約250万円です。約250万円の費用でセールスランキングの押し上げと、対外的に見栄えのする売上数字の両方を手に入れようとした、極めてコストパフォーマンスの高い不正手法だったといえます。

ただし結果的に、850万円の課金による効果は限定的でした。課金が行われた6月13日のGoogle Playセールスランキングでは圏外、翌14日にようやく239位に入った程度で、劇的なランキング上昇にはつながりませんでした。その後、20日に23位まで上昇していますが、これが自社買いの影響かどうかは明確ではありません。

発覚の経緯と影響

コロプラが自社買いを発覚後にIRで自主的に開示した点は、情報開示の姿勢としては一定の評価ができるものの、発覚の経緯自体は明らかにされていません。

内部告発によるものか、会計監査の過程で発覚したのかは公表されていませんが、コロプラは発覚を受けて取締役会を開催し、第三者を含む調査委員会の設置を決定しました。当該従業員には厳正な処分を行う方針も示しています。

発覚後の影響は大きく、翌営業日の6月24日にコロプラの株価(東証一部、証券コード3668)は急落しました。850万円という金額自体は業績に対して軽微でしたが、企業の信頼性に対する市場の評価は数字以上のダメージを受けたのです。

業界全体への波紋

コロプラの自社買い発覚は、スマホゲーム業界全体のランキングの信頼性に疑問を投げかける結果となりました。

SNS上では、他社も同様の手法を使っているのではないかという疑念の声が広がりました。特に、リリース直後に不自然にランキングが急上昇するゲームについて、自社買いの可能性を指摘する声が増えています。

GoogleやAppleはストアのランキング操作に対して厳しい姿勢を取っているとされており、アプリのストア除外(BAN)が行われる可能性も指摘されていました。最果てのバベルは最終的にBANされることなくサービスを継続しましたが、ゲーム自体の評判は大きく傷つき、ユーザーからの信頼を取り戻すことは困難だったとみられます。

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賠償罪子

コロプラの850万円の自社買いは法律違反とは言い切れません。しかし、ランキングを信頼してゲームを選ぶユーザーに対する裏切りであることは間違いありません。音楽のオリコンランキングを操作するために自社でCDを大量購入する行為と本質的に同じ構造です。ランキングは公正な競争の指標であり、それを操作する行為は市場全体の信頼を損なうものです。

コロプラの当時の経営状況

自社買い事件の背景には、コロプラの業績悪化と新作への焦りがありました。

コロプラは位置情報ゲームから出発し、白猫プロジェクトやクイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズなどのヒットで急成長した企業です。しかし2019年当時は、主力タイトルの課金収入が伸び悩み、新作のヒットが経営上の急務となっていました。

さらに同時期、コロプラは任天堂から特許侵害で訴えられており(白猫プロジェクトにおける操作特許の侵害)、企業イメージが悪化している最中でした。こうした状況下で、新作の最果てのバベルを成功させることが経営陣にとって大きなプレッシャーになっていたと推測されます。

なお、コロプラはこの事件の後、2019年9月にスクウェア・エニックスとの共同開発タイトルであるドラゴンクエストウォークをリリースし、大きなヒットを記録しました。自社買い事件の早期開示は、ドラゴンクエストウォークのリリース前に問題を処理しておきたいという経営判断だったとする見方もあります。

ステルスマーケティングとの類似性

コロプラの自社買いは、近年問題視されているステルスマーケティング(ステマ)と本質的に同じ構造を持っています。ステマとは、広告であることを隠して消費者にアプローチするマーケティング手法のことです。

2023年10月には、景品表示法の規制対象にステマが正式に加えられました。違反すると消費者庁から企業に措置命令が出され、社名が公表されるリスクがあります。コロプラの自社買いが2023年以降に行われていた場合、景品表示法違反として行政処分の対象となっていた可能性も否定できません。

ランキング操作もステマも、消費者が正確な情報に基づいて判断する権利を侵害する行為です。企業が自社の商品を良く見せたいと考えること自体は自然ですが、その手段がユーザーの判断を歪めるものであってはなりません。

