- 勘違いや思い違いによって本意でない意思表示をしてしまった場合に、その契約を取り消せる民法上の制度のこと!
- ターゲットの誤った情報への信頼や注意不足を突き、本来必要のない契約や不当に高額な取引を成立させてしまう仕組みだ
- 知っておくことで騙されて結んだ契約を後から取り消す武器が手に入り、詐欺的な商法への対抗手段として活用できる
新駅ができるから値上がりする。この一言で3,500万円の土地購入を決断してしまうケースは、不動産取引のトラブルとして珍しくありません。
この事例で会社員が契約に至った最大の原因は、営業マンの口頭説明だけを根拠に自ら裏付け調査を行わなかった点にあります。新駅の建設計画は自治体や鉄道会社の公式発表で確認できる情報であり、ネット検索や役所への問い合わせで真偽は容易に判断できたはずです。
法的に見ると、この事例には民法95条の動機の錯誤が該当する可能性があります。新駅建設という動機を営業マンに伝えた上で契約していれば、その認識が真実に反していたことを理由に契約の取消しを主張できる余地が生じるのです。ただし民法95条3項は、表意者に重大な過失がある場合は取消しを認めないと規定しているため、簡単に調べれば嘘だとわかる情報を鵜呑みにしていた場合には、保護されない可能性も否定できません。
不動産のように人生を左右する高額取引では、相手の説明を信じる前に必ず公的情報で裏を取ることが鉄則です。契約の動機はメールや書面など証拠が残る形で相手に伝え、万が一のときに錯誤取消しを主張できる状態を整えておきましょう。
【深掘り】これだけは知っておけ
錯誤(民法95条)が詐欺被害の防衛策として強力なのは、詐欺(民法96条)の立証が難しい場面でも使える点にあります。詐欺の取消しを主張するには相手の騙す意図を証明する必要がありますが、錯誤の取消しでは自分の勘違いが重要なものであったことを示せばよいため、ハードルが比較的低いのです。
2020年の民法改正で、錯誤の効果はそれまでの無効から取消しに変更されました。取消しには期間制限があり、錯誤に気づいて取り消せると知った時から5年、または意思表示の時から20年で時効消滅します。悪徳商法の被害に気づいたら、できるだけ早く行動に移すことが重要です。
典型的なフレーズ・文脈

この土地の近くに来年新駅ができるんですよ。今のうちに買っておけば確実に値上がりしますから、お買い得ですよ。
不動産詐欺や投資詐欺でよく使われるフレーズです。嘘の開発情報や値上がり予測を吹き込んで高額な契約を結ばせる手口であり、買主が新駅建設という動機を相手に伝えた上で契約していれば、動機の錯誤として取消しを主張できる可能性があります。

2020年の民法改正により、錯誤による契約の効果はこれまでの無効から取消しに変更されました。取消しには期間制限があるため、被害に気づいたら早めの対応が求められます。
法律関連のニュースや消費者向け情報番組で解説される際の典型的なフレーズです。改正前は無効だったため期間制限なく主張できましたが、現在は取り消せると知った時から5年、行為時から20年の時効が設けられています。

動機の錯誤で取消しを認めてもらうには、契約の動機を相手方に表示していたことが必要です。口頭でも構いませんが、メールや書面など証拠が残る形がベストですよ。
弁護士や司法書士が相談者にアドバイスする際の典型的なフレーズです。民法95条2項では、動機の錯誤による取消しはその事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた場合に限り認められると定められています。
【まとめ】3つのポイント
- 勘違い契約のリセットボタン:錯誤(民法95条)は、重要な思い違いで結んでしまった契約を後から取り消せる法律上の武器。詐欺の立証が難しい場面でも使える切り札になりうる
- 動機を伝えたかどうかが勝負の分かれ目:表示の錯誤(言い間違い等)はそのまま取消しを主張できるが、動機の錯誤(理由の勘違い)は契約時にその動機を相手に伝えていなければ取消しが認められない
- 気づいたら5年以内に動くこと:2020年民法改正で効果が無効から取消しに変わり、取消権には時効がある。錯誤に気づいたら放置せず、消費者ホットライン188や弁護士にすぐ相談
よくある質問
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Q錯誤による取消しはどんな勘違いでも認められますか?
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A
すべての勘違いが認められるわけではありません。その錯誤が法律行為の目的や取引上の社会通念に照らして重要なものである必要があります。また、表意者に重大な過失(少し調べればわかるのに確認を怠った等)がある場合は、原則として取消しが認められません。
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Q錯誤の取消しに期限はありますか?
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A
あります。錯誤に気づき取り消せると知った時から5年、または意思表示をした時から20年のいずれか短い方で取消権は時効消滅します(民法126条)。被害に気づいたら放置せず、速やかに弁護士や消費生活センターに相談してください。
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Qネット通販で間違えて注文した場合も錯誤で取り消せますか?
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A
クリックミスなどの操作ミスは表示の錯誤に該当しうるため、原則として取消しの主張が可能です。ただし、事業者側が確認画面を設けるなど意思確認の措置を講じていた場合は、重大な過失があるとして取消しが制限されることがあります。電子消費者契約法も関連するため、状況に応じた判断が必要です。
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Q錯誤(民法95条)と詐欺(民法96条)との違いは何ですか?
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A
錯誤は表意者自身の勘違いに焦点を当てた制度であり、相手に騙す意図があったかどうかは問いません。一方、詐欺は相手が意図的に嘘をついて騙した場合に成立する制度です。詐欺は相手の故意の立証が必要なため難易度が高く、錯誤の方が主張しやすいケースも多いですが、善意無過失の第三者への対抗力などで違いがあります。
【出典】参考URL
https://www.agaroot.jp/shiho/column/mistake/ :アガルート・錯誤とは?民法95条をわかりやすく解説
https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/sakugo/ :契約ウォッチ・錯誤の意味・具体例・要件の解説
https://biz.moneyforward.com/contract/basic/20057/ :マネーフォワード・民法95条の概要と取消しの要件
https://consumer.vbest.jp/columns/8016/ :ベリーベスト法律事務所・催眠商法の手口と錯誤取消しの対処法
https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2019_13.html :国民生活センター・催眠商法と消費者保護制度




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