楽天に損害賠償1000億円！ソフトバンクから転職した社員の不正競争防止法違反

いくらちゃん

今回の損害賠償は、1,000億円ですか？

賠償罪子

まだ確定はしてないので、見ていきましょう。

動画で見たい方は、下記YouTubeでご視聴ください。

事件の概要
事件の3つのポイント
手土産転職
稚拙な犯行
1. 営業秘密として法的に保護される３つの要素
2. 犯行内容
損害賠償1000億円
不正競争防止法

事件の概要

事件が発生したのは、2022年の12月9日。元ソフトバンクの社員である男Aが、「5G」に関する情報を不適切に持ち出し、その後転職先である楽天モバイルに伝えたことで、不正競争防止法違反の罪を問われた。

男Aは2年間の懲役刑と4年間の執行猶予、さらに100万円の罰金を課される。

2021年5月6日、ソフトバンクは楽天モバイルと男Aに対し、1,000億円の損害賠償を求める民事訴訟を提起。この訴訟では、男Aが持ち出した営業秘密の利用を停止し、それを破棄することを求める。また、その一部として、男Aと楽天モバイルに対する10億円の損害賠償を請求。

事件の3つのポイント

手土産転職
稚拙な犯行
損害賠償1000億円

手土産転職

「手土産転職」とは、退職時に、自身が管理もしくは、把握していた顧客情報や技術情報などを、まるで「手土産」のように新たな職場に持ち込む行為を指す。

手土産転職をすることで、自身の新たな職場での、立場を優位にし、雇用条件をより良くするのが目的。

今回の事件は、従業員による転職先へ機密情報の持ち出した「手土産転職」の典型的な例。男Aは、転職先で自分の技術力をアピールするためだったと主張。結果的、それが大きな法的トラブルを生んだ。

稚拙な犯行

この事件は、2021年の1月に男Aが逮捕されたことで表面化。

彼の弁護側は、彼が持ち出した情報が営業秘密として法的に保護されるために必要な3つの要素、秘密性、非公知性、有用性を満たしていないと主張。

しかし、裁判所はこれを退け、情報は営業秘密として扱われた。

営業秘密として法的に保護される３つの要素

秘密性

秘密性が求められる情報の一例としては、企業の内部的なビジネス戦略やマーケティングプラン。これらの情報は通常、一部の社員のみに開示され、企業内部で厳密に管理されている。また、特許申請前の研究開発データもこれに該当する。

非公知性

非公知性が求められる情報の一例としては、新技術の開発過程や製造方法がある。これらの情報は企業の競争優位を保つために秘密に保たれている。また、新商品のリリーススケジュールや未公表のM&A、（合併・買収）計画なども該当。

有用性

有用性が求められる情報の一例としては、顧客データベース。この顧客データベースは企業のマーケティング活動や顧客関係管理において重要な役割を果たす。また、未公表の財務報告書など、企業のリソースと能力に関する製造能力、人材情報などの情報。そして研究開発結果なども有用性を持つ情報として考えられる。

犯行内容

男Aは2004年から2019年まで15年間ソフトバンクで働き、2020年に楽天モバイルへ転職。男Aは転職直前の数ヶ月間にわたって、ソフトバンクから170点以上の情報ファイルを持ち出した。これらの行動は、後に男AのPCから漏洩の痕跡が発見され、楽天モバイルの本社や男Aの職場が捜索された結果、バレた。

男Aの犯行は、自宅からソフトバンクのサーバーにアクセスし、データをコピー、それを自分が管理するクラウドサーバーに保存、またはメールに添付して自分自身に送信するという、比較的簡単な手法だった。

損害賠償1000億円

2021年5月6日、ソフトバンクは楽天モバイルと男Aに対し、1,000億円の損害賠償を求める民事訴訟を提起。この訴訟では、男Aが持ち出した営業秘密の利用を停止し、それを破棄することを求める。また、その一部として、男Aと楽天モバイルに対して、損害賠償10億円を請求。

2022年12月9日、男Aに対して有罪判決。彼の弁護側は、持ち出された情報が営業秘密という要件を満たしていないと主張したが、裁判所はこれを退け、営業秘密としての要件を満たしているとの判断。その結果、男Aは懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円の判決を受け、ソフトバンクと楽天モバイルとの間で10億円の損害賠償を巡る裁判は現在も続いている。