現代に通じる教訓

コロプラの自社買い事件は、ランキングや評価に基づいて意思決定をする際の危険性を示した事例です。

スマホゲームのセールスランキングだけでなく、レビューサイトの評価点、ECサイトの売れ筋ランキング、SNSのフォロワー数など、私たちは日常的にランキングや数値指標に基づいて判断を下しています。しかし、これらの指標は操作可能であり、操作する動機を持つ企業や個人が常に存在するという事実を忘れるべきではありません。

ゲームを選ぶ際には、セールスランキングだけでなく、実際にプレイした人のレビュー内容を読む習慣をつけましょう。ランキングの順位は金銭で操作できますが、具体的なプレイ体験に基づくレビューの内容は操作が困難です。同じことは、飲食店や商品の選択にも当てはまります。数字だけでなく中身を見る。この原則を覚えておいてください。

また投資家の視点では、上場企業がランキング操作を行っているかどうかを外部から見抜くことは困難です。しかし、リリース直後のゲームのセールスランキングが不自然に急上昇し、その後すぐに急落するパターンが繰り返されている企業には注意が必要です。こうした不自然な動きは、自社買いやブースト施策が行われている兆候である可能性があります。

ゲーム会社の決算を見る際には、個別タイトルの売上推移とランキング推移の整合性を確認する習慣をつけてください。ランキングが急上昇しても売上の伸びが限定的な場合、それは健全な需要ではなく操作による可能性を疑うべきです。コロプラの事例は、ゲーム業界のIR情報を読む上での重要な教訓を残しました。

なお、コロプラの件では過去に同様の取引があったかどうかについても調査委員会で検証が行われましたが、同社の発表時点では過去の同様の取引は確認されていないとされています。しかし、SNS上では氷山の一角ではないかという指摘も多く、業界全体の自浄作用と透明性の確保が強く問われる事態となりました。ゲーム業界に限らず、デジタルプラットフォーム上のランキングの公正性は、今後も継続的に議論されるべきテーマです。

まとめ

  • コロプラは新作ゲームのセールスランキング操作のため取引先に850万円で課金を依頼。プラットフォーム手数料を除いた売上が還流する循環取引の構造だった
  • 法律違反ではないものの、発覚後に株価が急落し企業の信頼が大きく毀損。業界全体のランキングの信頼性にも疑問を投げかけた
  • ランキングや評価数値は操作可能であるという前提を持ち、数字だけでなく具体的な内容(レビューのテキスト等)まで確認する習慣が重要だ

よくある質問

Q
自社買いによるランキング操作は違法ですか?
A

直ちに法律違反になるとは限りませんが、GoogleやAppleのストア規約に違反する可能性があります。また、上場企業の場合は売上の水増しとして金融商品取引法上の問題(有価証券報告書の虚偽記載)に発展する可能性もあります。さらに、ユーザーや投資家への情報操作という観点からは、景品表示法の優良誤認表示に該当するリスクも指摘されています。

Q
他のゲーム会社もランキング操作をしていますか?
A

確認された事例はコロプラの件に限られますが、業界では以前からリワード広告(アプリをインストールすると報酬がもらえる仕組み)やブースト(短期間に集中してダウンロード数を稼ぐ手法)によるランキング操作が問題視されています。GoogleとAppleはこうした操作を規約で禁止しており、不正が確認されたアプリはストアから除外される可能性があります。

Q
コロプラは現在どうなっていますか?
A

コロプラは自社買い事件後も上場を維持し、事業を継続しています。2019年9月にリリースしたドラゴンクエストウォーク(スクウェア・エニックスとの共同開発)が大ヒットし、業績の回復に大きく貢献しました。任天堂との特許訴訟は2021年に和解が成立し、コロプラが33億円を支払っています。

【出典】参考URL

  • 日本経済新聞:コロプラ、従業員が取引先にゲーム課金を依頼 順位操作目的
  • gamebiz:コロプラのセールスランキング操作目的の不適切な取引の発表
  • ITmedia:コロプラ、850万円の課金を取引先に依頼

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